本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (192ページ) / ISBN・EAN: 9784062939096
作品紹介・あらすじ
芳香剤のメーカーで働く地味な会社員、豆子は、自身の結婚式を機に、金銭感覚が人生と共に変化していくことの面白さを発見する。決して「モテ」を追求することなく、社会人としての魅力をアップしていきたい。退職して、「香りのビジネス」を友人と起こそうと画策する。香水に、セクシーではなく、経済力という魅力を! 仕事と経済、カップルでいること……をみずみずしい筆で紡ぐ、新感覚小説!
仕事と経済、カップルでいること……をみずみずしい筆で紡ぐ、新感覚小説!
芳香剤のメーカーで働く地味な会社員、豆子は、自身の結婚式を機に、金銭感覚が人生と共に変化していくことの面白さを発見する。
決して「モテ」を追求することなく、社会人としての魅力をアップしていきたい。
退職して、「香りのビジネス」を友人と起こそうと画策する。
香水に、セクシーではなく、経済力という魅力を!
感想・レビュー・書評
-
結婚と、男女の役割と、人生と。
豆子ちゃんは自分の立ち位置として、夫婦、会社、社会の中、男女という意味でもどう思われているか、わかっていて、それを認めてほしいと思っていた。
特にお金に関しては思うことがあり、彼を支え、友人たちから認めてもらいたい気持ちが強かった。
認めてもらうために、豆子は将来に、と思って貯めた600万円を一気に使う。そして心が揺れ動く。実際に使ってみて…
こつこと貯めたお金と、援助してもらうお金はもちろん重みも意味も違う。こだわるけれど、そしてこだわったにもかかわらず、得られた結果は「あれ?」というものだった。
豆子は美人ではなく、かわいい部類でもない。
可愛くなりたいと努力し、その路線で生きていくか、自分の道を拓くか。
それは、どちらが気持ちがいいか、どちらが楽なのか、ということと関連があるし、判断・決断するということからの逃避とも関連があるのかもしれない。
豆子ちゃんは若いうちからいろいろと考えて決断している。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
二〇一八年の小説。女と結婚(もちろん男も関係あるが)をテーマとした思考小説(そんな言葉はなさそう)みたいな読み心地で、半分くらいまでは、共感したり、批評眼の鋭さに恐れ入ったりしつつも、今どき珍しくもない本かなと思いながら読んだ。
わたくしの経験上、こういう話で最後に突然奇跡が起きてすべてがうまくいったというようなご都合主義な展開はないだろうが、逆に、すべてがうまくいかず、いやーな気持ちになって終わる可能性はある。山崎ナオコーラさんの本を読むのはこれが初めてだったのでそこんとこの信頼みたいなものもなく、絶望オチだったらいやだなと、まあそれは好みの問題だが、後半はそれだけが心配でおっかなびっくり読み進めた。
でも結果的にそれは取越し苦労で、読後は「色々あるけど明日も頑張ろう」という、現代の現実的な小説を読み終わった時にいちばん私がなっていたい気持ちになれていた。主要人物たちの誰を嫌いになることもなく、一呼吸おいた今振り返るとむしろ全員愛おしい。ん、タイトルの“可愛い”世の中、ってそういうこと?
以下、備忘メモ。
・花、豆子(主人公)、草子、星の四姉妹もの。
・「『可愛くて人に頼るのが上手い女性』と『地味で自立している女性』の結婚を一緒にしないでほしい」
・「とにかく、自分で決めた、という実感があればいい。(略)あとになって人のせいにしない覚悟があれば、どんな決断だってしていいのだ。」 -
メーカー勤務、月給34万円の豆子。
結婚相手の鯛造より稼ぎがあるので結婚資金を全額負担したのだが、周りは「すごい」とも「気概がある」とも言ってくれない。
どうやら親が援助していたり、鯛造もいくらか出してると思い込まれてる?なぜ?
