雨の日も神様と相撲を (講談社タイガ)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 56
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062940108

作品紹介・あらすじ

「頼みがある。相撲を教えてくれないか?」神様がそう言った。
子供の頃から相撲漬けの生活を送ってきた僕が転校したド田舎。そこは何と、相撲好きのカエルの神様が崇められている村だった!
村を治める一族の娘・真夏と、喋るカエルに出会った僕は、知恵と知識を見込まれ、外来種のカエルとの相撲勝負を手助けすることに。
同時に、隣村で死体が発見され、もつれ合った事件は思わぬ方向へ!?

感想・レビュー・書評

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  • 体格には恵まれていないけど相撲一筋だった文季が引っ越した村は相撲好きのカエルの神様が崇められていた。ひょんなきっかけから神様相手に相撲の指導をする事になる話と同時に村で起こった妙な殺人事件の謎を解く話が上手く絡み合っており、相撲の蘊蓄も読み応えあった。そしてさらに村に伝わる因習のルールに基づいてイノベーションを起こす展開の畳みかけ方がまた上手い。後で考えると無駄な所がない事に気付く。でも読んでいる時はそれに気付かないのは単純に凄いと思った。

  • 「スパイラル」の時から城平京先生の大ファンで、先日ネットで新作が出ていると知って購入。いったいどんな話かと思えば「両親を事故で失った少年が、相撲が盛んな村でカエル(神様)に相撲を教える話」と聞いて、頭の中が真っ白になった。
     と同時に、いかにも城平先生らしい荒唐無稽な話で、多分世界中を探してもこんな話は先生にしか書けない。
     そしていざ読み進めると「相撲」をテーマに構成された骨太な世界観、澱みもムダもない完璧なストーリー、生き生きと描かれるキャラクター――さらには「推理要素」と「恋愛(青春)要素」も織り交ぜられ、最後の一文字まで心から楽しんで読むことができました。
    ――本当に。本当に凄すぎる。
     読後に興奮のあまり、SNSで絶叫せずにはいられないほど面白かったし、読書・小説による「面白さ、多幸感」をここまで感じさせてくれた作品は久しぶり。
     こんな素晴らしい作品に出会えた喜びと感動。なにより「楽しさ」を、是非あなたにも知ってもらいたい。
     超絶的にオススメの一作です。今すぐ本屋で購入してください!

  • 二度目ましての作家さん。
    『名探偵に薔薇を』が面白かったのですが、
    同じ著者なのに、タイトルのイメージが
    かけ離れている。(〇o〇;)

    両親を事故で失った文季が叔父の住む村に引き取られた。
    その村では、カエルが相撲をとり、神様扱いされていた。
    普通はこの時点でダメなんですけど、読まされました。

    小柄で華奢な文季と、カエルに仕える大柄で怪力の少女。
    祭りに奉納する為の相撲と外から来た赤い奴。
    そして、村境では、死体遺棄事件が?
    いやぁ~楽しく読まされました。

  • 今、自分的に相撲ブームなので、勝ち方を理論的に言語化検討していく所が面白かった。

  • カエルの神様(カエルに憑依した)に相撲を教えたり殺人事件の謎解きをしたりするお話。
    一冊の中に色々盛り込まれているなぁと思う。
    国取神話や相撲神事、相撲技などが主人公の少年から語られていて好きなジャンルなので面白く読めました。
    閉鎖された村でのファンタジー物語と思いきや、ラストは恋愛ファンタジーになってた。
    物語のその後、閉鎖的な村は無事イノベーションされていくのか?その後の物語も読んでみたくなります。
    著者の合理的であろうとする謎解き小説、好きです。
    主人公の少年は「虚構推理」の岩永琴子ちゃんを性別変えてソフトにした感じだと思いました。 

  • 「第一章」
    カエル様の前でやる事は。
    信仰対象はその地によって違うが、カエルが祀られ尚且つ相撲を見せるというのは面白いな。
    彼は体格や力は弱いかもしれないが、それを補えるレベルの知能を持っているのだろうな。

