雨の日も神様と相撲を (講談社タイガ)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062940108

作品紹介・あらすじ

「頼みがある。相撲を教えてくれないか?」神様がそう言った。
子供の頃から相撲漬けの生活を送ってきた僕が転校したド田舎。そこは何と、相撲好きのカエルの神様が崇められている村だった!
村を治める一族の娘・真夏と、喋るカエルに出会った僕は、知恵と知識を見込まれ、外来種のカエルとの相撲勝負を手助けすることに。
同時に、隣村で死体が発見され、もつれ合った事件は思わぬ方向へ!?

感想・レビュー・書評

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  • 体格には恵まれていないけど相撲一筋だった文季が引っ越した村は相撲好きのカエルの神様が崇められていた。ひょんなきっかけから神様相手に相撲の指導をする事になる話と同時に村で起こった妙な殺人事件の謎を解く話が上手く絡み合っており、相撲の蘊蓄も読み応えあった。そしてさらに村に伝わる因習のルールに基づいてイノベーションを起こす展開の畳みかけ方がまた上手い。後で考えると無駄な所がない事に気付く。でも読んでいる時はそれに気付かないのは単純に凄いと思った。

  • 「スパイラル」の時から城平京先生の大ファンで、先日ネットで新作が出ていると知って購入。いったいどんな話かと思えば「両親を事故で失った少年が、相撲が盛んな村でカエル(神様)に相撲を教える話」と聞いて、頭の中が真っ白になった。
     と同時に、いかにも城平先生らしい荒唐無稽な話で、多分世界中を探してもこんな話は先生にしか書けない。
     そしていざ読み進めると「相撲」をテーマに構成された骨太な世界観、澱みもムダもない完璧なストーリー、生き生きと描かれるキャラクター――さらには「推理要素」と「恋愛(青春)要素」も織り交ぜられ、最後の一文字まで心から楽しんで読むことができました。
    ――本当に。本当に凄すぎる。
     読後に興奮のあまり、SNSで絶叫せずにはいられないほど面白かったし、読書・小説による「面白さ、多幸感」をここまで感じさせてくれた作品は久しぶり。
     こんな素晴らしい作品に出会えた喜びと感動。なにより「楽しさ」を、是非あなたにも知ってもらいたい。
     超絶的にオススメの一作です。今すぐ本屋で購入してください!

  • 二度目ましての作家さん。
    『名探偵に薔薇を』が面白かったのですが、
    同じ著者なのに、タイトルのイメージが
    かけ離れている。(〇o〇;)

    両親を事故で失った文季が叔父の住む村に引き取られた。
    その村では、カエルが相撲をとり、神様扱いされていた。
    普通はこの時点でダメなんですけど、読まされました。

    小柄で華奢な文季と、カエルに仕える大柄で怪力の少女。
    祭りに奉納する為の相撲と外から来た赤い奴。
    そして、村境では、死体遺棄事件が?
    いやぁ~楽しく読まされました。

  • 今、自分的に相撲ブームなので、勝ち方を理論的に言語化検討していく所が面白かった。

  • カエルの神様(カエルに憑依した)に相撲を教えたり殺人事件の謎解きをしたりするお話。
    一冊の中に色々盛り込まれているなぁと思う。
    国取神話や相撲神事、相撲技などが主人公の少年から語られていて好きなジャンルなので面白く読めました。
    閉鎖された村でのファンタジー物語と思いきや、ラストは恋愛ファンタジーになってた。
    物語のその後、閉鎖的な村は無事イノベーションされていくのか?その後の物語も読んでみたくなります。
    著者の合理的であろうとする謎解き小説、好きです。
    主人公の少年は「虚構推理」の岩永琴子ちゃんを性別変えてソフトにした感じだと思いました。 

  • 「第一章」
    カエル様の前でやる事は。
    信仰対象はその地によって違うが、カエルが祀られ尚且つ相撲を見せるというのは面白いな。
    彼は体格や力は弱いかもしれないが、それを補えるレベルの知能を持っているのだろうな。

    「第二章」
    彼のアドバイスは鋭く。
    頭脳を使わなくては勝てないと言うが、そんな相撲の取り方を出来る人物はきっと少ないのでは。
    一度組んだだけで相手の欠点や癖に気付けるのは、長年の成果かもしれないが重宝統べき能力だろう。

    「第三章」
    彼の転校と共に現れた。
    タイミングが同じだったのは、きっと偶然なのだろうけれど色々と重なり過ぎて少し気になるな。
    個性と言えばそれまでだが、流石に身体を麻痺させる毒は少し狡くないだろうか。