納得できない思いを抱えつつも莫大なお金と労力をかけて丹念に準備し、いよいよ迎えた結婚式当日。
あろうことか無礼な友人が豆子を揶揄するエピソードを仕立てあげ、笑い話として披露した。
どうしても許せなくて、ゲスト一同の前で発言を非難する豆子。
結局、やっとの思いで実現した結婚式で得たのは「怖い女」という他者評価。
泣いても泣いても涙が枯れない、トラウマのような思い出になってしまったことは、読んでて辛かった。
けれど自分の結婚式という、何がどうなっても笑顔でいなければと思わせられるような場面で、他でもない自分自身の尊厳のために怒る。
物語を通してそんな光景を目の当たりにできたのは、ものすごくよかったと思う。
自分で自分の人間性を守る。
きっと一度目だったら、とっさには難しい。
この物語のおかげで一度目を擬似体験できた。
次ならきっと、私にもできるはず。 -
結婚式の準備に明けくれる豆子__湯水の如く溢れ出す不満はとどまること知らず。お金がなくなると心の余裕がなくなるとはこのことか。ミステリーじゃないのに味わえるスリル感が面白かった!正直、結婚式やめてしまえと何度も思った。
-
やべ〜やっぱり山崎ナオコーラさんは最高だなと思う一冊だった。一気に読んでしまった。めちゃくちゃ読みやすいけど、なんというかいろんな世の中のコンプレックス?みたいなことに切り込んでいる感じがする。ロックすぎる。でも私にはものすごくまっとうに思える。すごく淡々とした文章からにじみ出ている反骨精神が私は好きだ。
いろんな問題意識を抱えていてロックだけど人からちゃんとしていると思われたい、人の目をめちゃくちゃ気にする豆子さんの心もとてもとてもよくわかる。。(私は豆子さんほど経済力がないが)
なんというか社会の風潮とか空気とか、なんとなく当たり前になっている価値観みたいなものに異議を持ちながらもそこから外れることに対してはものすごく臆病というか、、矛盾してるけどしてないんだよ。。めっちゃわかる。
結婚相手とパートナーになりたくないっていう考えは私の中では目からウロコな感じで、でもまたそれもひとつの関係性でいいなと思った。
人と人との関わりにはいろんな形があるはず。
世の中の人間は山崎ナオコーラの小説が刺さる人と刺さらん人にわけられる気がする今日このごろ。たぶん当たり前みたいに存在している世の中の条理みたいなものに、素直に従える人からとったらこじらせていると感じるんやろうな。。
香りで世の中変えようとしてるのもめちゃユニーク。ゴボウの香水。めちゃくちゃ前向き。何度でも読みたい。 -
いい話だった。
いつだったかどこでだったか何もかも忘れてしまったが、この本を何かで知って、ほしいものリストに入れていた。で、買ったのも随分前だったが、ようやく何かの拍子に手にとって、読み終えた。当時付き合っていた人にもこの本をなんとなくで勧めて、読んでもらった覚えがある。自分は読んでないのになぜ勧めたかは覚えていないが、とにかくそれで読み終わった彼女がどう反応をしたか……それも詳しくは思い出せない。ただ微妙な反応だったことは記憶にある。読み終えた今だからわかることだが、この本を勧める彼氏とはどういうことなのか、なぜこの本を私に読ませたかったんだろうと、当時の彼女は悩んだに違いない。
さて、この作品は広く男女をテーマにしていると言っていい。女性の自立とはどういうことか。女性が自立しているとはどういうことか。ここにはある種のバランス感覚が求められるが、それがかなり巧みなしかたで、釣り合いのとれた筆致をもって描かれていた。
主人公の豆子には多くの点で共感した。色んなところで自分を見ているようだった。時折、豆子の考えに「いや、そうかなあ」と反論しそうになるのだが、それはたぶん自分自身への反論であり、そのときの俺は知人や世間の「一般的な感覚」を代弁しているだけだった。当時どういうわけかこの本をほしいものリストに入れて読んでもないのにわざわざ彼女に勧めた自分の嗅覚は、結果的になかなか鋭かったなと思う。
