魔法の色を知っているか? What Color is the Magic? (講談社タイガ)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 1263
レビュー : 116
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062940139

作品紹介・あらすじ

チベット、ナクチュ。外界から隔離された特別居住区。ハギリは「人工生体技術に関するシンポジウム」に出席するため、警護のウグイとアネバネと共にチベットを訪れ、その地では今も人間の子供が生まれていることを知る。生殖による人口増加が、限りなくゼロになった今、何故彼らは人を産むことができるのか?
圧倒的な未来ヴィジョンに高揚する、知性が紡ぐ生命の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 森作品最大の魅力は、キャラクタでも意味なしジョークでもなく、読者を突き放す冷徹な筆致だと思っています。ドMには堪らない、あの説明してくれない感じね←

    いや、私めっちゃ真賀田四季信者だし、犀川先生×萌絵ちゃん推しですけど←←

    そんなドSな森先生が講談社タイガからリリースを始めた最新シリーズ「Wシリーズ」って、そんな旧来のファン層のドツボにジャストミート(古)してきたキャラと世界観だと思うんです。

    何が最高って、トータルリコールっぽいことしてるのに、何か全然大事に巻き込まれてる感を出さない主人公ハギリのクールすぎる語り口ですよ。

    彼のことを、未来版の犀川先生と私は勝手に位置付けています。犀川先生なら、きっともうちょっと不謹慎な意味なしジョーク言ってくれると思うけど←

    前作でも命を狙われても一貫してクールでしたが、今作も武装集団から逃れるという、中々ストレスフルな展開なのに、ハギリ先生といい彼を守るボディガード達といい、まあ取り乱しません。

    徹頭徹尾、クールです。

    バイオレンスな展開してるのに、本作からは硝煙や血の匂いはしません。

    好き!!!!←←←

    もうちょっと位、ドンパチ感とかワーキャー感あった方が、今シリーズが森作品デビューな方には優しいと思うんですが、そんな擬音語や擬態語出てきたら、私がガッカリなんで良しとします!

    キャラ語りは、きりがないのでこれ位にして。

    世界観感想いきます。

    人類がその叡智でもって不老不死というテーマをある程度達成した時、その副作用のように突如、「子供が生まれない」という危機に直面した近未来が舞台です。

    人類という種が初めて直面した「種の存続の危機」がどうして発生したのかという謎に対して、ハギリと少数の博士たちが出したアンサが、これもまた超絶にクール。

    そのクールなアンサを「あ、それすごい、なるほどね、ふーん」って、めっさ簡単に受容するとこ、すっごい好き…(痺)。

    ネタバレになるのでこれ以上は避けますが、こういうとこが超絶にクールなんです(2回目)。

    あー…これこれ、私が森作品に求めてるのこれだよォ…(泣)。森先生の懐具合なんて、正直全然興味ないからこういうのもっとくださいよォ…(暴言)。

    人間が移動すること(旅・観光)に価値を見出さなくなり、
    人間と「人間のようなもの」の区別がなくなり、
    人類存続の危機によって戦争が無くなり、
    やがて文明が緩やかに停滞していく、

    そんな近未来の描写が、非常にファンタジックかつリアリスティックに描かれています。無さそうで有りそうな未来。

    そして、某シリーズを彷彿とさせる「ある場所」の登場は、既刊の某シリーズを読んでいる森ファンには堪りません。もうこのシリーズ、森ファンへのファンサービスなんじゃないかしら。

    そして、ラストに登場する「彼女」がハギリに見せた風景の衝撃。

    彼女は人類をどこに導こうとしているのでしょう。
    かつて妃真加島で、Fというキーをトリガーに仕掛けた彼女が、彼女の技術を応用して生み出したウォーカロンに仕掛けた色の魔法の意図は一体何なんでしょう。



    うーん…



    好き!!!!←

  • Wシリーズ第2弾。
    森博嗣ファンはきっと、タイトルからテンションあがる。

    買った当初は別の本を読んでたし、なんとなーく、しばらく放置してたんですが、読み始めるとはやかった!
    説明し難いが、引き込まれるものが森博嗣作品にはある。(ただし、万人受けはしないだろうけど……。)そして彼の思考が好きです。会議とか嫌がるハギリが冒頭にでてきたときは森さんっぽい(笑)と思いました。そーゆーとこが好き。物理的移動の煩わしさとか共感できる。

  • タイトルが秀逸。

    子供を産む人間がまだ残っているナクチュで起きる色々。

    「人類のインテリジェンスの時間的限界とはどの程度か、精神はどれくらいまで崩壊せずに耐えられるのか、という問題だ。」

    作者に対してすごいなぁと思うのは、人が長寿を得、代わりに子が成せなくなった社会。
    人に近しい機械ウォーカロンとの識別。
    こういった大きなテーマの中で見えなくなりがちな本質?のようなものを、しっかりつらまえている所だ。
    この一文は、ポンと置かれた一文だったけれど、ものすごくゾッとする深みを持っている。