    「第四章」
    勝つ為に身に付けた技。
    卑怯な事をせず正々堂々とやるとなると、相手が見た事ない技や戦法を使わざる得ないだろうな。
    たった数日で各々カエルに合う技を完成させるだけで無く、それを見て改善点を出せるのは本当に凄いな。

    「第五章」
    彼が考えていた計画。
    昔ながらの事を変えるには勇気がいるし、周りからの批判などに耐える事も出来なければならないからな。
    カエル様や村の人から信頼を得てから、最後の仕上げとばかり彼女を助けた彼は本当に頭がいいのだろうな。

  • 「「頼みがある。相撲を教えてくれないか?」神様がそう言った。
    子供の頃から相撲漬けの生活を送ってきた僕が転校したド田舎。そこは何と、相撲好きのカエルの神様が崇められている村だった!
    村を治める一族の娘・真夏と、喋るカエルに出会った僕は、知恵と知識を見込まれ、外来種のカエルとの相撲勝負を手助けすることに。
    同時に、隣村で死体が発見され、もつれ合った事件は思わぬ方向へ!?」

  • 思いがけないスポ根ミステリでした。
    当たり前に見えていたものから急に現れる謎と突きつけが物語とリンクしていく。
    心地良い裏切りのような感覚。
    読み終えたときの満足度がやばいっすね。

    同世代との関係や相撲との向き合い。
    ラブコメ的な部分もめちゃくちゃ好き。

    【ざっとあらすじ】
    相撲から離れた主人公。
    相撲ですべてが決まる村に転校します。
    そして神様に相撲の指南をすることになる物語。
    さらに近くの森で変死体も見つかります。

    それぞれがリンクしていく青春ものです。

  • あ、このひと虚構推理の人か!
    読んでから気づいた。

  • 相撲に愛された少年の話。ファンタジーなお話と思いきや、歴史や神話と古典や伝承を下敷きに、フランク過ぎないお話でとても好みでした。 スポーツ系のお話はどことなく食わず嫌いしてしまう私ですが、読み進めていくごとに面白くて食い入るように読み切りました。

    相撲を取るには体格が小さく、体力もない逢沢文季。彼が相撲好きの両親を交通事故で喪い、親族である叔父に引き取られと久々留木村と引越す。もう相撲から離れられる…と思いきや、その村は相撲文化が深く根付いた場所で、上げくの果てに神様と崇められるカエルたちの相撲勝負に手を貸すことになる。

    自分の不利な部分を知識で補う主人公が認められていく姿。とても好きです。
    相撲に詳しくない私が読んでも迫力のある描写で描かれており、カエルたちの相撲というコミカルなものになりそうなところも重厚に書かれている。
    城平先生の、肉を切らせて骨を断つ…とても言えばいいのか、自身も無事では済まないが何かしらを犠牲にして勝ち上がる主人公の描き方が、魅せ方が俊逸すぎる。

    p256の「僕はずっと、何のために相撲をやってきたか考えてきた。​───……」の部分は興奮しましたね。文季と真夏が学校で出会った時の「何、これ?」は酷すぎない?と思ったが文季もわりと失礼だし、カエルたちからバラされる真夏の可愛らしい一面を知ると、互いに素直(?)になり切れないところが、とても愛らしいと思います。

  • 探しに探してやっと手に入れた講談社タイガの一作目。
    虚構推理に似てるなーとか少し思ったけど、それは置いておいて。

    相撲とミステリというコンセプトから嫌厭してたのがもったいなかった。
    ミステリ色はほぼなかったけど笑
    それでも伝奇、SF、恋愛等、盛りだくさんの内容。
    惜しむらくは主人公がクール過ぎて人を選ぶか。

    一番の誤算は、真夏のヒロイン力が半端なかったこと。
    いや、城平作品でダントツ一位だと思う(クセが強いヒロインが多い中、珍しく王道)。

  • 強制的に相撲を両親に習わされていた主人公だが
    死別により、もうしなくていいかと思っていたら
    引取られた先は、相撲が盛んな場所だった。

    うわぁ…な状態です。
    やっと終われると思っていたものから逃れられない。
    何という嫌な現実。
    と思っていたら、相撲がそこまで嫌だったわけでも
    なさそうで、よかったな、と。

    しかし主人公すごいです。
    完全な知正派。
    最初から最後までその状態に、ここまで冷静だと
    いっそ清々しいものがあります。

    村であがめられているカエル。
    そして近場で起きた、死体と一緒にカエルが
    鞄に放置されていた事件。
    ついでのように解決していくので、そちらはそちらで
    面白かったです。

