七日目は夏への扉 (講談社タイガ)

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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062940443

作品紹介・あらすじ

学生時代の恋人・森野の訃報。初めて聞くはずのそれをわたしは知っていた。残された証拠から推測すると、森野は自殺したのかもしれない。それも殺人を隠蔽するために。死の真相をさぐるうち、わたしの一週間が崩れだす。火曜日の次の日は月曜日。次は水曜日で……。意味がわからない。けどこれだけは言える。あ
いつが死ぬのは七日目だ。なら、やるべきことは決まってる――。

感想・レビュー・書評

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  • 主人公朱音の、竹を割ったような性格が、読んでいて楽しかった。ストーリーもよくて、特に後半一気読みだった

  • タイトルにある通り、ハインラインの『夏への扉』のような過去と未来を行ったり来たり。
    でもその移動はそんなに長い時間ではなくて、たったの一週間。
    しかもただ一週間をやり直すのではなくて、学生時代の元恋人森野が死ぬ火曜日の次は月曜日に戻り、次は水曜日……とバラバラになっている。
    森野の死の真相を探り、それを食い止めるためにタイムリープ&やり直しを始める。

    この設定、そしてタイトルと表紙イラストの清々しさ。
    表紙の帯には「今日が死ぬのに最高の日だとしても。」

    もうこれは面白いに決まっているだろう!

    と思ったら間違っていた。

    表紙のような海は出てこないし、女子高生が主人公の訳でもない。
    主人公朱音の高校時代なのだろうが、当時の彼女の髪は黒ではなくパンクなピンク。
    ちなみに拡声器も。
    夏らしさなんてちょろっと出て来る青空と枯れた紫陽花くらいにしか感じない。
    ハインラインの『夏への扉』のような壮大さはないし、「扉」が関係しそうな話でもない。
    SFをテーマに「夏への扉」なんてタイトルをつけたことが間違い。


    序盤はとてもいいのだ。
    森野の車がガードレールを破壊して崖下に落ちたところから始まる。
    そこに遭遇した朱音には、晴れた夏の空や日差しを浴びた木々が作り物めいて見える。
    枯れた紫陽花。
    朱音の焦り。
    場違いに頭の中に流れ出すマキシマムザホルモン。

    意識が飛んで月曜日に戻ってからは、姪のひびきとの軽快なやり取りがおもしろい。

    朱音は事故のことは夢だと思い込んで、森野のことを思い出す。
    「森野の笑顔はいつも少し泣き顔に似ていた。」

    影がある感じの男なのか。
    と思いつつ、ここでちょっと私には気にかかる。
    メンヘラっぽい人が男女ともに苦手だ。
    男は特に。
    高野苺の漫画『orange』の翔とか、超気持ち悪い。
    暗い面は誰にでもあると思うが、それを自分だけと勘違いして周りに不幸を振りまかないでほしい。
    助けてほしいならそう言えばいいのに。
    それが難しい気持ちもわからないではないけれど。

    この作品、そういう登場人物が多い。
    まぁそれでも、登場人物たちが立ち直って、前に向いていく話ならいいのだ。
    しかし、事件は一応の解決を見せるものの、根本的な解決を見せていない。
    同じことまた起きるぞ。

    途中は盛り上がりに欠けて単調に見えるし、そもそも1週間をシャッフルする設定の必要性が見られない。
    単純に一週間のやり直しでいい。
    いや、極端なこと言えば、タイムリープ設定もいらないかもしれない。

    シャッフルした曜日の記述の仕方もわかりづらい。
    各章のタイトルに曜日が書かれているのだが、土曜日と書いていて、冒頭だけ木曜日の話とかしだすもんだから、誤植かと思った。

    肝心の謎も、疑わしい人がもうそいつしかいないくらい限られていて、そのキャラクター像からシチュエーションも限られてくるので、意外性がない。
    「不可能を消去して、最後に残ったものが如何に奇妙なことであっても、それが真実となる」に従った場合、消去して残るものが全然奇妙ではない。
    朱音は朱音で、サバサバして人情に厚いのかと思いきや、平気で周りの人を片っ端から疑い始めるし。

    ラストは、スピード感ある文章で読ませてきたのはいい。
    でも、あの状況であのシーンは長すぎだ。
    緊迫しているのに、表現も冗長にすぎる。
    そして何より許せないのが、表紙帯の「今日が死ぬのに最高の日だとしても。」というセリフが出てこないのだ!
    きっと、ただのキャッチコピーのつもりだったのだろう。
    でも私は、これがどんな心境で語られるセリフなのか、それを知りたかったのに。

    たしかに、似たようなセリフは出て来る。
    でも、作中で「詩とは翻訳されることで失われるなにかである」という言葉を紹介しているが、まさにその通り。
    言葉がちょっと変わるだけで印象は全く異なる。

    永遠に続く一週間から抜け出すには、これまでの繰り返しにはなかった大きなイベントがあるべきだと思うのだが、それも単純であっさりしている。
    そして、改変した後のパラドックスにもお構いなし。
    パラドックスはいろんな解釈があってもいいとは思うが、多少触れては欲しかった。

    全体的にまとまってはいるが、もっとやれることあるだろう。

  • どうやって森野の死を回避するのか、はらはらしました!
    曜日を飛び越えながら、だんだんと真相に近づいていくのも面白かったです!
    ちょいちょい出てくる雑学も楽しかったです!

