- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062940313
作品紹介・あらすじ
64人の同時飛び降り自殺――が、超都市圏構想“新域”の長・齋開化(いつき・かいか)による、自死の権利を認める「自殺法」宣言直後に発生!
暴走する齋の行方を追い、東京地検特捜部検事・正崎善(せいざき・ぜん)を筆頭に、法務省・検察庁・警視庁をまたいだ、機密捜査班が組織される。
人々に拡散し始める死への誘惑。鍵を握る“最悪の女”曲世愛(まがせ・あい)がもたらす、さらなる絶望。自殺は罪か、それとも赦しなのか――。
感想・レビュー・書評
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善悪不二。
すべてが嘘であってほしい。
正義とは何か? 悪意とは何か? 不義とは何か?詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
本書を読み終わって、放心状態のまま感想を書いていたのですが、マウス操作を誤って全て消去されてしまって、さらに放心状態が重なっています。かなりの長文を書いていただけに、思わず声を出してしまいました。夜の10時を過ぎていますが、別室でまだ仕事をしていたカミさんにも「どうした?」と驚かれ、迷惑をかけてしまいました。
本書は、「死」についてと、「正義とは何か」と「悪とは何か」についてをテーマにした小説です。こんなテーマで小説を書きなさいと言われても、本書のような作品には到底及ばない自信があります。私の想像を大きく超えた物語を突きつけられました。
本書で展開される出来事は、冷静に考えると荒唐無稽と言えるほどあり得ないようなものですが、本当にそんな出来事が起こりそうな現実感を与えているのは著者の力量のなせる技だと思います。
登場人物たちを好きにならずにいられない、会話や、仕草が描写され、感情移入してしまいます。そんな信頼関係を読者と作っておきながら、ラストに至る展開はもう、心かき乱されます。傷に塩、鞭の連打、全身が痛風の発作、のような衝撃を受けて放心状態になってしまうということです。
なるべく、ネタバレにならないように本書の魅力を語ったつもりですが、訳がわからないですよね。
平山夢明さんの作品と同様、取扱注意の作品です。
そして、忘れられない作品にもなりましたし、大好きな作品にもなりました。 -
純粋悪。
この言葉が似合うキャラクターは曲世愛の他には、ばいきんまんくらいじゃないか。
高い思考力はあっても思想はない。悪を為すこと自体が目的で、理解も共感も出来ない。それで特にアニメは評価が真っ二つに分かれてたと思う。
でも、理解出来ないものに理解を示すことがフィクションへの取り組み方だと捉えれば、私はこの作品が自分自身に与えた影響は大きいと思っている。 -
曲世を調査し踏み入った結果…
流れはヴィランですね。
挽回できるのか続きが楽しみ*° -
「いつからこの小説が、ただのミステリーだと錯覚していた?」
この小説の感想を書こうと思ったとき、まずこの言葉は書いておかないといけない、と思いました。いや、もうホントにこれはヤバイ。
一巻を読み終えた段階で、この小説はヤバイという匂いがしていましたが、二巻に至ってそのヤバさが爆発します。
そのヤバさの中心にいるのは、もちろん曲世愛。不可思議で邪悪な女、というのは一巻で感じていたのですが、彼女はもはやそんな言葉では収まりません。
神話の世界にセイレーンという、海に住む化け物がいます。その歌声を聞くと船員は惑わされ、遭難や難破してしまい命を落とすそうです。
曲世愛は文字通りのセイレーンでした。ミステリの枠を超え、曲世は人の命を喰らい続けます。終盤の絶望感は、もはや言葉では表現できません……
曲世の陰に隠れがちですが、この巻のテーマである自殺の是非についても色々考えさせられます。この巻のもう一つのハイライトは、自殺法の是非を巡っての討論番組。
各党の党首が倫理面、経済面などあらゆる側面から自殺法を否定します。しかし、それを凌駕してくるまさかの展開……。この展開を持ってくることができるのも、野崎さんの奇才ぶりを見せつけているように思います。
もはや化け物と(僕の中では)化した曲世をとめることは可能なのか? そして、曲世と自殺法は世界に何を求めているのか。話は三巻へと続きます。
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あの女がもらたす絶望の物語。
あの女に対抗するためにはあまりにも無力。
あの女に対抗するためにはあまりにも無策。
あの女と斎開化はやはり手を組んでいるのか。
あの女と斎開化が目指す場所はいったい何処なのか。
あの女の目的はいったい何なのか。
正崎善は――悪に敵うのか。 -
ぼろぼろぼろぼろ死んでいく。途中経過はすっ飛ばして彼女の正体さえはっきりしたらそれですっきりしてしまいそう。出生がはっきりしていないので今後背負ってきた影が明かされるという流れなんだろう。なんだろうなんだろこれは気になるぞ☆
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前巻よりも面白さ増し増しでした。
前半の、登場人物が出揃って、これからかな?という感じと、後半の政治家の攻防。
そしてラスト十数ページの畳み掛けるような衝撃。
前半の政治家パートが堅苦しく現実的な展開だっただけに最後の曲世愛のターンは非現実的すきて寒気がするほどこの女が恐ろしかったです。
面白い…これからどうなるのかすごく気になります。主人公大丈夫だろうか……。 -
これは実に目の『毒』だな… 次は9ヶ月後とは待ち遠い…
私にも囁いて、あの絶妙な死を欲する体験を味わいたいな~なーんてな。。。