先生、大事なものが盗まれました (講談社タイガ)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 343
レビュー : 40
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062940290

作品紹介・あらすじ

伝説の怪盗に、盗めぬものはなし!「誰が(Who?)」「なぜ(Why?)」「どうやって(How?)」を超えた、ミステリ史上初の命題!

愛や勇気など、形のないものまで盗む伝説の怪盗・フェレス。その怪盗が、凪島のアートギャラリーに犯行後カードを残した!
灯台守高校に入学した雪子は、探偵高校と怪盗高校の幼馴染みとともに捜査に乗り出す。だが盗まれたものは見つからず、事件の背後に暗躍する教師の影が。
「誰が?」ではなく「どうやって?」でもなく「何が(What?)盗まれたか?」を描く、傑作本格ミステリ誕生!

感想・レビュー・書評

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  •  人が死なないライトなホラーのつもりで読み始めたら思いの外ガッツリ推理させにきてて唸りました。
     特殊な舞台設定や能力など、作者が独自の設定を構築して話が展開する。
     斬新かつ面白かったのは二話目。「何が」盗まれたのかを解かせる話です。

    ・第一話 先生、記念に一枚いいですか
     第一話目なのでキャラ紹介も兼ねているわけですが、主人公雪子・チトセ・シシマルと、彼らが通う3つの高校の設定にまず心惹かれます。そして先生のキャラもいい。 
    「次元を盗む」というアイディアにもう脱帽でした。これでこの話、勝ったも同然です(笑)。
     推理モノ好きとしては、怪盗の子がカメラを使うんだろうな、というのをタイトルから推理したかったところですが、次元を盗むという設定に驚いたまま最後まで来てしまいました。やられた。

    ・第二話 先生、待ち合わせはこちらです
     冒頭から違和感はあったんです。
     まず一話目では主人公がスマホのアラームで起きていたはずなのに、二話目ではなぜか目覚ましになっている。
     やたら気持ち悪…いや積極的なアリアをはじめ、雪子もチトセも「連絡が取りにくい」ということを頻繁に口にしている……。
     最初は「一部の友情・絆」が盗まれたんだと思ってたんですけど、まさか『携帯電話という概念』だったとは……。
     いやー、やられた。

    ・第三話 先生、なくしたものはなんですか
     顔の取り換えトリックに関しては割とすぐに気が付く。伝説の怪盗・フェレスであるヨサリ先生は過去の記憶がないという事実が判明。
     続刊に引き継ぐための話でもあります。
     先生と生徒の恋愛ものが好きなせいか、ヨサリ先生と雪子の関係にジリジリ。まんざらでもない感じと思ってますけどどうでしょう!!


     ずっと気になってたんですが、この話の冒頭から最後まで、少なくとも昼間のシーンはずっと雨が降っていますよね。
    「晴れの日」とか「青空」を盗んでしまった怪盗がいるんでしょうか。もしかして10年前、ヨサリ先生が盗んで盗みっぱなしとか、そういうことなのかな…。
     
     そして、雪子と先生の関係が気になるんですが、チトセと雪子も気になるんですよね、
     続刊が楽しみです!!

  • 〇 概要
     架空の島「凪島」を舞台として,「愛」や「勇気」など,形のないものまで盗む伝説の怪盗,怪盗フェレス。その解答をめぐる3つの短編からなる短編集。「誰が」でも「どうやって」でもなく,「何が盗まれたのか」を描く異色のミステリ

    〇 総合評価 ★★★☆☆
     架空の世界で,怪盗が何を盗んだかを推理するというオリジナリティのある作品。3つの短編からなり,怪盗フェレスの正体や,フェレスがなぜ記憶を失ったのか,など,明らかに謎を残して終わる。
     3つの短編はいずれも,十分楽しめるデキ。軽いミステリで,寝る前に読んだり,通勤電車で読むには最適だろう。盗まれるものが「次元」だったり,「携帯電話についての認識」だったり,「顔」だったりするので,ミステリというよりSFとして読んだ方がよいかも。この作品に出てくる怪盗というのは,ジョジョの奇妙な冒険のスタンドのような位置付けだと思うといいかも。
     雪子,千歳,獅子丸という幼馴染の3人が出てきて,それぞれ灯台守高校,御盾高校,黒印高校の生徒であるという設定だが,いまいち生かし切れていない。フェレスがなぜ記憶を失ったかなどの謎も残っており,作品全体ではまだ,序盤というイメージ。これからどう続いていくか(そもそも,続いていくのか?)によって,評価は変わりそう。この短編に限れば,それなりに楽しめる佳作なので★3だろう。

