家族シアター (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 722
レビュー : 50
  • Amazon.co.jp ・本 (375ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062938488

作品紹介・あらすじ

近くにいるから傷つけ合う。遠くにいてもわかり合える。
大好きだけど、大っきらい--読めばきっと、あなたの「わが家」に帰りたくなる。

弟はアイドルオタク、姉はバンギャ。趣味も性格も正反対。犬猿の仲の二人は顔を合わせれば衝突ばかり。ある日、盗み見ている姉のブログに不審な投稿を発見してしまった弟。日に日に覇気がなくなっていく姉の様子が気になって仕方ない(「サイリウム」より)。

息子が小学六年の一年間「親父会」なる父親だけの集まりに参加することになった私。「夢は学校の先生」という息子が憧れる熱血漢の担任教師は積極的に行事を企画。親子共々忘れられない一年となる。しかしその八年後、担任のある秘密が明かされる(「タイムカプセルの八年」より)。

真面目な姉を鬱陶しく思う妹。
趣味で反発し合う姉と弟。
うまく息子と話せない父。
娘の考えていることが理解できない母……

あなたの家族もこの中に。家族を描く、心温まる全7編。

感想・レビュー・書評

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  • 家族をテーマにした短編集です。妹、弟、母、父、姉、祖父、夫の視点で描かれる、それぞれ異なる家族のお話。妹視点の「『妹』という祝福」や、父視点の「タイムカプセルの八年」が特に良かったです。

  • 「タイムカプセルの八年」は、どこかで読んだ話だなと思ったら、『時の罠』というアンソロジーに入っていた話だった!

    学者で家族サービスの対極にいる父と、熱血担任教師の比較の中で、息子はきっと自分ではなく熱血担任教師を追って先生になるんだろうと思う。
    でも、世間からズレている視点ながらも、息子を思う様子や、大嫌いな親父会と奇縁が出来ていく様子が良くて、最後はスカッとする!

    私のお気に入りは「「妹」という祝福」と、「1992年の秋空」の姉妹モノ二編。
    自分にも妹がいるから、共感したのかもしれない。
    前者は、妹にイケてない姉と反面教師扱いされ、あんな風になりたくないと思い、格好いい男の子と付き合う妹。だけど、怖い先輩に目をつけられて……という話。
    なんだかんだ、姉を他者に否定されると反発する妹が可愛い……。

    後者は、文学思考の姉と科学思考の妹の話。
    毛利さんに憧れ宇宙飛行士になりたいという夢を持ち、周りから浮いた所のある妹。
    話をしていても、情緒のないもの言いをする妹に、姉は可愛げがないと思うのだけど。
    それぞれの思いがちゃんと物語の中に生きていて、ああ、姉妹っていいな、と思う(笑)

    まあ兄弟であっても、なんだろうけど、小学生とか中学生の持つコミュニティに、入れているのか、そうでないのか。
    今なら大したことじゃなかったと思えるその枠組みは、大人には分からない、気持ちの悪い絶対があったように思う。
    自分の身内が、そうかどうか、は、地味に気になる部分で。でも、同じ学校にいても、知らないことも沢山あったな、と振り返ると思う。
    今はそういう、同じ公的空間を共有していることなんてなくて、いわゆるただの家族だけど。
    あの時代って、ちょっと特殊だったんだな。

    家族モノが好きな人は泣けると思います。

  • 久しぶりの辻村深月。
    ほっとする。
    ーーー
    息子が小学六年の一年間「親父会」なる父親だけの集まりに参加することになった私。「夢は学校の先生」という息子が憧れる熱血漢の担任教師は積極的に行事を企画、親子共々忘れられない一年となる。しかしその八年後、担任のある秘密が明かされる(「タイムカプセルの八年」)。家族を描く心温まる全7編。

  • やはり短編集は物足りないかな。
    始めの2話の、兄弟喧嘩の言葉がきつ過ぎて、読んでていたたまれない気持ちになった。確かに私にもある。取り返しのつかない酷い言葉を投げつけて、未だに後悔している程の思い出が。ただ、その嫌な気持ちが無くなるくらいの、何かに、救われることなく読み終わってしまったのが残念。どの短編も家族だからこその距離の取り方の難しさ、互いを想うあたたかい心が上手く描かれているけど、短編だから全体的にふわっとしてる。
    あと、辻村さんは「真面目」と評される子たちの、生きていく上での窮屈さみたいなのを描くのがお上手だと思っていたが、今作では露骨過ぎて感じが悪く思えて仕方なかった。
    解説は良かった。

  • 「家族」で起こる、ささやかな大事件!

    息子が小学六年の一年間「親父会」なる集まりに参加することになった私。息子が憧れる熱血漢の担任と、親子共々忘れられない一年となるが、その数年後、意外な真実が明らかに。家族を描く心温まる全七編。

  • 家族だからこその亀裂やわだかまり、そして年月を経て再び通いあう心。個人的には親父会の話が一番親近感が沸いて感情移入できた。ありきたりだけど、家族っていいなと思える読後感。

  • 今まで著者の作品をデビューから追ってきたが、ここまで居心地が悪くて、愛を感じる作品はなかった。
    著者が、結婚、出産、育児を経験したからリアリティが出せたんだと思う。
    短編集だが、エピソードによっては涙を我慢しなければならなくなるので自宅で読む事をお勧めする。

  • 人は聖者ではない。依怙贔屓もするし、家族は絶対。普段の小言も、相手に期待がなければ、そこまでのエネルギーをかけない。食べる人がいるから料理を作りたくなるってことだね。人間は考える葦である。社会的なつながりを求める欲望が人間なんだなあと再確認。

  • 家族をテーマにした小説はたくさんあるけれど、辻村さんのそれは、痛い部分や目をそらしてしまう部分をすくい上げて形にしたような物語だった。
    兄弟や姉妹の話が多くて、弟が二人いる私は何度も胸がきゅーっとなった。
    親とは違う距離感、存在。私のところは姉弟だけで旅行に行くくらい仲が良いけれど、それでもいろいろある。喧嘩もするし、鬱陶しいときもあるし、でもものすごく大切。いつもどこかで気にしているし、何かあれば気が気じゃない。
    久々に、弟たちを誘って出かけようかと思った。最近どう?なんて、ちょっと姉らしい一言を添えて。

  • 尖った人達が出てくる。家族内だから尖れるところもあるのかな。甘えられるからね。
    「1992年の秋空」のエピソードは、自分も近い経験があり胸が痛かった。謝らなければいけない、分かっているのに、自分がしてしまった重さに身動きが出来ない状況。
    「タイムカプセルの8年」が好きだ。
    こういう人(父親)いると思う。そして自分受け入れてしまうのはファザコンだからか。
    家族だって、兄弟だって色々あるよね。全てが分かり合えるわけではない。でも、やっぱり温かいよね。

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プロフィール

1980年山梨県生まれ。
千葉大学教育学部卒業後、2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。
2011年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、2012年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、2017年『かがみの孤城』で「ダ・ヴィンチ ブックオブザイヤー」1位、王様のブランチBOOK大賞、啓文堂書店文芸書大賞をそれぞれ受賞。本屋大賞ノミネート作も数多く、2018年に『かがみの孤城』で第15回本屋大賞の大賞を受賞した。
他の代表作に『子どもたちは夜と遊ぶ』『凍りのくじら』『ぼくのメジャースプーン』『スロウハイツの神様』『名前探しの放課後』『ハケンアニメ!』『朝が来る』など。新作の度に期待を大きく上回る作品を刊行し続け、幅広い読者からの熱い支持を得ている。

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