世界の果てのこどもたち (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 39
レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (473ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062939027

作品紹介・あらすじ

珠子、茉莉、美子――3人の少女は、戦時中の満州で出会った。何もかも違う3人は、とあることから確かな友情を築き上げる。やがて終戦が訪れ、3人はそれぞれの道を歩み始める。日本、中国で彼女たちはどう生きたのか。そして再び出会うことはあるのだろか――。2016年本屋大賞第3位に選ばれた、感涙の傑作、ついに文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • 高知の貧しい農家に生まれ、開拓移民の子供として満州に渡った。敗戦後、命からがら収容所に辿り着くも人買いにさらわれる。その後、子供のいない中国人夫婦に育てられ残留孤児となった珠子。
    皇民化政策によって日本の教育を受けて育った。やがて満州を追われ日本に逃げたが、終戦後に勃発した朝鮮戦争により帰る祖国をなくしてしまった美子。
    横浜の貿易商の裕福な家に生まれた。空襲で家族も可愛がってくれた隣人も亡くし一人、施設で育った茉莉。
    この三人の子供たちが一つのおむすびを分け合って食べた記憶が、思いやりと信頼の心を忘れずに生きて行く力となった。
    と、言うととても綺麗な物語のようだが、彼女たちの身に起こった事は耐え難く、戦争とはいえ人間は一つ間違えるととんでもなく酷い事をする生き物なのだと怖くなった。同じような境遇に置かれても結局、最後は人間性なのかもしれないけれど。

    子供の頃に離れ離れになった三人は、珠子が中国残留孤児の調査のため日本を訪れる事により再会する。日本の家族の事も日本語もすっかり忘れている珠子だったが、おむすびの記憶だけはちゃんと持っていた。戦争や憎しみは何も生まないけれど、思いやりや信頼は心の傷みを癒し、やがて乗り越える事が出来るというやはり美しい物語なのだろう。

    人々の生活や人格まで変えてしまう、誰も幸せにならなかった戦争は、いったい何のため誰のためだったのだろう。それほど遠くない過去だというのに。

  • 戦争に翻弄されながらも生きていくことができたのは、愛されていたと言う記憶のおかげだった。

  • 本屋大賞2016年3位。満州移民の悲惨な話は「闇に香る嘘」ってのがあったけど、この本も前半は重苦しい話が続く。朝鮮半島や中国の一部を第二次世界大戦までは日本が支配下に置いていたことが、今の反日感情のベースとなってるんだなってことを再認識させられる。かつてのヨーロッパの大国がいろんな国を植民地にしてたことによる根強い反感ってのもあるのでしょうかね。征服欲によって形作られた人間の歴史ってのはやっかいなものです。この小説はそんな悲惨な描写が細かいのと長いのでやや退屈です。それでも、人から優しくされた記憶が悲惨な状況に耐えて豊に生きていく糧になるってことや、そういった心のつながりの暖かさに心を揺さぶられます。最後の方は泣きました。なんか、生きる勇気を与えてくれる本です。

  • 戦後の話。残酷な場面もあったけれど引き込まれるものがありすぐ読み終えてしまった。忘れてはならない時代の話。

  • 私たちが出会ったあの頃は、戦争の真っただ中だった

    珠子、茉莉、美子―三人が出会ったのは、戦時中の満州だった。何もかも違う三人はあることをきっかけに確かな友情を築き上げる。やがて終戦が訪れ、それぞれの道を歩みだす。二〇一六年本屋大賞第三位作品。

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プロフィール

1974年徳島県生まれ、高知県育ち。高校在学中に『魚のように』で第2回坊っちゃん文学賞を受賞し、17歳でデビュー。2012年『きみはいい子』で第28回坪田譲治文学賞を受賞、第1回静岡書店大賞第1位、第10回本屋大賞第四位。2014年『わたしをみつけて』で第27回山本周五郎賞候補。2016年『世界の果てのこどもたち』が第13回本屋大賞第三位にランクインする。他の著書に『こりゃ まてまて』『みなそこ』など多数。

「2018年 『神の島のうた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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