    〇 サプライズ ★★☆☆☆
     3つの短編のサプライズはそれほどでもない。「第1話 先生,記念に一枚いいですか」で,盗まれたものが「次元」だったり,「第2話 先生,待ち合わせはこちらです」で盗まれたのが「携帯電話についての認識」だったりするのは,意外な真相だが,驚かせようというような書き方がされていないので,そこまで驚けない。

    〇 熱中度 ★★☆☆☆
     どの短編も,読みやすい。何が盗まれているのかという点に焦点を当てており,オリジナリティもあるので,そこそこ熱中してよめる。しかし,飽くまでそこそこ。先が気になって読むのをやめられないというほどの作品ではない。さくっと読むタイプの軽い作品なので,熱中度はそれなり。

    〇 インパクト ★★★★☆
     何が盗まれたのかを推理する作品ということでインパクトはある。盗まれたものが「次元」だったり,「携帯電話についての認識」だったり,「顔」だったり。なんとなく,ジョジョの奇妙な冒険を思い出させる。インパクトは十分

    〇 読後感 ★★★★☆
     雪子が夜去にほのかな恋心を抱いている雰囲気で終わる。読後感はほっこりしていて,悪くない。

    〇 キャラクター ★★★☆☆
     雪子,千歳,夜去,間など,それなりにキャラクターは立っている。獅子丸はそれほどでもないが…。まぁ,飽くまでそれなり。漫画のキャラクターのような感じ。人間が書けているという訳ではない。

    〇 希少価値 ★★☆☆☆
     シリーズとして続いていけば,手に入りにくくはないと思うが…。講談社タイガというマイナーな文庫。将来的に手に入りにくくなる可能性はあるかも

    〇 メモ
    〇 部隊
     凪島という架空の島が舞台。灯台守高校,御盾高校,黒印高校の3つの高校がある。
    〇 灯台守高校
     島の灯台の灯を守ることを信念としている高校
    〇 御盾高校
     通称「探偵高校」。卒業生の多くが警察や官僚になるエリート高校。私立探偵や諜報員になるものもいる。
    〇 黒印高校
     黒印を持つ子供に「盗む」技術を教えていると言われている高校
    〇 登場人物
    〇 神灯雪子
     ヒロイン。灯台守高校の生徒
    〇 夜去廻(よさりめぐる)
     灯台守高校教師。過去,怪盗フェレスだったが,その頃の記憶がない。
    〇 千歳圭
     雪子の幼馴染。御盾高校の生徒
    〇 小舟獅子丸
     雪子の幼馴染。黒印高校の生徒
    〇 第1話 先生,記念に1枚いいですか
     雪子,千歳,獅子丸の3人
    「未解決事件を解決する」という千歳の高校の宿題に取り掛かる。「クイーンズ」というアートギャラリー,廃工場,そしてアパートで,怪盗フェレスが何かを盗んだという。それらの場所では,ここ数年の間に変死体が発見されていた。果たして,フェレスは何を盗んだのか。
     これらの犯行はフェレスの犯行ではなく,偽物の犯行だった。犯人は黒印高校「間木実」。彼女は,飛び降り自殺をした友人がいて,同じような悲劇が起きないように,高さのある建物から「次元」を盗んでいた。
    〇 第2話 先生,待ち合わせはこちらです。
     雪子は,自分が持つ灯台の灯の様子から,何かを盗まれ
    ていると感じる。「ナスダ珈琲」という喫茶店で,千歳と相談をすると,ナスダ珈琲にフェレスが現れたという。今回の作品では,精神的対象が盗まれていた。犯人はナスダ珈琲のバリスタ「ニール」。ニールは,人々から携帯電話の記憶を盗んでいた。
    〇 第3話 先生,なくしたものは何ですか
     森の奥にある,フェレスの隠れ家という家に雪子と獅子丸が訪れる。その何日か前,ナサという喫茶店で,水戸仁美という記者から,この家で過去にあった殺人事件の話を聞いていた。水戸が言うには,かつて,フェレスの隠れ家で殺人事件が起き,顔を盗む怪盗が犯人で警察に捕まったという。 
     雪子と獅子丸が訪れたとき,謎の男がいたが,その男こそが顔を盗む怪盗だった。顔を盗む怪盗は,見事に水戸をだまし,逃げ延びて,フェレスの隠れ家を守っていた。雪子と獅子丸を殺害しようとしたところに,間木実と本物のフェレス=夜去廻が現れる。フェレスは館を盗んでしまう。この話で,夜去がフェレスの頃の記憶をなくしていることを知る。館を守っていた顔を盗む怪盗も,過去の記憶を失っていた。顔を盗む怪盗は,自分を含む,6人の男女が映っている写真を持っていた。そのうちの1人が夜去=フェレスだった。顔を盗む怪盗は,フェレス達を殺害しようとして,崖から落ちて死ぬ。
     残る4人は何者か。記憶を盗む怪盗とは?謎を残しつつ,この作品は終わる。
     

