風は青海を渡るのか? The Wind Across Qinghai Lake? (講談社タイガ)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062940368

作品紹介・あらすじ

聖地。チベット・ナクチュ特区にある神殿の地下、長い眠りについていた試料の収められた遺跡は、まさに人類の聖地だった。
 ハギリはヴォッシュらと、調査のためその峻厳な地を再訪する。ウォーカロン・メーカHIXの研究員に招かれた帰り、トラブルに足止めされたハギリは、聖地以外の遺跡の存在を知らされる。 
 小さな気づきがもたらす未来。知性が掬い上げる奇跡の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 再読 Wシリーズ3

  • p46
    「目にすれば失い、口にすれば果てる」

    p119
    「だいたい、そういった分野では、一人で活動できない。何人かで協力し合う場合が多い。自然に、そんな中からリーダが生まれる、というわけ」

    p134
    もはやせまい窓からキーツの部屋をのぞきこむ観光客はいなかったし、詩人の末期の眼に映った最後の光景を見ようともしなかった。

    p200
    ウォーカロンは、全体でリンクしています。

    p249
    「私はどこから来たのか、私は何者か。私はどこに行くのか?」



    引用は、アルフレッド・ベスターの『虎よ、虎よ!』。
    シリーズ3作目。まだ近い未来の展開中という感じ。何かで書いていましたが、シリーズものは最初はつまらなく書くと(もちろんその中にもいくつかの優れた部分があるのでしょうが)。徐々に世界は明るみに、またストーリーのテンポと構成もエンタメに振り切るのかなと想像。だいたい半分(5作?)行ったところからギアが上がるのを期待。ウグイとのやりとりもほぼサービスのようなもの。

    本シリーズ、ただの幻想小説として読めない。優れた研究者、作家、語弊はあるけど頭の良い人。だからその世界情勢や人との関係やテクノロジーの数々は自分の見ることのない未来のように思えてならない。
    数年か数十年のラグはあるものの言ったこと、思ったことがだいたい当たる著者のことだから適当に書いているわけではなさそう。

    攻殻の『機械たちの時間』を彷彿する。すべてのAIやアンドロイドが意識を共有する未来。素敵。と無責任に思える時代に今私はいる。

  • ウォーカロンと人間の謎が少しずつ解き明かされていくが、そこには新しい謎が… 今回は戦闘シーンは少なめかな。
    そして、最後の1行に驚愕。

  • 前作からますます存在感を増してきていた真賀田四季博士、そして100年シリーズとの接点。

    かつてのイル・サン・ジャックの遺跡で発見された、真賀田博士が作ったと思われる巨大な人形の頭。数百年ぶりに起動されたそれの口から語られた言葉。
    「私の役目は、人類の共通思考の構築です。」

    前作でヴォッシュ博士の元を訪れたときの真賀田博士の意図も含めて考えると、今のところ真賀田博士は世界の進むべき道をデザインし、彼女の崇拝者の元へ現れて啓示を与えて回っているように見える。

    そして彼女の望むように世界は進むんだろうか。

    昔から欲のためでも完全なる善意からでも世界を自分でデザインしようという存在は最終的に打ち倒され、あるいは自らの誤りを悟って消えていくものなのだけど、森作品の第一作目から君臨する博士がそんなボスキャラ的存在になるとも思えないし。といろいろハラハラしながら読んでいます。

    先が楽しみです。

  • フフシルも実在する地名なのか。
    そして、あの建造物がそんなに近距離にあるとは!
    完全にヨーロッパだと思っていたよ。もはや叙述トリックと言っていのでは(叙述トリックではありません)。

  • 遺跡の発掘や使われていない天文台などナクチュの文明が調査されていく過程が面白い。
    カンマパの署名に驚き、ラストにも驚いた。
    ハギリがウォーカロンの変異に気付くための思考描写がいい。

  • 再読。
    何回読んでも続々するラスト。

  • チベットナクチュの地下で長く安置されていた冷凍死体、子供を産むことのできるウォーカロン等、これからの展開の鍵になりそうな新要素が増え、更に謎も深まる。続きが気になって仕方ない!

  • Wシリーズ3つ目。とうとう子供を産むウォーカロンが出てきた。ウォーカロンに時々起こるバグを修正できたら人間になるのでは?という素敵な考え。揺らぎとかそういった規則にないものを許容できるのが人間なんだなあ。ここでの注目は、フフシルで襲撃された時、ペイシェンスが柱を支えて人を守ったところ。なんと心強い味方か!その前にウォーカロン工場からの帰りに迎えに来たアネバネとペイシェンスが襲撃され、反撃したところもかっこよかったなあ。

  • 最後の最後の名前で、グッときて涙が溢れてきた…

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著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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