  • 蛙が、いやカエル様が相撲をとるだけのファンタジーなだけの話かと思ったら、話が思わぬ方向に…

    自分を凡人(寧ろそれ以下)と思っている中学生男子が、相撲はすぐには強くならないと言うのが良い。人間はぱぱっと強くはならないよね。

  • 虚構推理みたいなのを期待して読んだけど、全然印象が違った。ひたすらに、相撲蘊蓄がついたくらい。推理はオマケのボーイミーツガールだった。

  • 主人公が中学生と思えない冷静さに容姿端麗って盛り込みすぎて萎えた。
    更に「これいるか!?」な推理要素。

  • 物語は、中2の男子生徒の両親が交通事故で亡くなり親戚の家に引っ越していくところから始まる。
    その村の神様はなんとカエルであり、独特の掟のようなものが存在する。
    文季は、幼い頃から両親の勧めにより相撲をしており、体は小さいが、その体格差を補うために勝つための頭脳を養ってきた。その村のカエル様に外来種のカエルがやってきて、勝つためにはどうしたらいいのか、文季に相談を持ってきた。

    村を治める一族の秘密や、長女真夏の持つ運命も解決に向け対処していく文季はどう解決していくのかが、面白く、読み応えある展開は楽しかった。

  • たいしたミステリ読みではありませんが、2010年代のベストミステリでいいのでは?どういう話かというと、小さな男の子がカエルの神様に相撲のアドバイスする話・・・。虚構推理がヒットしてアニメ化されますように。

  • 2019/1/26
    文季イケメーン!
    キレイな女の子の呪いを代わってあげようだなんて。
    さらに王子様みたいな風貌なのか。そりゃまさにイケメン。
    カエルが相撲してる情景がかわいくて、文季と真夏のやりとりもかわいい、とてもかわいい本だった。
    和んだ。
    ミステリー要素は存在感ないけどおじさんとおじいさんを紹介するのに役立ったかな。

  • 神様がカエルで、その神様に相撲を教える少年のお話。読み進めていくとちゃんとSFになっている。

  • 青春ファンタジーとしては面白かった。しかし途中の事件要素が浮いたまま終わった印象。無くても話が通じるという意味では上手くストーリーに落とし込めていなかったと思う。

  • メインのテーマである相撲の部分がどうにも興味が沸かず、長く感じた。ほんわりした中学3年生が探偵役であるがゆえに到達した結末と真相はストンと落ちる。相撲の結末とラストのまとめ方でぐぐっと印象が上がった。「相撲」「相模」はやっぱり似て見えて、読み始めるまでは「相模」がと思っていた。

  • 相撲を愛する両親の元で相撲の知識と技術を教え込まれた文季が転校したのは、相撲好きのカエルの神様が崇められる村だった。小さい頃から相撲漬けの日々を送って来たため相撲の知識や技術だけでなく、相手の動きを見て対応策を考えることまでできるようになった文季だが、如何せん身体の小ささが災いして対戦成績はイマイチパッとなかった。しかしその能力をカエルの神様に見込まれ、村を治める一族の娘真夏を通じて神様に相撲を教えることになるのだった。
    なかなか突飛な設定ですが、すんなり読ませられます。身体が小さいからこそ相手の一挙一動を見て対応する必要があり、それが文季の思考の全てを表わすことになっているのが面白いです。なので隣村で起こった死体遺棄事件に関してもその能力を活かして刑事である伯父に自分の考えを述べることに繋げるのも、突飛ながらも面白いです。しかしまあこの事件の部分は物語のメインではないのですが。
    物語終盤に至る伏線の回収とどんでん返し、そこにこそこの作品のミステリ的面白さとしての醍醐味があるのでしょう。そして事件の真相の一部に気付かなかった文季が同じく見落としていたもの。その提示のされ方や落とし処が実に爽快なのです。なるほどこれこそミステリの面白さと膝を打ちます。
    そこに身体の小さい文季と身体の大きい真夏。村を治める一族に課せられた運命。相撲に愛された文季が己の相撲で得たもの。ふたりのそれぞれの想い。そんなキャラクターが織りなす関係性が実に巧妙に絡み合って青春小説の妙があります。そこがミステリ的爽快感と相乗関係となって物語を盛り上げてくれます。

