狂い壁 狂い窓 (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062938549

作品紹介・あらすじ

東京・大田区の高台に樹影荘と名づけられた古びた洋館があった。かつて産婦人科病院として建てられたもので、かたわらには鬱蒼とした樫の大木が生えていた。ここには六組の入居者が住んでいた。この樹景荘で怪事件があいつぐ。トイレの血文字、廊下の血痕、中庭の白骨…血塗られた洋館と住人たちの過去が、今あばかれる。

感想・レビュー・書評

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  • アマゾンさんの評価は余りよくなかったが、私は大変面白く読むことができた。著者の表現力の豊富さに驚かされ、題名通りに狂気的な感じを受けた。ミステリーとしても最高であると思う。

  • かつて産婦人科の病院としてつかわれていたアパート「樹影荘」に暮らす六組の住人たちの身のうえに、次々に奇妙な出来事が起こります。やがて住人の一人である梅本という男が、樹影荘近くの不見地蔵のもとで首をくくって死亡しているのが発見されます。

    こうして、楢津木という刑事が登場し、樹影荘にまつわるさまざまな出来事の謎を追い求め、やはり住人である「御原響司郎」と名乗る少年とともに、住人たちの過去にまでつながる因果の糸を解きほぐしていきます。

    ミステリとホラーを融合させた三津田信三の作品とは異なって、前半は、ホラー小説仕立てで「樹影荘」の住人たちの身に起こった奇妙な出来事がつづられ、楢津木が登場する後半になってミステリらしい叙述に変わります。登場人物の狂気がからんでくるので、ミステリとしては多少強引に感じられなくもないのですが、ホラー・テイストでつづられた奇妙な出来事に、それなりに明快なオチがつけられているところに、やはりミステリらしい読後感をあじわえる作品だと思います。

  • 『ウロボロスの偽書』に続き、竹本作品六作目。初めから薄々、夢Qぽさを感じてはいましたが…終章で確定しました。この作品の中で、正常な人はどれだけいたでしょう…。キ○ガイのオンパレードでしたw 人間の底無しの狂気が溢れたトンデモ作品。星四つ。

  • ひたすら陰気な空気に浸りたいなら読むといいかもしれない

  • 怖いと聞いてすごいと聞いて読んで、あんまりすごいと思わなかった。読みにくいわかりにくい。コロンボや、横溝正史を思い出すような半端さが目立つ。面白くないわけではない。

  • 怪奇ミステリ。「将棋殺人事件」「トランプ殺人事件」に続く狂気三部作の三部作目。怪奇ミステリと書かれているだけあって本格ミステリとは違っていかに恐怖や狂気をそそらせるかに重きが置かれている。部屋を覗く蝋面、投げ入れられたマネキンの恐怖の首、埋められてから掘り返された死体。そういった怖さの象徴のようなものがこれでもかと散りばめられている。ミステリとしての謎はあっけなかったけれどホラーとして読むなら面白かった。

  • 本書は昔、産婦人科だった古いアパートが舞台だ。「廃病院」、「古いアパート」という、ホラー界のパワースポットとでも呼べる場所が好きな方には、たまらない小説だろうと思う(笑)しかし、私には向かない小説だった。なぜなら、やたらと難しい語句が使われている上、登場人物が多い中、短い章ごとに人物視点がコロコロと変化するので、非常に読みづらかったからだ。だから個人的には好きになれない作品だった。

  • 大森が舞台なんですね。洗足池や川崎など馴染み深い地名がぽこぽこでてきてそこらへんの景色を思い浮かべながら、どこらへんにあるんだろう?って、すごく近くに樹影荘を感じながら読んでたので面白かった。貧困の匂いがするじめじめした大田区感、生活臭が生々しい笑

  • 読み始めて古っ!!ってなったんだけど1983年発行なのか・・・怖いっていうか不快なんだなぁ。描写が。

  • 『涙香迷宮』の牧場智久シリーズらしいと言う事で手に取った一冊。

    ゲーム三部作シリーズの中の……と思っていたらどうやら違った模様……おや?


    牧場智久くんと言うと、高校生でプロの囲碁棋士
    少年らしく遠慮がちで謙虚
    女の子に大人気
    そして探偵役


    くらいの知識しかないのですけど
    本作にどう関わってくるのでしょう……?と読んでてサッパリだったのです


    全体的に読んでいて、ホラーテイスト。
    不気味な古いアパートで起こる怪奇ともとれる現象
    ついには死体まで。
    住人は勿論皆怪しくて、過去の住人もとっても不気味。

    夜寝る前に思い出してコワアアアアアってなるホラーだったのですね
    映像で見なくて良かった。これ夢に見るのですよ。


    ミステリとしての印象より、ホラーのが強烈で可もなく不可もなくミステリ
    ただ。
    ただ一つ、やっぱりあれは頂けない。
    最後の男の子のアレってどーなのですよ

    突然の出来事で「は?」となった読者も多いハズ

    あれ必要でした?と言うかあれは要らないとしーなは言いたい。
    それまでのストーリーが台無し。
    しかもたった数行のアクシデント?で雑な出来事としか言いようがない。


    「この作者はこの男の子の扱いをどうしたいの……?」と言う事に気が行ってしまって
    (そうでは無いと分かってはいつつも)作者がぞんざいに扱う様なキャラのシリーズって何かもう読む気が……と感じてしまう始末。

    何か受賞した本じゃない限り、恐らくもう読まないのです
    ウロボロスシリーズ好きだったのに……再読して気が済んだら、封印予定。

    あのよく分からないエピソードまではかなり雰囲気の怖い好きなタイプのミステリだったのになぁ

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著者プロフィール

竹本健治:
一九五四年兵庫県生れ。佐賀県在住。中井英夫の推薦を受け、大学在学中に『匣の中の失楽』を探偵小説専門誌「幻影城」上で連載。デビュー作となった同書は三大奇書になぞらえ「第四の奇書」と呼ばれた。
ミステリ・SF・ホラーと作風は幅広く、代表作には『囲碁殺人事件』『将棋殺人事件』『トランプ殺人事件』の「ゲーム三部作」をはじめとする天才囲碁棋士・牧場智久を探偵役としたシリーズや、自身を含む実在の作家たちが登場するメタ小説「ウロボロス」シリーズなどがある。近著に大作『闇に用いる力学』。

「2022年 『竹本健治・選 変格ミステリ傑作選【戦後篇Ⅰ】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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