  • ケン・グリムウッドの「リプレイ」や北村薫の「ターン」、そして名作映画「恋はデジャブ」、近いところでは桜坂洋の「オール・ニード・イズ・キル」など、繰り返しものは古今東西数多あるが、本作もその一つ。仕掛けよりもその中であがきもがく主人公の姿に共鳴できるか否か、結末に納得を得られるか否かが好き嫌いを分けるだろう。そして自分は…悪くはないけど予想通り、まあこんなもんやろ。てな感じでした。

  • 2018.4.6読了。

  • 【あらすじ】
    学生時代の恋人・森野の訃報。初めて聞くはずのそれをわたしは知っていた。残された証拠から推測すると、森野は自殺したのかもしれない。それも殺人を隠蔽するために。死の真相をさぐるうち、わたしの一週間が崩れだす。火曜日の次の日は月曜日。次は水曜日で……。意味がわからない。けどこれだけは言える。あいつが死ぬのは七日目だ。なら、やるべきことは決まってる――。

    【感想】

  • 期せずしてタイムリープものを連続して読むことになった。目覚めたら日付が飛んでたり戻ってたりというもの。移動の理屈はよくわからないけど、終わりよければすべて良し。表紙やタイトルから高校生の話かと思ったら違った。

  • タイムスリップもの。驚きは少ないものの、読みやすいので、最後まで飽きずに読めた。
    あらすじ(背表紙より)
    学生時代の恋人・森野の訃報。初めて聞くはずのそれをわたしは知っていた。残された事実から推測すると、森野は自殺したのかもしれない。それも殺人を隠蔽するために。死の真相をさぐるうち、わたしの一週間が崩れだす。火曜日の次の日は月曜日。次は水曜日で…。意味がわからない。けど、あいつが死ぬのはきっと七日目だ。なら、わたしのやるべきことは決まってる―。

  • 今日が死ぬのに最高の日だとしても。
    事故死した元恋人は、殺人を犯したのか?
    悪意と絶望を断ち切るために、わたしは弾丸(言葉)を放つ。

    学生時代の恋人・森野の訃報。初めて聞くはずのそれをわたしは知っていた。残された事実から推測すると、森野は自殺したのかもしれない。それも殺人を隠蔽するために。死の真相をさぐるうち、わたしの一週間が崩れだす。火曜日の次の日は月曜日。次は水曜日で……。意味がわからない。けど、あいつが死ぬのはきっと七日目だ。なら、わたしのやるべきことは決まってる――。

    ▼立ち読み版はこちら
    http://akm.md-dc.jp/book/carrier/00000006/binb1.4/000000c4/binbReader.jsp?url=&shareUrl=http%3A%2F%2Fmd-fp.jp%2Fservice%2Fnc%2F0000000n%2F000000%3Fisbn%3D9784062940443%26lastUrl%3D&cid=000391to00000000&dlEngine=0000000x&title=%E3%80%8E%E4%B8%83%E6%97%A5%E7%9B%AE%E3%81%AF%E5%A4%8F%E3%81%B8%E3%81%AE%E6%89%89%E3%80%8F%E8%A9%A6%E3%81%97%E8%AA%AD%E3%81%BF%7C%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BEBOOK%E5%80%B6%E6%A5%BD%E9%83%A8&dataName=%E4%B8%83%E6%97%A5%E7%9B%AE%E3%81%AF%E5%A4%8F%E3%81%B8%E3%81%AE%E6%89%89&productName=%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%97%E3%83%AB&param=1

  • 【ネタバレあり】

    元恋人が死ぬ夢を見てから
    1週間を飛び飛びで繰り返すというストーリー

    後半急ぎ過ぎたかな?と感じたけども
    綺麗なばかりでない結末や心情があらわとなり
    ある一点から順繰りにやり直すタイムリープものじゃないところが
    新鮮味があった

    一見して揺るぎないように見える主人公の軸がぶれてしまうところが
    よくもありわるくもありな読後感
    特にタイムリープをやり直す理由が、元恋人のためというよりは姪のためだったんだ!
    というくだりでは
    ちょっと呆気に取られたというか
    唐突だった

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著者プロフィール

神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。作品に「ふしぎ古書店」シリーズ、「すみっこ★読書クラブ 事件ダイアリー」シリーズ、「恐怖のむかし遊び」シリーズ、「笑わない王子と恋愛カガク部」シリーズ、「SNS100物語」シリーズ(講談社青い鳥文庫)、『スベらない同盟』『恋話ミラクル1ダース』「予測不能ショートストーリーズ」シリーズ(講談社)などがある。


「2023年 『YA!ジェンダーフリーアンソロジー TRUE Colors』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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