    最後に、マガタ博士との再会?を果たすのだが、そこでも、人間が「間違えた」道を戻るにはどうすれば良いか、という台詞を呟く。

    私たちは一時の過ちは犯すけれども、取り返しのつかない失敗などしないように思っている。
    失敗は、時間さえかければチャラになる、と。
    果たしてそうなのか?という疑問の石が置かれたように思った。

  • 生殖による人口増加が限りなくゼロになった現在、チベットのナクチュでは子どもが産まれるのだという。
    「人工生体技術に関するシンポジウム」に参加するため、警護のウグイとアネバネと共にチベットを訪れたハギリは、ナクチュの人々が子どもを産める理由にある仮説を立てる。

    相変わらず淡々と物語が進んでいくなぁと思いきや、ハギリがちょこちょこと冗談を言うようになってる!(笑) でもその冗談は誰にも伝わってない!(笑)
    ハギリとウグイってどっちもロボットみたいな平淡さがあるので、時々こういうユーモアを含んだ会話をすると楽しいです。

    「魔法の言葉」がウォーカロンたちに対して大きな意味を持つという設定は面白いなぁと。
    しかしまさか今回はウグイの偽名(ハギリ命名)がそのままアンサーになるとは思わず(笑)
    あと今回のこの「魔法の色を知っているか?」というタイトルは結構好きです。

    他の方の感想を読んでいると、森さんの他の作品とも繋がりがあるようなので、そちらを読んでいるともっと楽しめるのかな、と思いました。

  • Wシリーズ二作目。
    一作目から引き続き、わりと静かな物語。主人公が非常に冷静なため、より落ち着いた雰囲気を感じるのだろう。
    「魔法の色」に関しては、うまく伏線が張られていたな、と感じる。
    そして、なによりもエピローグ!冷凍睡眠?永い眠り?もしかして、ナクチュって…ルナティック・シティ??

  • 難しいが面白い。眠くならず、本を投げ出したくもならずぐいぐい引き込まれてしまう世界観だった。チベットや特別区といった馴染みのない、聞き慣れない場所の設定で、より不思議に、未知の世界に感じるのかもしれない。

    「静寂が沈殿する」この言葉が彼が見たものへの畏怖かその場の空気を指すのかは分からないが、ハッとした。

    • だいさん
      言葉のちから
      というのがあるのかもしれない
      それを受け止める人もスゴイじゃない?
      デジャブ?


      いくつかレビューみました。
      ...
      言葉のちから
      というのがあるのかもしれない
      それを受け止める人もスゴイじゃない?
      デジャブ?


      いくつかレビューみました。
      美味そうでよかった!
      2016/06/19
    • paratroopさん
      コメントありがとうございます。
      言葉のちからは確かにあるのかもしれません。この本を読んでそう思えました。

      最近は食エッセイが多いです...
      コメントありがとうございます。
      言葉のちからは確かにあるのかもしれません。この本を読んでそう思えました。

      最近は食エッセイが多いですね…レビューはほんとに気まぐれで書いていますが、だいさんはまめに書かれていてすごいですし私も見習いたいです。
      2016/06/19
    • だいさん
      paratroopさん
      こんにちは

      質と量の違いじゃないですか?
      わたしはただ記録だけど
      あなたの書いたものには
      心動く人がい...
      paratroopさん
      こんにちは

      質と量の違いじゃないですか?
      わたしはただ記録だけど
      あなたの書いたものには
      心動く人がいるよ
      2016/06/19
  • 予想内の展開と緩急自在なテンポが森先生の作品から何時も感じられる魅力さです。そしてついに百年シリーズと無事リンクしたそうです。Gシリーズとの関連性は未だに不明なだが、そのうち分かるのでしょう‥新しい助手さんも中々素敵です!ウグイの不意天然(?)もメッチャかわいいです。最後、博士贔屓のファンとして、最後のエンディングも感無量でありますぅ~

  • 後半で一気に加速した。ぞくぞくする!魔法の色を知っているか?はるか昔に埋め込まれた安全装置。あらゆることがマガタ・シキにプログラムされていてその知性に圧倒される。

  • 科学が未来を作る、人類を救う、というのは繰り返し耳にするフレーズだけれど、問題に直面したときには、情けないことに下を向いてしまう。科学者とは、そういうものなのだろうか。
    (P.173)

  • 2016/10/23読了。

    Wシリーズの2作目。1作目は物語の導入という感が強かったが、本作では徐々に方向性が見えてきたという感覚。すぐに3作目に着手してしまった。

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著者プロフィール

森 博嗣(もり ひろし)
1957年、愛知県生まれ。作家、元研究者。名古屋大学工学部建築学科、同大学大学院修士課程修了を経て、三重大学工学部助手、名古屋大学助教授。名古屋大学で工学博士を取得し、2005年退職。学会で数々の受賞歴がある。
作家として、1996年に『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞し、同作で作家デビュー。S&Mシリーズとして代表作の一つに。『スカイ・クロラ』シリーズは本人も認める代表作で、2008年アニメ映画化された。その他にも非常に多くの著作がある。

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