  • 城平京はミステリ作家であり漫画原作者でもあるのだが、まさに作者ならではの漫画的かつ小説的な面白さがある。『名探偵に薔薇を』と『スパイラル』を除けばおそらく全てにファンタジー要素を含む作風だが、どの作品でもミステリ的謎の解明と展開を自在に操作する表現的ロジックとも言えるような創り方を用いる作家だ。今回も伝記、ミステリ、ファンタジーをうまく融合し、ロジカルに物語を展開している。個人的には民俗学を学んでいたので作中の軸の一つに「まれびと」がモチーフとして用いられているのが凄く良かった。神話、伝承との符合も丁寧。

  • 相撲好きの両親に育てられ、小柄だからこそ知識と理論と洞察力の相撲を取るがゆえに、カエルの神様が治める相撲が盛んな村であれやこれや巻き込まれるお話

    ファンタジー、ミステリ、恋愛等々と色々な要素が詰め込まれてあるけど、そこはやはり城平クオリティでちゃんとまとまっている
    ただまぁ、ミステリな刑事事件は別に省いても物語りは成立すると思うし、どうしても必須かと言われるとちょっと疑問
    ただ、それ以外のところでのミステリ要素はすばらしい
    ファンタジーながらもちゃんとルールを提示し、理由のない謎はないという解決を見せる物語の構造がちゃんとしている

    推理で格闘をするというのはスパイラルの外伝のソードマスターの犯罪でもやってたね
    相手の心理を逆手にとってというやり口も一緒
    こっちの方が丹念に伏線が張られているのでより納得したけどね

    そのうちこれはマンガ化するんじゃないか?
    むしろ、文章よりもマンガやアニメ向きな気がする

  • ラノベからファンタジーからミステリーからラブコメ的な要素まで、ちょっと盛りだくさん過ぎてとっちらけ感は感じましたが、全体的に雰囲気は好きなお話でした。

  • 絶園のテンペスト、虚構推理から作者つながりで手に取った作品。「相撲とカエル」という、個人的にあまり興味があるわけではないジャンルの話(?)ということでそこまで期待せずに読んだのですが、読了したあと思わず拍手喝采しました(心の中で)。ミステリ要素のある作品であるため「ここがこう面白かったんですよ!」と言い辛いのが心苦しいのですが…。とりあえず、今後は作者買いを続けていこうと心に決めたくらいには面白かったです。

  • 淡々とした書き振りが主人公の文季くんにあっているし、奇想天外な話も、「なにこれ、ありえへん」とならない効果をあげているかも。面白く読めました。文季くんの冷静さ、自分を知り、与えられた局面でベストを尽くす姿勢が私にもあれば、とこんなふうにないものねだりしてないで、やれることをやるしかないかなあ。2016.8.23読了。

  • 理論派相撲少年と怪力女子という新たな萌えの扉を開いてくれてありがとう城平先生… 城平先生らしい魅力的なキャラクターと、明らかにおかしい世界観を普通として読ませてくれる、そして何より面白い。最後はキュンと。

  • 面白いという評判なので、読んでみた。
    最後まで読めたから、まあまあか。中学生が面白く読めるのはこういう本か、と思うが、大人が夢中になるほど面白くはない。この作家の別の本が読みたいか、と問われれば、読みたくない。
    カエルの姿をした神様が守る閉鎖的な村を舞台にした物語だが、暗さはなく、淡い恋愛もあり、ミステリ(但し失敗。この部分はつまらない)あり、相撲が大きな要素となっているのが珍しい。が、低身長だが顔と頭が良い少年と、巫女の役割を担う家柄の娘で高身長で怪力の美少女というのがいかにも漫画というかラノベというか。
    こういう本を読むといつも頭をもたげてくる疑問。「だったら漫画でよくね?」漫画化を妨げる要素は何もない。漫画のほうが読むに楽だし、相撲の技もカエルの種類もわかりやすいよ?アニメならより臨場感のある勝負の場面が描けるよ?
    小説ってもっといいものだと思うけど。

  • ライトな読み心地のファンタジー、そしてちょこっとミステリ。カエル様が支配する村でいろんなことに振り回されてしまう主人公。どろどろの因縁がありそうに思えますが、カエル様はユーモラスで可愛らしいです(笑)。
    「カエル様の花嫁」の真相にはかなりぞくりとさせられもしたけれど。結局のところの読み口はすべて愛らしくて幸せな印象に落ち着きました。うーむ、なかなかいいかもこの村。相撲にはあまり興味ないですが。

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著者プロフィール

【城平京(しろだいら・きょう)】
奈良県出身。代表作に漫画原作『絶園のテンペスト』『スパイラル~推理の絆~』、小説『虚構推理 』『名探偵に薔薇を』『雨の日も神様と相撲を』など。

「2021年 『虚構推理(15)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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