    「第二章」
    彼のアドバイスは鋭く。
    頭脳を使わなくては勝てないと言うが、そんな相撲の取り方を出来る人物はきっと少ないのでは。
    一度組んだだけで相手の欠点や癖に気付けるのは、長年の成果かもしれないが重宝統べき能力だろう。

    「第三章」
    彼の転校と共に現れた。
    タイミングが同じだったのは、きっと偶然なのだろうけれど色々と重なり過ぎて少し気になるな。
    個性と言えばそれまでだが、流石に身体を麻痺させる毒は少し狡くないだろうか。

    「第四章」
    勝つ為に身に付けた技。
    卑怯な事をせず正々堂々とやるとなると、相手が見た事ない技や戦法を使わざる得ないだろうな。
    たった数日で各々カエルに合う技を完成させるだけで無く、それを見て改善点を出せるのは本当に凄いな。

    「第五章」
    彼が考えていた計画。
    昔ながらの事を変えるには勇気がいるし、周りからの批判などに耐える事も出来なければならないからな。
    カエル様や村の人から信頼を得てから、最後の仕上げとばかり彼女を助けた彼は本当に頭がいいのだろうな。

  • 「「頼みがある。相撲を教えてくれないか?」神様がそう言った。
    子供の頃から相撲漬けの生活を送ってきた僕が転校したド田舎。そこは何と、相撲好きのカエルの神様が崇められている村だった!
    村を治める一族の娘・真夏と、喋るカエルに出会った僕は、知恵と知識を見込まれ、外来種のカエルとの相撲勝負を手助けすることに。
    同時に、隣村で死体が発見され、もつれ合った事件は思わぬ方向へ!?」

  • 思いがけないスポ根ミステリでした。
    当たり前に見えていたものから急に現れる謎と突きつけが物語とリンクしていく。
    心地良い裏切りのような感覚。
    読み終えたときの満足度がやばいっすね。

    同世代との関係や相撲との向き合い。
    ラブコメ的な部分もめちゃくちゃ好き。

    【ざっとあらすじ】
    相撲から離れた主人公。
    相撲ですべてが決まる村に転校します。
    そして神様に相撲の指南をすることになる物語。
    さらに近くの森で変死体も見つかります。

    それぞれがリンクしていく青春ものです。

  • あ、このひと虚構推理の人か!
    読んでから気づいた。

  • 相撲に愛された少年の話。ファンタジーなお話と思いきや、歴史や神話と古典や伝承を下敷きに、フランク過ぎないお話でとても好みでした。 スポーツ系のお話はどことなく食わず嫌いしてしまう私ですが、読み進めていくごとに面白くて食い入るように読み切りました。

    相撲を取るには体格が小さく、体力もない逢沢文季。彼が相撲好きの両親を交通事故で喪い、親族である叔父に引き取られと久々留木村と引越す。もう相撲から離れられる…と思いきや、その村は相撲文化が深く根付いた場所で、上げくの果てに神様と崇められるカエルたちの相撲勝負に手を貸すことになる。

    自分の不利な部分を知識で補う主人公が認められていく姿。とても好きです。
    相撲に詳しくない私が読んでも迫力のある描写で描かれており、カエルたちの相撲というコミカルなものになりそうなところも重厚に書かれている。
    城平先生の、肉を切らせて骨を断つ…とても言えばいいのか、自身も無事では済まないが何かしらを犠牲にして勝ち上がる主人公の描き方が、魅せ方が俊逸すぎる。

    p256の「僕はずっと、何のために相撲をやってきたか考えてきた。​───……」の部分は興奮しましたね。文季と真夏が学校で出会った時の「何、これ?」は酷すぎない?と思ったが文季もわりと失礼だし、カエルたちからバラされる真夏の可愛らしい一面を知ると、互いに素直(?)になり切れないところが、とても愛らしいと思います。

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著者プロフィール

【城平京(しろだいら・きょう)】
奈良県出身。代表作に漫画原作『絶園のテンペスト』『スパイラル~推理の絆~』、小説『虚構推理 』『名探偵に薔薇を』『雨の日も神様と相撲を』など。

「2021年 『虚構推理(15)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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