あと鯛造がなんともいいやつで、最後のホテルでの二人の会話なんかを見てるとこの夫婦はほんと相性いいんだろうなと思わされた。 -
2022年最後の読了。になるでしょう。
昨日、同作者の『ベランダ園芸で考えたこと』を読み終えたばかりだが、本作にもベランダ園芸が出てきて嬉しくなる。
もっと言えば、エッセイ集『かわいい夫』で綴られていた内容(一家の大黒柱になりたいことなどを含む、結婚観や対人関係について)が多く物語に盛り込まれていて、また嬉しくなる。
本作は、花、豆子、草子、星から成る四姉妹の次女豆子に焦点を当てた話だが、豆子が完全にナオコーラさんそのままだった。
頭の中で完全にナオコーラさんを思い描きながら読み進めた。
他のひとのレビューにもあるように、確かに豆子は色々考えすぎて面倒くさい人間なんだけど、やっぱり面倒くさいひとの方が面白くて人間らしくて好きだ。
そして、面倒くさいひとがいないと世の中は変わっていかないと思う。
最近、香水の研究に携わっていたのもあり、香りのビジネスも面白いと思った。かなり抽象的だけど。
良い女とかではなく、『こう見られたい』という自分に一歩近づけるような香水に巡り会えたら素敵だなぁ。
2022年、楽しい読書体験をたくさんありがとう、という気持ち。
-
豆子、めんどくさい。
仕事をがんばると決めたならそれでいいのに、絶えず誰からも褒められたいという欲求がある。他人なんて、そう簡単に褒めないよ。簡単に褒めるときは興味がない証拠。
自分の結婚感や仕事感をあーだこーだとまくし立ててるけど、その一方で誰よりもそのことを意識してる。著者自身のプライベートにも関係しているのではないかとうがった見方をしてしまう。
なかなかおもしろい四姉妹だから、それぞれの話をもっと読みたかった。 -
世間のジェンダー感、結婚、仕事などに悩む豆子はちょっとだけ変わったところがあるけど(そこが魅力!)現代日本に生きるアラサー女性は共感することが多いと思います。
うじうじ考えがちで、妹からも面倒くさいと言われてしまう豆子ですが、それでも自分なりの幸せを求め少しずつに進んで行こうとする姿は愛おしく、元気が出ます!
経済力と社会参加に価値をおく女性、豆子は自分では容姿に恵まれていないと思っていて、それゆえまめまめしく働き、社会に「いても良い」と認められたいと思っています。
ある日、同僚から「子どもが欲しいなら35歳までになんとかしなきゃいけない」と言われ、32歳の豆子は焦ります。
今まで他の女性たちとは違った幸せのかたちを目指していたのに、世間からは「女は子どもを産まなければ社会から認めてもらえない」ような気がしてきたからです。
豆子はその後、鯛造という経済力はあまり無いけれど愛すべき男性と出会い、結婚することに。
自分の魅力は世間一般的なお嫁さんとは違い、経済力だと思う豆子は結婚式もそんな「特殊な」自分たちらしいものを開いて、一家の大黒柱として資金も全て自分が負担したいと思います。
しかし周りに豆子の思いはなかなか理解してもらえず、「男であれば尊敬されるであろう行いが女であるために正しく評価されない」と思います。
アラサー女性が悩みがちなことが、豆子という独特なフィルターを通して描かれるところがとても面白かったです。
共感できるところもあれば、「そんな風に考えるんだ!」と思ったり。
豆子の姉妹たちもそれぞれ個性的で、それぞれに共感したり、しなかったり…
なんだか女子会みたいな小説でした!
わたしも一つのことに対して無駄に(?)思い悩みがちなので、豆子の考察は面白かったです。 -
-
豆子の「ゴボウさ」が世の中という「煮物」に旨味を与えてくれるんだな〜。
-
主人公の性格めんどくさいし
自意識過剰だしプライド高いし
好きじゃないけど 、
頑張れ!ってゆーか頑張ってる!すごいよ! 偉いよ!
