家族シアター (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • / ISBN・EAN: 9784062938488

作品紹介・あらすじ

近くにいるから傷つけ合う。遠くにいてもわかり合える。
大好きだけど、大っきらい--読めばきっと、あなたの「わが家」に帰りたくなる。

弟はアイドルオタク、姉はバンギャ。趣味も性格も正反対。犬猿の仲の二人は顔を合わせれば衝突ばかり。ある日、盗み見ている姉のブログに不審な投稿を発見してしまった弟。日に日に覇気がなくなっていく姉の様子が気になって仕方ない(「サイリウム」より)。

息子が小学六年の一年間「親父会」なる父親だけの集まりに参加することになった私。「夢は学校の先生」という息子が憧れる熱血漢の担任教師は積極的に行事を企画。親子共々忘れられない一年となる。しかしその八年後、担任のある秘密が明かされる(「タイムカプセルの八年」より)。

真面目な姉を鬱陶しく思う妹。
趣味で反発し合う姉と弟。
うまく息子と話せない父。
娘の考えていることが理解できない母……

あなたの家族もこの中に。家族を描く、心温まる全7編。

感想・レビュー・書評

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  • 心温まる家族の話だった。短編集。

    【特に印象に残った話】
    「『妹』という祝福」
    同じ屋根の下に住んでいるきょうだいなのに、学校で会うと妙に気まずかったり疎ましかったり照れくさくなったりしたことはないだろうか。その感覚を思い起こさせられた。

    「タイムカプセルの八年」
    父親たちが立ち上がる。未来にタイムカプセルを開ける子どもたちのために──
    これはアンソロジー「時の罠」にも収録されている。父親たちの手で密かに8年という"時"を守るので、「時の"罠"」と名付けるのが納得できる。
    とても好き。親父たちがカッコイイ。再読できて良かった。

    「孫と誕生会」
    アメリカから帰国した長男一家と同居することになった俺。孫の友だちとのトラブルに理解できなかったが、「(孫をいじめる)あの子たちが嫌いだ」。せめて家族くらいはそう思ってもいいだろう──
    孫と距離を縮めたおじいちゃんの頼もしさと優しさ、やっぱり孫を一番に思う気持ちにうるっとした。

    1/5追記
    辻村深月さんは日常よくある出来事や感情をうまく話に入れて展開させるのがうまい。
    きょうだいへの面白くない気持ちだとか、子ども時代あるいは親の立場で参加するクリスマス会やそのプレゼント交換における穏やかでない雰囲気とか不安な気持ちだとか、思い起こされた。

    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      なおなおさん、お返事ありがとうございます~(^^)

       なおなおさんの本棚は、どの本も興味深くてレビューも私は大好きなのでいつも楽しみに読ま...
      なおなおさん、お返事ありがとうございます~(^^)

       なおなおさんの本棚は、どの本も興味深くてレビューも私は大好きなのでいつも楽しみに読ませていただいています!!なのでこの受賞は当然の結果だと思っていますよ~!!凄いです(^ー^)
       タグ付けの件に限らず、教えていただけることが多いのですよ(^^)ありがたく思います。
       私の場合はまだまだ本が少ないのでまずは本棚の本を増やしてからですね……。たくさん本が並ぶと凄―く良いですものね~⭐それでいつかタグ付けできたらいいなぁと考えていますので…どうぞよろしくお願いします。楽しみです~♪
       遅い時間でスミマセン。
       おやすみなさ~い zzz
      2023/02/16
    • なおなおさん
      チーニャさん、ありがとうございます。
      チーニャさんとは同じ本登録も多く(好みが似ているのかも(^^))、またレビューもただ「面白かった」では...
      チーニャさん、ありがとうございます。
      チーニャさんとは同じ本登録も多く(好みが似ているのかも(^^))、またレビューもただ「面白かった」ではなく考えさせられ、大変参考になります!
      あと太宰治など文豪の本も読まれていてすごい!私も挑戦したくて青空文庫アプリを入れてダウンロードはしているのですがなかなか…^^;
      チーニャさんの本棚の本も、キレイな色の本がありますね…色分けして差し上げたくなる〜笑
      チーニャさんのレビューやコメントやり取りをこれからも楽しみにしております(っ ॑꒳ ॑c)ゎ‹ゎ‹
      2023/02/17
    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      なおなおさん、こんばんは(^^)
       確かに好みが似ていてなおなおさんの本棚は読みたい本だらけで目が♡なのですよね~私(*´▽`*)
      なおなお...
      なおなおさん、こんばんは(^^)
       確かに好みが似ていてなおなおさんの本棚は読みたい本だらけで目が♡なのですよね~私(*´▽`*)
      なおなおさんの漫画で読む名作のシリーズで、ロミオとジュリエットなど書店でお取り寄せ出来なくて断念していて。ネットで探せばあると思うのですが…(汗) 残念。
      それから「たまごのおはなし」も読みました、好きです!!
       そして、私の本棚の本もこれから綺麗な色の本をなるべく集めていきたいと思っております!!
      ジャケ買いならぬジャケ借り~
      (ほとんど図書館本なのです……w)
       これからもこちらこそどうぞよろしくお願いいたします~(^^)♪
      いつもありがとうございます~
      2023/02/17
  • わかる。わかるぞーとしみじみ自分の家族を振り返る。
    兄とは仲は良くなかったけど、今でこそ大人になると近づいて大事さに気づくし後悔もする。

