今昔百鬼拾遺 鬼 (講談社タイガ)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 585
レビュー : 60
  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062940351

作品紹介・あらすじ

「先祖代代、片倉の女は殺される定めだとか。しかも斬り殺されるんだという話でした」 昭和29年3月、駒沢野球場周辺で発生した連続通り魔・「昭和の辻斬り事件」。七人目の被害者・片倉ハル子は自らの死を予見するような発言をしていた。ハル子の友人・呉美由紀から相談を受けた「稀譚月報」記者・中禅寺敦子は、怪異と見える事件に不審を覚え解明に乗り出す。百鬼夜行シリーズ最新作。
   

感想・レビュー・書評

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  • 刀に纏わる因縁を絡めながら通り魔事件の真実を解明していくストーリー。
    気軽な気持ちで手に取ったけれど、なかなかどうしてページ数以上の読み応え。

    なんだか言葉が、文章がぐいぐい迫って入り込んでくるような感覚がたまらない。この世界に取りこまれ絡めとられた気分になる。
    終盤は特に次から次へと言葉が、胸の内の言葉が、人たるもの、人の心というものが迫ってくる、そして必死にその言葉たちを自分の中に取り込む。

    特にあの子の言葉は斬りかかってくる感覚でしばし息を忘れるぐらい圧倒される。面白かった…心地良い疲労感に包まれ読了。

    • まことさん
      くるたんさん。おはようございます!
      やっと読みました!久しぶりの京極さん♪
      最近、書店に全然行っていなかったので、くるたんさんのレビュー...
      くるたんさん。おはようございます!
      やっと読みました!久しぶりの京極さん♪
      最近、書店に全然行っていなかったので、くるたんさんのレビューを拝見するまで、発売されているのを知りませんでした。
      姉妹編も読もうと思っています。読みやすい長さで、とても面白かったです(^^♪
      ご紹介どうもありがとうございました!!
      2019/08/15
    • くるたんさん
      まことさん♪おはようございます♪

      コメントありがとうございます♪そして素晴らしいレビュー!!
      読んだ時の記憶がよみがえりました♪

      最初の...
      まことさん♪おはようございます♪

      コメントありがとうございます♪そして素晴らしいレビュー!!
      読んだ時の記憶がよみがえりました♪

      最初の数ページで⁇私も全然わかりませんでした(>_< )
      美由紀の啖呵をきるシーンが爽快ですよね。
      手に取りやすいボリュームなのも魅力ですよね。
      ぜひシリーズ楽しんでみてください♪
      2019/08/15
  • 昭和29年3月、記者の中禅寺敦子の元に、女学院の生徒で14歳の呉美由紀から「どう考えてもおかしい昭和の辻斬り殺人事件」が持ち込まれた。
    美由紀の先輩の女学生片倉ハル子が連続猟奇殺人事件の七人目の被害者となって斬り殺されたのが、おかしいのだという美由紀。
    ハル子は日頃から「鬼に祟られている。呪われている」とおびえていた、と言い、犯人はハル子と交際していた19歳の施盤工の男、宇野憲一、通報者はハル子の母親の片倉勢子。
    三代続いた日本刀による同じ血筋、片倉家の女性殺害。
    関連性はあるのか。三人目の犠牲者のハル子が口にしていた、祟り、呪い、鬼とは一体何なのか。
    本当に鬼の祟り、呪いなのか。
    研師の大垣喜一郎は言う。
    「刀は人殺しの道具」「出来るから殺したくなるんだ」。

    このお話は、勘のいい方なら、最初の数ページで、謎が解けたと思います。材料は全部出揃っています。
    私は、最後の最後まで真相はわからなかったけど、読後感は悪いお話ではなかったです。

    • くるたんさん
      まことさん♪

      読了おつかれさまでした♪
      鬼と呪いと因縁と…複雑に絡み合って読ませる作品でしたね♪
      「河童」はさらに読みやすく笑えますよ(⁎...
      まことさん♪

      読了おつかれさまでした♪
      鬼と呪いと因縁と…複雑に絡み合って読ませる作品でしたね♪
      「河童」はさらに読みやすく笑えますよ(⁎˃ᴗ˂⁎)
      2019/08/15
    • まことさん
      くるたんさん♪
      ミステリーなのに、最後の美由紀のセリフと、大人のロマンスにちょっと感動しました。「河童」も、今読んでます(^^♪
      くるたんさん♪
      ミステリーなのに、最後の美由紀のセリフと、大人のロマンスにちょっと感動しました。「河童」も、今読んでます(^^♪
      2019/08/15
  •  京極堂シリーズ本編の現時点の最新作『邪魅の雫』が刊行されたのは2006年。スピンオフを含めても、2012年の『定本 百鬼夜行 陽』以来、久々の新刊である。今回は講談社タイガから刊行。3ヵ月連続で、異なる3社から刊行予定という。

