家族シアター (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 115
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062938488

作品紹介・あらすじ

近くにいるから傷つけ合う。遠くにいてもわかり合える。
大好きだけど、大っきらい--読めばきっと、あなたの「わが家」に帰りたくなる。

弟はアイドルオタク、姉はバンギャ。趣味も性格も正反対。犬猿の仲の二人は顔を合わせれば衝突ばかり。ある日、盗み見ている姉のブログに不審な投稿を発見してしまった弟。日に日に覇気がなくなっていく姉の様子が気になって仕方ない(「サイリウム」より)。

息子が小学六年の一年間「親父会」なる父親だけの集まりに参加することになった私。「夢は学校の先生」という息子が憧れる熱血漢の担任教師は積極的に行事を企画。親子共々忘れられない一年となる。しかしその八年後、担任のある秘密が明かされる(「タイムカプセルの八年」より)。

真面目な姉を鬱陶しく思う妹。
趣味で反発し合う姉と弟。
うまく息子と話せない父。
娘の考えていることが理解できない母……

あなたの家族もこの中に。家族を描く、心温まる全7編。

感想・レビュー・書評

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  • ああ、わかるわかる、とスラスラ読めてしまって、数時間で読了。さまざまな家族の、どこにでもある暖かくて少しギスギスしたストーリー。
    大体の人が家族に一番ぶっきらぼうで、一番甘えてる。大切なことほど言わなかったり、言えなかったり。
    でも伝えることが全てっていうわけでもない。でもどこかで一番大切だって自分が一番よく知っている。
    1992年の秋空がとても好きだった。不器用な妹と、器用なつもりでこれまた不器用な姉の、素敵な姉妹の話。

  • 『家族シアター』辻村深月さん
    とても読みやすく、1日で読み終わった。
    解説より、「7つの物語に共通するのは、家族という間柄は、近すぎるからこそ時に緊迫し、距離が生まれてしまうということ。その距離は、近付いたり離れたりする。こちらから壊したくなるような時もあるし、あちらから壊されそうにもなる。7つの物語には、壮大なハッピーエンドが用意されてるわけではない。それぞれの物語が、小さく灯る。ここからまた、新たにいざこざだって生まれるのだろうし、そのいざこざもまた、ゆっくりと解決していくのだろう。」
    「本書に描かれる家族は、揺れている。」

    『「妹」という祝福』
    結婚する姉と妹の中学時代の話。真面目な姉と、その姉のようにならぬように化粧を覚え、可愛くなった妹。姉の強さと妹の格好良さは、それぞれ違うけれどタイプの違う愛が姉妹であった。

    『サイリウム』
    ビジュアル系バンドを追っかける姉とアイドルを追っかける弟。姉弟と仲がいいとは言えない。言い合いして、お互いに不快に思っている時もあるけれど、結局優しい所があった。

    『私のディアマンテ(ダイアモンド)』
    母と娘の話。母も色んな母がいる。みんながみんな、娘が望んでいる言葉を、その時に伝えられることは少ないだろう。でも、この母は、いつもは違うけれど、娘が欲しい言葉をその時に、そのタイミングで与えられることが出来たんだと思う。

    『タイムカプセルの八年』
    お父さんの話。家族を顧みないタイプのお父さんかと思いきや、最後は子供のために、素敵なことをしていたお父さんだった。子供たちは知ることはないかも知れないけどけど、各々子供たちのことを思って行動してたんだろうな。親父会の絆。

    『1992年の秋空』
    年子の姉妹の話。姉と妹、似ている姉妹もいれば、そうでない姉妹もいる。それぞれ考え方は違うから、お互いに羨ましく思ってるところもある。色んなことがあっても、兄弟っていいなと思える話だった。

    『孫と誕生会』
    祖父と孫の話。とても良かった。孫への愛情を感じ、涙が出てきた。孫と祖父は、タイプや考え方が違い、すれ違うこともあるけれど、はかりきれない孫への愛が溢れていた。自分の祖父母もこうだったのかと思うと、余計に愛着が湧くストーリーだった。
    「俺たちの孫は、とてもいい子に育っている。」