    最後の短編、ドラえもんだ〜〜〜!
    辻村作品を好きになったきっかけが「凍りのくじら」。
    そこでも出てきたので本当に藤子先生お好きなんだなーってうれしくなった◎
    ひみつ道具、のび太とおばあちゃん、グッとくるよね、、、。

  • 真面目を絵に描いたような姉と、それを反面教師のようにかわいくなろうと努めてきた妹(「妹」という祝福)
    特待生で高校に進学した娘の思わぬ失敗に気づき、それを受け入れる母(私のディアマンテ)
    辻村さんの表現力は本当に凄いです。
    文章が立体的で平べったくない。
    紙の上の出来事ではなく、物語が生きてる感じがする。
    そうか、だって「家族シアター」だもの。
    (タイムカプセルの八年)のお父さんも、(孫と誕生会)のおじいちゃんも、すごくよかった。
    家族にまつわる7つの心温まる物語。
    この本を読み終えたら、今よりももっともっと家族のことが好きになってると思う。
    最後の(タマシイム・マシンの永遠)は、ドラえもん愛に満ちたお話でした。
    辻村さんの長編をまだ読んだことがないので、いつか挑戦してみたいと思います。

    • アールグレイさん
      こんにちは!
      m.cafeさん!こんな本があったんですよね。何年前に読んだのか、記録してあるかなぁ・・・
      もうどんな話だったのか忘れてしまい...
      こんにちは!
      m.cafeさん!こんな本があったんですよね。何年前に読んだのか、記録してあるかなぁ・・・
      もうどんな話だったのか忘れてしまいました。(>_<)
      再読したいと思い、一応本棚にはあるのです。
      私は今、「Day to Day」を読んでいます。これがブ厚い!図書館本なのですが、他に1冊借りていたので、間に合わないかも、返却期限。超超短編集です!
      読みたい本だらけです!
      o(^-^)o
      2021/05/11
    • アールグレイさん
      それから、「かがみの孤城」「島はぼくらと」この2冊がお薦めの長編かと・・・・
      それから、「かがみの孤城」「島はぼくらと」この2冊がお薦めの長編かと・・・・
      2021/05/11
    • m.cafeさん
      ゆうママさん。
      お薦め本、ありがとうございます。
      参考にさせていただきますね。
      私も積読が増える一方で、困ってます笑笑。
      分厚い本、頑張って...
      ゆうママさん。
      お薦め本、ありがとうございます。
      参考にさせていただきますね。
      私も積読が増える一方で、困ってます笑笑。
      分厚い本、頑張ってくださいね。٩( ᐛ )و
      2021/05/11
  • 姉と妹
    姉と弟
    父と子
    母と子
    紙でなく血でつながる家族

    そんな家族に対しては
    甘えが出るのかな
    言わなきゃいいのにって思ってても
    つい言ってしまうことってある
    それでも
    感じるズレを許したり怒ったり
    認めたり呆れたりするのが
    家族なのかも知れない