     京極堂こと中禅寺秋彦は登場しない。探偵役に当たるのは、妹の中禅寺敦子である。「昭和の辻斬り事件」と称された連続通り魔事件。敦子は、7人目の被害者である片倉ハル子の友人、呉美由紀から相談を受け、解明に乗り出す。

     文章は比較的平易だが、相変わらず理屈っぽい。京極堂本人が出てきたら、この程度では済まないが。一ファンとしては、読みやすいような物足りないような。ところが、さほど複雑ではなさそうな事件の構図を探っていくと…。

     ある家系に不幸な事件が相次いだとする。ネット時代の現代であっても、因縁とか言い出す輩はいる。むしろ、ネット時代だからこそ爆発的に噂は広がるだろう。舞台は戦後間もない昭和29年。「稀譚月報」の記者である敦子は、あくまで偶然と考える。

     しかし、当事者が因縁と思い込んでいるのが厄介なところ。そんなときこそ陰陽師の出番…と言いたくなるが、探偵役は敦子。兄ほど弁が立たない彼女にできるのは、関係者に会い、事実を丹念に追っていくこと。それにしても皆饒舌だな。

     結局、人が人を殺すのである。刀が血を欲するわけではない。因縁とか何とかは後付けでしかない。その結論に至るのに、随分遠回りした気がしないでもないが、京極堂がやっているように、必要なプロセスであり、読者には醍醐味に違いない。

     タイトルにある「鬼」とは、日本人が思い浮かべるステレオタイプの「鬼」ではなく、概念としての「鬼」。本来は見えないものだという。まあ、こんな真相はにわかには信じがたいし、見えないもののせいにしたくもなるか…。

     軽めとはいえ、久々に味わったこの感触。続く2作も読んでみよう。

  • 「百鬼夜行シリーズ」の番外編かな。
    刀の話なんで審神者にはオススメかもw

    犯人はたぶんすぐわかっちゃう(^_^;) でもそれはどうでもよくて蘊蓄を聞いてるうちにストンと腑に落ちるのがこのシリーズの良さ。
    しかし主人公は京極堂ではなく、妹の敦子と呉美由紀なので憑き物落としにはならない。けれど、美由紀の若さとまっすぐさで読後感はさっぱりする。

    「これ、綺麗ごとですか? 私、子供だから綺麗ごと云いますよ」

    なんやかんやコンプレックスを抱えてる敦ちゃんには、彼女みたいな存在は救いかも知れない。
    いつもに比べると物足りない感じもあるけど、3部作らしいので全部読むと丁度いい?

  • 三京祭で鉄鼠の檻と虚談とヒトごろしの三つの話をうまいこと織り交ぜた短編を作って欲しいということで、その三冊集めると特典として読むことができた短編(といっていいのか?)が出版されたものが今作。

    見事に要素を取り入れてきてたのでやはりすごいなぁと。
    ヒトごろしの要素が一番強かったので、ヒトごろしを先に読んでいたほうが楽しめると思う。
    もちろん読んでなくても楽しめるようにはなってるけど。

    中禅寺敦子と呉美由紀のコンビもよかった。
    もともと好きなふたりだし。

    お互い影響をうけたあるふたりに似てきちゃってるのがなんだか微笑ましい。

  •  迚(とて)も怖いのです、この小説は。
     ほとんど切れそうなのですから。
     百鬼夜行シリーズなのにこの薄さ。枕だとか鈍器だとか言われる彼のシリーズと比して此の薄さ、あの鈍器と比べると手が切れてしまうのではないかという薄さということです。いや、怒っているのですよ。『鵺の碑』などというタイトルまで示しながら、10年以上も新作を出さないあの和装の凶眼の男に。
     そして、この薄い長編を百鬼夜行シリーズ最新作と言い抜ける此の凶行に。だいたい、京極堂こと中禅寺秋彦も榎木津礼次郎も旅先で面倒な事件に巻き込まれていていないというではありませぬか。相談に来たのは14歳の少女、呉美由紀。昨年、全寮制の女学院を舞台にした連続猟奇殺人事件に巻き込まれていた、というと、はて、もう忘れてしまったので、ちょっと調べてみなければなりませんな。そうです、『経絡婦の理』。
     で、京極堂御一行は栃木に行っているらしい。栃木の事件ってあったか、いや覚えがないな、どうやらそれは『鵺の碑』の舞台のようではありませんか。やはりもうすでに書き終わっているのでしょうか、ぬえ。
     では誰が相談に乗るのか。中禅寺敦子、つまり京極堂の妹、科学雑誌『綺譚月報』の記者であります。美由紀が転校した学校の先輩が恋人と言われる男に斬り殺された。そしてその男は連続辻斬り事件の犯人でもあるという。いやいや刃物ほどに薄い文庫本で斬り殺されたわけではなく、日本刀で。でも何かおかしい、変だ、というのが美由紀の相談であります。でも刑事でも探偵でもない敦子に何ができましょう。それは、できることを、つまり一民間人として聞ける範囲での情報収集です。敦子は美由紀とともに真相に迫っていきます。
     さて、タイトルは「鬼」。被害者の家系の女性たちは代々、日本刀で無残にも斬り殺されておるのです。まるで鬼の所業のように。そして因縁は近著『ヒトごろし』にもつながっているという趣向。
     そう、鬼というのは迚も怖いのですよ。
     もちろん、鬼など実在せず、鬼の因果なんてものも人間の心が生み出す虚妄というのが、このシリーズの基本理念。はたして敦子は憑き物落としもするのでしょうか。