    『タマシイム・マシンの永遠』
    ドラえもんのタマシイム・マシンの話。藤子・F・不二雄さんが好きな辻村さんらしいストーリーだなと思った。タマシイム・マシンは、のび太が赤ちゃんの頃の自分に、魂だけ入れ替わって入る話。伸太という生まれた子を通して、父親が自分がいかに周りから愛されてたか感じる話。
    「自分が生まれたその頃の様子を、数十年の時を経て、我が子に見せてもらっているのだ。」
    「俺は、大事にされ、愛され、色んな人に成長を見たいと、それが叶わないなら覚えていてほしいと、祈られ、祝福されながら、この家の中心にいた。」

  • たまたま目についたから。中身もたしかめず、何も考えずに買った。読み始めてから、「あ、短編集なんだ」と思った。辻村深月の短編を読むの初めてだった。
    題名が示しているように、この本は家族をテーマにしたオムニバスである。つまり、兄弟姉妹や親子といった関係、そこに生まれる確執と和解。それが上手に描かれている。長編作品に見られるような、壮大な伏線回収やどんでん返しはないが、どの作品もとても魅力的だった。
    村上春樹あたりが言っていた気がするが、短編を書くのは長編を書くのとはまったく異なる作業なのだと言う。たしかに、どちらも上手く書ける小説家は、そう多くはない。辻村深月はその数少ない一人かもしれない。

  • 姉妹、兄妹、父と息子、おじいちゃんと孫。
    家族の距離感は、家族ごとに、もっと言うならその構成員同士ごとに、それぞれの形がある。
    長い時間を一緒に過ごす、居て当たり前の関係。
    めんどくさくて、わずらわしくて、いとおしい。
    そういう大切さを、よく「いなくなって気づく」といった話は多いけど、辻村さんはちゃんと、続いてゆくその「当たり前」の尊さを描いている。
    はるかとうみかの年子の姉妹みたいに、違う部分もたくさんあるけど、根っこの部分でお互いを大切に思えるような家族は素敵だ。

  • 家族っていいなぁ

    ・あまり似ていない仲の悪い姉妹
    ・アイドルオタクの弟とビジュアル系バンドオタクの姉
    ・考える事がどこかズレている母と頭が良い娘
    ・息子の事に無関心な父親とその息子
    ・文系の姉と理系の妹
    ・アメリカから帰国した今時の孫娘と昔気質の祖父
    ・自分の息子を実家に連れて行き親や祖父母の行動に自分の子どの頃を重ねる
    七つの家族の物語。
    大体仲が悪い。でもそこはやっぱり家族。喧嘩し、貶しているがどこかでお互いの事を認め合っている。最後はホロっとする感動物語。

    どこにでもある家族の話。
    兄弟、親子、あまりにも似ていない。考え方も違う。当然喧嘩になる。
    誰もが経験した事のある話だと思います。
    自分の子どもの頃と重ね合わせて読んでしまい懐かしさと家族の良さを再確認して目が潤みました。
    ほっこりする話。気持ちを安らぎたい時にどうぞ読んでみてください。

  • 家族をテーマにした小説はたくさんあるけれど、辻村さんのそれは、痛い部分や目をそらしてしまう部分をすくい上げて形にしたような物語だった。
    兄弟や姉妹の話が多くて、弟が二人いる私は何度も胸がきゅーっとなった。
    親とは違う距離感、存在。私のところは姉弟だけで旅行に行くくらい仲が良いけれど、それでもいろいろある。喧嘩もするし、鬱陶しいときもあるし、でもものすごく大切。いつもどこかで気にしているし、何かあれば気が気じゃない。
    久々に、弟たちを誘って出かけようかと思った。最近どう?なんて、ちょっと姉らしい一言を添えて。

  • 家族をテーマにした短編集です。妹、弟、母、父、姉、祖父、夫の視点で描かれる、それぞれ異なる家族のお話。妹視点の「『妹』という祝福」や、父視点の「タイムカプセルの八年」が特に良かったです。

  • 実在しないヒーローの効力は、放っておいてもいつか切れる。子供がいつの間にかサンタの真実を知るように。一年きりで終わってしまう戦隊物のおもちゃを欲しがらなくなるように。効力は一時的で、しかもまやかしかもしれない。けれど、まやかしでいけない道理がどこにある。大人が作り出したたくさんのまやかしに支えられて、子供はどうせ大人になるのだ。

  • 息子が小学六年の一年間「親父会」なる父親だけの集まりに参加することになった私。「夢は学校の先生」という息子が憧れる熱血漢の担任教師は積極的に行事を企画、親子共々忘れられない一年となる。しかしその八年後、担任のある秘密が明かされる(「タイムカプセルの八年」)。家族を描く心温まる全7編。