って伝えたい。
可愛いが必要な世の中にこんな人もいて
いいはず。
-
私は経済力を誇る気持ちはないし(誇れる経済力もない)、自立しているということを殊更主張したい気も、消費や納税で社会に貢献しているという悦びもそんなに感じないが、自分をブスだと評し、かわいく見せることに興味が湧かないというところは自分のことかなと思うくらい共感した。
そうなのよ、そもそも可愛くない上に、少しでも可愛くなりたいという欲すら湧かないのよね〜と。
(こんな薄い理解になって申し訳ない。豆子はもっとちゃんと言語化しています)
こんなに自分を客観視して言語化して理解しているのに、自分をぶすと評したり発言小町を見たり、きっとするべきではないと思いながらも見てしまう思ってしまうところも等身大の人間そのもの。理解してても行動に落とし込めないこともあります。
経済力があること、それを少し褒めてほしいと思うことは男性と女性で感じ取られ方は確かに違うだろうな…言われてみて初めて認識し、ハッとするくらいには私もステレオタイプな価値観に囚われていることを教えてくれた良著。
宇多田ヒカルさんが一般の方と結婚されるときに相手の経済力について記者から質問された(とても失礼)際に「経済力は私にとって最も重要でないもの」
みたいなことを答えていてカッケーー!ってなったので、豆子の気持ちもわからないではない。
でも、一般的な価値観と違う価値観を押し通すのは茨の道ですよね。この本の評価が伸び悩むのも多くの人に理解し難いせいなんだろうな。わたしもそういう考え方があるんだとこの本で知れたので視点が広がってよかったです。少しずつ理解が広がって段々多様な価値観が受け入れられるようになるんだろうな。
-
人によって相手に求める期待は異なる。自分の努力は隠して人に期待しないことが落胆せずに生きれる、ということを学んだ。
結婚式はプランナーやパートナーを頼って、どう見られるかよりも、自分たちがどうしたいか、を優先して考えていくべきと感じた。 -
友達からもらって、2019年3月に読んでた。四人姉妹の次女が主人公のこの本は若草物語オマージュだろうと最近読んだブログに記載があって、そうなのかと読み返した。
女性が経済力で評価されないことに対する疑義は強くあるけど、人に何と言われようと突き通すような胆力はない。実行する器用さもない。その揺らぎがかなり愛すべき可愛い人!!生きてる!!フェミニストではない、という豆子やけど、「男性らしさ」で評価されようとするのではなく、ジェンダー規範から解放されたいという風に思考を持っていくともっと楽になれそう。何冊か本貸そか〜。
「魅力は自分じゃなくて人が決める」っていう花の言葉よかったな〜。
2019年の私がどんな感想を持って星5つにしたのか知りたい。感想残しといてくれよ! -
登場人物の考え方が強く全面に出てきて、1人の人間というより、考え方が述べられていると感じるところもあったかなという印象。
タイトルがひらがなの「かわいい」でなく普段あまり見ない漢字表記の「可愛い」であることに、皮肉や違和感が込められてる。 -
【再読】
たとえ好かれたいとか良い女に見られたいとかの感情が無いにしても、豆子は可愛いが得意ではない。
私は豆子とは違い経済力もないので良い女に見られたい。 -
わたしだけじゃなかったけど、わたしは、どこまで認められたくて、その上でこんなにも卑屈なのだろうかね
自分を貫きたいのではない、そうするしかないこと、豆子えらいよ、どうにか楽しく生きていて欲しい -
豆子最初は大丈夫かなこの人と思ったけど、大失敗も含めて愛おしい。自分の生き方貫いていてかっこいい!落ち込んでる人がいたらおすすめしたいと思う本。
-
一昨日読んだ山崎ナオコーラさんの「可愛い世の中」
なんだか私には縁のない性格や特徴、人生の渡り方をする主人公。結婚を軸に進んでいくのに全くハッピーじゃないし五本の指に入るほど好きな作家さんだけど今回は残念だった、と思ってた。けれど、さっき。ふわふわ考えていたらいきなり腑に落ちた。豆子が香水の事業を始めるパートナーとして夫とは別に彼を選んだように、結婚のお手伝いを家族に頼んでしまったように、パートナーは目的ごとに存在して、全てを相方一人に抱えさせることは間違いだったと。例えばライブハウスや読書やカレーや音楽、同じものが好きなひとなら無理させず共に隣で楽しむことができるし、ふたつの脳みそで考えごとができる!あたりまえだけど、わすれていたこと。
著者プロフィール
山崎ナオコーラの作品
本棚登録 :
感想 :