    なんて
    ちょっと家族について考えた作品でした

    短編集です
    文庫解説は武田砂鉄さん
    この解説もまた
    なるほどねーと思わせてくれます

  • 辻村さんの「スローハイツの神様」の本の帯に「この順番で読めば、より楽しめる!(辻村ワールドすごろく)」と書いてあるのが気になって手に取った二作目の作品です。

    「家族」というキーワードでまとめられた7篇の短編集。今まで「家族」とは?という観点でその関係性を考えたことはありませんでしたが、基本的には、
    ・自分で決められない(夫婦は自分たちで決めますが)
    ・生まれてから死ぬまで関係が続く
    ・好き嫌いを問わず逃れられない
    ・人生を豊かにできるか、幸せと感じられるかを決定付ける基本
    ・相互に様々な影響を与え合う、、、、
    他にも人によって考え方は色々とおあるでしょう。

    あらためて「家族」って?と考えながら読むとなるほどね、気付かされることが多々あった作品でした。

    私は特に、
    ・「妹」という祝福
    ・タイムカプセルの八年
    ・1992年の秋空
    これらの作品が面白かった。というか、しんみりとしてしまいました。やはり辻村さんの心の襞の細やかな描き方は素晴らしい。

    ただ、この作品のどの部分が「スローハイツの神様」と関係しているのか?良くわかりませんでした。残念。

  • 全7編からなる短編集。
    家族の微妙な葛藤や和解が描かれた家族小説。
    複雑な家族関係や日常の出来事から、家族のあり方や絆が丁寧に描かれていた。
    特に好きなのが「タイムカプセルの八年」。
    息子の本音や、親父会という集まりが、意外なほどの理解と絆を生むストーリーが魅力的だった。
    家族の絆や大切さを改めて感じさせられた。
    思わず涙を誘う心温まる作品。

  • 「私のディアマンテ」
    よかったー!
    なんてもどかしい母親なんだ、と読みながらそわそわしていたが、妊娠に気づいてからの対応、確かにこの人らしくていいなぁと思った。

    私も大学生の頃とか、卒業して数年は、
    妊娠とかデキ婚とかを
    失敗だ、自分の立場では絶対に許されることではない、人生終わっちゃう、って思ってた。
    まー結局デキ婚して離婚してるんだけどねー笑

    でもとにかく子どもというのは可愛くて可愛くて、
    イライラすることもしょっちゅうだけど、
    本当に宝物。
    妊娠中から幸せだったけど、
    子どもと一緒にいると、
    本当に毎日が幸せ。
    こんなにも幸せで良いのかと思ってしまうほど、
    子どもは可愛い。
    「絢子」も鈍感ながら「えみり」のことは可愛くて仕方なかったんだろうなぁと読んでてしみじみした。

    そして「えみり」くらい賢かったら、
    きっと子育てしながらも資格とったりして
    立派に仕事できるくらいになるんだろうなぁ。
    でもそのためには母親というかおばあちゃんの協力が絶対に必要なんだよね。
    そうやって家族はつながっていくんだ。


    「タイムカプセルの八年」
    これもいい。
    「比留間先生」があんな人だとは意外だったし、「私」が家族優先でなさすぎるから、もっといい父親であってくれと思いながら読んでいたのに、
    ラストでは、こんな父親いいなぁーって思ってしまう、話の作り方。
    さすが辻村さんです。
    熱かった。

    「1992年の秋空」
    これもよかったなー。
    私も「学習」買ってもらってて、
    でも「科学」の方が付録が豪華だからいいなー両方買ってもらえる子いいなーって思ってた。
    「科学」だけでいい、とはきっと思えず親に訴える力もなかった私は、「うみか」寄りなんだろう。
    でも6年生で「りぼん」「なかよし」は幼いな。6年生で「学習」のまんがを楽しみに行列並ぶってのもちょっと幼いけど、1992年ならそうなの?もう「フレンド」も「マーガレット」もあったと思うけど。
    私は5年生くらいから「別マ」「別フレ」に移行していってたもんなぁ。ちょっと刺激的な「デザート」「チーズ」とかも読んでた気がする。うーんこれは中学生かな?