  • 思っていた以上にファンタジーな世界でした。
    本当になんでも盗んでしまいます。怪盗というより魔法使いなイメージ。
    記憶をなくす前のヨサリ先生の過去が気になります。
    写真よりもケータイ灯を優先する優しさは本物だと信じたい。(きっとあの写真もちゃんと取り返しているのだろうけど)

  • 《しまった!いつの間にかはまって一気に読んでしまった‼︎俺の時間が盗まれてる⁉︎》

    活躍するキャラが限定されていたので、次巻以降での活躍、お願いします。特にトモちゃん、シシマルくん。

  • ハウやホワイではなく、何が盗まれたのかを問われるミステリー。舞台となる島の設定もかなり特殊ですし、盗まれるものも物理的なものではなかったりなので、やや思考実験的なミステリーと言えます。

  • 気がつけば『人魚姫』も『人外境ロマンス』も文庫化しちゃってる訳ですが…
    タイガの新シリーズということでこちらを読むことに。
    今までのミステリにありそうでなかった「何が盗まれたか?」という命題。簡単そうに見えて実際物語にするのはものすごく難しく思えるこれを、さすがの北山氏、独特の世界観の構築によって力技で成立させています。
    最初の「標的」からしてブッ飛んでるのでちょっとついていけるか不安でしたが、キャラクターたちもいきいきしているし、何より自分は北山氏の作る世界観が好きなので楽しむことができました。続刊が楽しみです。

  • 北山さんの待望の新作は何が(What)を追求する新しい試み。
    独特の世界観と大掛かりなトリックを堪能しました。
    シリーズのこれからの展開に期待大です。

  • こちらも新シリーズ。
    ユニークな設定が北山猛邦らしい。主人公の女子高生も可愛らしい感じ。
    続きが楽しみ。

  • 踊るジョーカー以降あまり読んでなかったのですが、書店でサイン本みつけてしまい購入。
    新本格感にラノベ調のような、奇妙な設定が作者ぽく面白かったです。

    短かったので…続きも読みたい。

  • ミステリ小説として読むと、物足りないと思う。ファンタジー小説になるのか??

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著者プロフィール

2002年、『『クロック城』殺人事件』(講談社ノベルス)で第24回メフィスト賞を受賞しデビューする。代表作として、デビュー作に端を発する『『瑠璃城』殺人事件』(講談社ノベルス)などの一連の<城シリーズ>などがある。

「2020年 『ステイホームの密室殺人 1 コロナ時代のミステリー小説アンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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