小説の神様 (講談社タイガ)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 631
レビュー : 89
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062940344

作品紹介・あらすじ

いつか誰かが泣かないですむように、今は君のために物語を綴ろう。

僕は小説の主人公になり得ない人間だ。学生で作家デビューしたものの、発表した作品は酷評され売り上げも振るわない……。
物語を紡ぐ意味を見失った僕の前に現れた、同い年の人気作家・小余綾詩凪。二人で小説を合作するうち、僕は彼女の秘密に気がつく。彼女の言う“小説の神様”とは? そして合作の行方は? 書くことでしか進めない、不器用な僕たちの先の見えない青春!

感想・レビュー・書評

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  • この人、たぶん泣きながら書きたんじゃないかな。そうだといいな。これを商業用に書いたわけじゃないって思いたいな。それこそ、物語の力を信じたいもの。
    明日泣かないために小説を読む。なんて素敵な言葉だろうね。


    【追記】
    この血の叫びを聞き届けたからには、この先も物語が絶えないように、自分はいつも誰かにとっての九ノ里でありたい。

    作者様と担当編集者様の想いが多くの人に伝わりますように。

    さいごに、わたしはこの作品が好きです!

  • 読むのが苦しくて辛くて何度も途中で放り出そうと思った。けれど、もう少し、もう少しだけこの子たちを見届けようとページを捲るうちに最後まで読むことが出来た。ラスト、彼らの小説家としての道に仄かな灯りが灯されたけれど、頼りない光はこれからも何度も消えてしまうに違いない。不器用な彼らには何とも孤独で過酷な仕事なのだろう。

  • このレビューを目にする人は居ないかもしれない。けれど、誰かに伝えたいと思ったので書きます。

    読んでいて、主人公と共に作者の叫び声が聴こえるような作品でした。物語の主人公を通じて、現実の自分を少しだけ好きになれた気がします。
    「表現」を仕事にしている人でなくても、この物語から感じることは沢山あるのではないでしょうか。
    少なくとも、今の私にとってこの物語は必要で、私を救ってくれました。
    このタイミングでこの物語を届けてくれた相沢沙呼先生、本当にありがとうございます。読んで本当に良かったです。

  •  小説の神様、と云ったら志賀直哉か星新一でしょう?


     とても切実な物語。
     最近流行りの出版業界の内側のおはなしであるとか、経験を切り売りするような内容を思わせているであるとか、そういった要素を除いても、
     ことば、を繰るものにとって、切実、というか。
     この一億総小説家時代に、だから出来上がってきたのかなぁ、という印象。
     物語構造としては単純で、一章を読めばラストが想像できるようなストーリィで、それはまぁもしかしたらエンタメとしては不出来なのかもしれないけど、二時間の映画で泣いたりするよりはずっとかまし。

     このプロットはきっと、小説に魅せられた者であれば誰もが一度は思い付いたことのあるものなんじゃないかと思う。
     書くこと、もっと広義に、言語を遣って表現することへの門を開いてしまったときから、宿命的に纏わりついてくるテーマなんだと、思う。
     だからこそ陳腐で、形にするとどうしたってこういう根暗なガキが出来上がるんだろうけども、
     それでも、どうしても、気持ち悪いわ、って本を閉じてしまうことは出来なかった、です。
     何故かって、結局わかっているのだ。ガキの云うことがいちばん正しい、って。

  • 小説が好きなすべての人に読んでもらいたいです。
    小説の大変さ、辛さ、面白さがすごく分かる一冊だと思います。
    自分も迷いながら、苦しみながらそれでも誰かに伝えたい『願い』を作品に込めて小説を書いてみたい!と思いました。
    この小説を機に自分も書いてみようと思います。

  • ネガティブでいちいち面倒くさい男子にイライラとした。
    私の好みでないほうの相沢さんだった。
    しかし、ストーリーは興味深かった。
    小説家と名乗るのは自由だけれど、小説を書いて生活できる人は少ない。
    昨今の出版業界の抱える問題もあるけれど、
    それでも、本が出版され続けることを望んでいる読む側の私の
    思いも、多くの小説家に届けばいいなと思う。

  • 小説の冒頭、ため息すら遠慮して吐いたみたいに小さくなった千谷の内に秘めた感情の嵐と季節の情景がページを進める度に印象的だった。物語の終結は作中の言葉を借りるとキラキラしていて、綺麗で宝石みたいだった。
    鬱展開はひたすら黒一色なんだけど、妹さんと喋ってる千谷は明るい色に見えて、何もない空っぽな人物に見えずだったので、相沢先生の手腕が素敵。
    生みだすことの苦しみと、物語を紡げない苦しさは息が止まりそうだった。殺人者、とは言い得て妙な表現過ぎて胸が痛かったよ。
    小余綾ちゃんの「ありがとう」が印象的で温かい気持ちになる本。

  • 作者らしい高い文章力で読ませるヘタレな主人公とエッジなヒロインの,スタンダードな青春小説.主人公のヘタレというか卑屈さが某柴犬くんにさらに輪をかけたなかなかなものなので,つらく感じる人もいるかもしれない.
    その一方でその卑屈さは主人公を通して作者の小説への思いをぶちまけたメタ的なものに思われ,本が手放せない本好きな人にはここまで卑屈な理由も多分に共感できると思う.私もテレビアニメになり累計XXX万部も売れている小説を2~3ページ読んだだけであまりの文章のひどさに挫折したことが何度かあるし・・・
    青春小説を堪能すると同時に,文章のかけない自分ではあるけど商業主義な世の中で「理屈抜きで文章を書くのが何よりも好き」な人たちをもっと応援できないかなと考えさせられる小説.結構満足.

  • 小説好きにはたまらない!
    小説を書いてる主人公と、なんでも持ち合わせてる子と出会いの話。
    なんか、やってることが本当に好きなことなんだろうか?って悩むとこは共感できる。

  • ☆4.5 正直、前半は主人公やヒロインにイライラし読み進めたくなくなるが期待以上の作品。最初は文学少女の二番煎じかと思い読みながら辟易していた。しかも小余綾がテンプレヒロイン過ぎて、この作家のようなラノベ脳にはやれやれだぜと思ってしまった。しかし、彼女がテンプレヒロインとして描かれる理由が分かると納得しかない。金太郎飴のように量産されていく美少女は無意味な存在でしかないが、この作品では小余綾は小余綾でなくてはならない。
    「文芸部なんて幽霊部員の巣窟でしょ」と口にする輩にこの作品を読ませたい。後半の熱量に圧倒され、ページをめくる手が止まらなかった。愛しい作品。無理に恋愛感を強めず、あくまで「物語を生み出すこと」に軸を置き続けて最後まで書き切ったのも好印象。

    勿体ないのは、友人である九ノ里と後輩の成瀬さん、病弱な妹の存在や展開が都合良すぎる。どうしても、ご都合主義だと否めない。

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プロフィール

【相沢沙呼(あいざわ・さこ)】
1983年埼玉県生まれ。2009年『午前零時のサンドリヨン』で第19回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。2011年「原始人ランナウェイ」が第64回日本推理作家協会賞(短編部門)候補作、2018年『マツリカ・マトリョシカ』が第18回本格ミステリ大賞の候補作となる。繊細な筆致で、登場人物たちの心情を描き、ミステリ、青春小説、ライトノベルなど、ジャンルをまたいだ活躍を見せている。シリーズ前作『小説の神様』は、読書家たちの心を震わせる青春小説として、絶大な支持を受けた。

「2018年 『小説の神様 あなたを読む物語(上)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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