    姉妹の絆が感じられたのと、「うみか」が貝殻から聞こえる音について語る部分、良かった。
    「なんで、海の音がするんだろう。貝が記憶して一緒に持ってくるのかな。」だって。
    「ONE PIECE」のトーンダイアルを思い浮かべた。あれはなんで貝殻なんだろうって別に疑問も抱かなかったけど、こういうことだったのかな。
    明日、104巻の発売日だから、繋げて感じてしまった。

    「宇宙兄弟」も思い浮かべながら、今回は漫画のことが自分の感想にも多いなーと思いながら巻末を見ていたら、この話は「We are 宇宙兄弟」に掲載だったとののと。わーお。

    「孫と誕生会」
    これもよかったなあ。
    距離の遠かった孫と近づく物語。
    「おじいちゃんは、あの子達が嫌いだ。」
    ここで泣いた。
    身内というのが、家族というのが、
    結局のところは一番だ。
    理由もなく、そうなんだ。
    それをとにかくよく感じる一冊であった。

    「タマシイム・マシンの永遠」
    これもめちゃくちゃいい。
    泣ける。
    「俺は今、伸太を通じて、自分が生まれたその頃の様子を、数十年の時を経て、我が子に見せてもらっているのだ。
     俺は大事にされ、愛され、いろんな人に成長を見たいと、それか叶わないなら覚えていてほしいと、祈られ、祝福されながら、この家の中心にいた。」
    タマシイム・マシンは、実現してるね。
    すごいね。

    私はそこまでドラえもんのこと好きではなく、映画で泣いたとかいう人の話を馬鹿らしく思っていたが、辻村さんを好きになって、ドラえもんをきちんと読みたいと思うようになった。

  • 『ツナグ』、『ハケンアニメ!』に続く、3冊目の辻村作品。誰でも経験したことがある、家族あるあるや姉弟(姉妹)あるあるを絡めて、家族の素晴らしさを描いた全7編の家族小説❗

    面倒くさいことやムカッとすること、少し理解出来ないこともあるけれども、やっぱり家族っていいなぁと思える作品です♫

    好きな話しは、『私のディアマンテ』と『1992年の秋空』、『孫と誕生会』の三編です❗温かく優しい気持ちになれるとても素敵な作品です♫

  • 家族だから許し合える、家族だから許せないその違いは何だろう。
    喧嘩をしてもそこには相手を思い合う気持ちがあるかないかの違いなのかな。
    家族は気が合うから一緒にいるわけではない、始めから一緒にいる存在。
    こじれてしまえばややこしいし、けれども互いの気持ちを分かりあえたならこんなに頼もしい存在はいない。
    と、思わせてくれるお話でした。

  • 久しぶりに辻村さん作品を読みました。
    フジテレビ「タイプライターズ」で辻村さんを拝見し、
    久しぶりに読みたくなりました。
    番組にも登場した本作、未読のため購入しました。
    -------------------------
    あなたの
    家族も、
    この中に。

    「家族」で起こる、ささやかな大事件。
    心温まる短編集

    7つの”わが家”の物語
    真面目な姉を鬱陶しく思う、人気者の妹
    小学生の息子とうまく話せない学者の父
    娘の考えていることが理解できない母
    孫かわいさからの行動が裏目に出てしまう祖父

    読めばきっと、帰りたくなる。
    -------------------------
    これは読み終わった後に、
    「どれが一番印象的だった?好きだった?」
    って誰かと話したくなる一冊でした。

    家族だからこそ、
    反抗的になってしまったり、
    嫌だと思ってしまったり、
    普通以上に行動や態度に出してしまったり、
    でも家族だからこそ、
    本当は大切で、
    本当は大好きで、
    強く守りたいものだったりして。

    読みながら思わずほろりと泣いちゃいました。

    辻村さんは本当に日常の中に潜む、
    埋もれがちだったり、見ないふりしたい感情を
    ほらって掬い上げてくれて、
    それだけではなくて、そこからを描いてくれる。

    読み終わった後に誰かと話したくなる。
    他の方のレビューを見て、
    そうそう!私もって思わず言いたくなりました。苦笑

    • うたえながさん
      家族シアター!面白いですよね。全部心があたたまる話でしたよね!!
      家族シアター!面白いですよね。全部心があたたまる話でしたよね!!
      2024/03/08
    • pa-yanさん
      >うたえながさん
      コメントありがとうございます。
      ご返信が遅くなりすみません。
      家族シアター、誰かと話したくなりませんか??
      どれが...
      >うたえながさん
      コメントありがとうございます。
      ご返信が遅くなりすみません。
      家族シアター、誰かと話したくなりませんか??
      どれが印象的だった??って。
      最近涙腺が弱すぎて、読みながらちょこちょこデトックスでした。苦笑
      心が温かくなる読書体験て良いですよね。
      2024/04/07
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著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

辻村深月の作品

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