  • 「妹」という祝福
    同性どうしの姉妹というと仲が良かったり悪かったりとして大人になって良い関係になるのだなと思いました。
    お互いに良い所も嫌な所も姉妹だから
    分かって許せる所が何とも良かったです。
    ちょっと泣けてしまいます。

    サイリウム
    趣味で反発し合う姉と弟。
    ここまでの趣味の違う兄弟ではなかったけれど、
    姉と弟という兄弟だったのでこの光景が手に取るように分かります。
    反撥し合いながらも何処か共有したり許し合っているところがやはり兄弟というのは良いかと思います。
    同じ題材で荻原浩さんのサイリウムもこんな感じの内容だったので
    少しデジャブかと思ってしまいました。
    サイリウムのように一瞬だけ輝く世界が芸能界なのかと・・・

    私のディマンチ
    母と娘のとはこんな感じで思い違いというのがあるのだろう。
    自分の娘の頃と思いを照らし合わせてみては
    色々と小言も言たくなってくる。
    自分に自信が無いと娘にもそれを伝えられないけれど、
    ここぞという時のひと言には胸が救われる。
    ラストは明るく微笑ましい姿が良かった。

    タイムカプセルの八年
    息子の父親だけの集まりからタイムカプセル探しになり、
    それをきっかけに過去の秘密が明らかになる。
    息子の秘密が父親の秘密も表れて懐かしい思い変わり
    これも心に響く作品でした。

    1992年の秋空
    お互いのことを羨ましがっていて、
    妹の怪我をきっかけにこれまで思っていたことが
    違うことが分かり、更に姉妹の思いが詰まっていて将来とても良い関係
    になりそうな予感のラストで爽やかな余韻でした。
    同性の兄弟だからこそ近くにいても本音の所まで分からないことが
    ひょんなことから分かるというのが良い関係だなと思いました。

    孫と誕生日
    少し昔気質なおじいさんと友達関係に悩んでいる孫娘とのやりとり。
    育ってきた環境や時代が違う孫だったけれど、
    やはり家族となるとほっとおけない存在の孫には
    時代が変わっても心がお互いに寄り添うと変化して
    良い関係になってとても微笑ましいなと思いました。
    こんな頼り甲斐のあるおじいさんがいると両親も安心ですが、
    孫も心の抜きどころが出来て教育には良いのかなと思いました。

    タマシウム・マシンの永遠
    ドラえもんが好きな夫婦を中心に家族を思う気持ちを綴ったもの。
    いつか自分の子供が自分と同じように
    自分が育ったことを見る日が出来るということが
    本当の幸せなことだというのを教えてくれた気がします。
    自分が親の立場になりまた自分の親の愛情に有難みを持ち、
    家族の絆を改めて再認識をするということも
    また人生を歩んでいくことに大事なことだとも思えました。

    姉妹、姉と弟、親子、祖父と孫などのそれぞれの家族の視点から作品が描かれていますが、家族だからこそ言えることであったり、
    近すぎて言えないことであったりと心が揺れ動くことがあります。
    けれどどんな状況になっていてもつかず離れずで、
    大事な時には寄り添い繋がっているというのが家族だというのが
    この作品ではよく表れていると思います。
    時代背景が育っていた環境と少し似ている所もあったこともありますが、
    心情や情景が細やかだったのでとてもリアルに感じられました。
    心の中がきゅんとしたり、じんわりと温かくなったりして
    改めて家族は良いものだと見直せる作品だと思います。

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著者プロフィール

辻村深月(つじむら みづき)
1980年山梨県生まれ。千葉大学教育学部卒業後、2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。2011年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、2012年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、2017年『かがみの孤城』で「ダ・ヴィンチ ブックオブザイヤー」1位、王様のブランチBOOK大賞、啓文堂書店文芸書大賞などをそれぞれ受賞。本屋大賞ノミネート作も数多く、2018年に『かがみの孤城』で第6回ブクログ大賞、第15回本屋大賞などを受賞し、2019年6月からコミック化される。他の代表作に『子どもたちは夜と遊ぶ』『凍りのくじら』『ぼくのメジャースプーン』『スロウハイツの神様』『名前探しの放課後』『ハケンアニメ!』『朝が来る』など。新作の度に期待を大きく上回る作品を刊行し続け、幅広い読者からの熱い支持を得ている。2020年、河瀬直美監督により『朝が来る』が映画化される。

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