     京極堂シリーズが四回転半ひねりを入れた大技だとすれば、これはシングルアクセルくらいですけれども、小技には小技のよさがあるといえましょうか。小娘には小娘の叡智があるといいましょうか。いや、年齢なんか関係ないんですよ。

     さてこの中禅寺妹シリーズ、出版社を変えて、3カ月連続で刊行されるという。グローバルの時代ですからな。ま、舞台は昭和二十年代ですが。

  • 中善寺という姓が出てくるだけでわくわくしました。ところどころに出てくる「兄だったら云々」というところにも頷き、鳥口さんの、あの3人に対する傍若無人・人事不省・仏頂面の評価にニヤリとし、楽しいことこの上なかったのです。敦子さんと呉さんのコンビもなかなか良い味です。
    憑き物落としをあの人に任せたのですね。今回の憑き物落としもお見事だと思いました。
    鬼を作るのも、鬼になるのも、鬼を解放するのも、葬るのも、結局は人ですよねえ。
    持つ手が楽な重さでした。
    兄の活躍も読みたいものです。

  • 「今昔百鬼拾遺」シリーズの3ヶ月連続刊行祭り第1弾。
    京極堂の妹、中禅寺敦子が主役で、『絡新婦の理』の呉美由紀が再登場。本1冊分ではあるが、この著者にしてみれば短編といえる。
    刀で殺傷する連続通り魔事件の最後の被害者の友人であった美由紀は、彼女が自分の死を予見するような発言をしていたことから事件に疑問を持ち、相談を受けた敦子はともに解明に乗り出す。
    呉美由紀が出るなら敦子より榎木津と絡ませてほしかったと思ったが、ラストの彼女の見せ場で納得した。『絡新婦〜』の時も思ったけど、やはりこの子は好きだ。

  • そしてこのスピンオフ長編である。中禅寺も榎木津も関口も
    木場も登場しないけれど、空気感はシリーズそのもの。
    とても楽しく懐かしく、一日で読み終えてしまった。
    オチはまぁ予想の範囲内ではあるけれど、それを上回る濃密
    さで迫ってくる、決して軽いとは言えない重厚な内容。堪能
    いたしました。引き続き「河童」に進みます。

  • 中禅寺敦子と呉美由紀による百鬼夜行の新シリーズ。

    美由紀が転校先の学校で仲良くしていた先輩の片倉ハル子が連続辻斬りに殺された。ハル子は『片倉の女は鬼の因縁で斬り殺される運命』との言葉を残していた。自白から世間は、元旋盤工の宇野憲一と見られていたが…真実は…。


    敦子を京極堂、美由紀を榎木津っぽい配役にして上手く話が回っている感じが面白かった。

    真実としては、『鬼の運命』を断ち切る為にハル子が連続殺人をおかし、それを止めようとして母の片倉勢子がハル子を殺してしまい、ハル子が持っていた刀を握っていた宇野が犯人とされていただけだった。

    凌雲閣やその下の浅草十二階下の私娼窟の話
    新選組、土方歳三の話、どちらも私の興味あるネタでグイグイ読めた。時間が取れなくて途切れ途切れになって、話が繋がらなくなったけど、一気に読める厚さなので、確実に一気読みした方が良いと思った。

    次の2冊はそうする。

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著者プロフィール

京極 夏彦(きょうごく なつひこ)
1963年、北海道小樽市生まれ。小説家としてだけでなく、世界妖怪協会・世界妖怪会議評議員(肝煎)など妖怪研究家であり、他にも装幀家、アートディレクター、俳優など様々な顔を持つ。
広告代理店を経てデザイン会社を設立。1994年、そこで暇つぶしに書いた『姑獲鳥の夏』を講談社に送ったところ極めて評価を受け、同年、即出版・デビューに至る。瞬く間に執筆依頼が殺到する人気作家に上り詰めた。
1996年に『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、1997年『嗤う伊右衛門』で第25回泉鏡花文学賞、2002年『覘き小平次』で第16回山本周五郎賞、2004年『後巷説百物語』で第130回直木三十五賞、2011年『西巷説百物語』で第24回柴田錬三郎賞など、数多くの受賞歴がある。
代表作に「百鬼夜行シリーズ」「巷説百物語シリーズ」「豆腐小僧シリーズ」など。

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