恐怖小説 キリカ

著者 :
  • 講談社
3.60
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本棚登録 : 401
感想 : 81
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062940528

作品紹介・あらすじ

ホラー小説の新人賞を獲得し、僕は出版に向けて準備をはじめた。隣には支えてくれる最愛の妻・キリカ。順風満帆な日々が続くと思われたが、友人の一人が「作家とは人格破綻者である」「作家は不幸であるべき」と一方的な妄想を僕に押し付け、嫌がらせをはじめる。ストーカー行為、誹謗中傷の手紙、最悪の贈り物。やがて不幸は、僕とキリカのとある「秘密」を暴き出すが――。

感想・レビュー・書評

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  • すごくおもしろかったです!って書くよねー!
    でも本当に、リアリティがあって、すごかったです。少し前に小野不由美さんの「残穢」を読んだ時も感じたんですけど、実話?って思うくらいの。いや、あの、完全に実話だとあれなんで、けど私は「ぼぎわんが、来る」も「ずうのめ人形」も好きです。怖くて。人間も怖いけどやっぱりおばけも怖いです。
    こちらもちがう意味でほんと怖いです。そしてレビューが難しいです。

  • いや〜、面白かった!じゃなくて、怖かった!
    だって私も『ぼぎわん』レビュー書いたし!「後半は普通のホラー」って書いちゃったし!(でも⭐︎4だし、「最高に怖かった」とも書いてますよ?←必死に言い訳)。

    書けば書くほどネタバレになる、レビューが書けないタイプの作品である。まあ、障りにならない程度に書くと主人公「僕」=香川隼樹=澤村伊智が『ぼぎわんが、来る』で日本ホラー小説大賞大賞を受賞するところから始まる私小説(ドキュメント?)ホラーなのだ。受賞から改稿・校正・出版へのスケジュール、錚々たる大作家陣(着物に黒手袋って京極夏彦でしょ笑)が顔を揃える授賞式などなど、おそらく澤村さんがまんま体験したことだろう。そんないわば人生が一変した香川にはいいことばかりではなく、ともに小説を書いてきた友人副島から妬まれ、嫌がらせを受けるように。唯花と離婚後、現在の妻霧香がそばにいて執筆を励ましてくれたからこその今がある。香川は霧香にまで害が及ぶことを懸念するのだが……という話なんだけど、第一章の最後でドンと衝撃の真実を突きつけてくる展開は澤村ホラーあるあるだ。
    ここまでくるともう読むのをやめられない。ほぼ二日で読んでしまった。時間があれば一気読みも可能だろう。

    第二章は妻の霧香側から描く夫香川との日々。第三章は友人梶山から見た香川のこと。⭐︎一つマイナスなのは結末が後味悪すぎたので。ホラーとしては十分アリなんだけども。
    作家が少なからず苦労して生み出したものを(私も含め)読者はわりと軽い気持ちで大上段から偉そうに貶すこともあるのだが、そんな読者を恐怖のドン底に叩きつける作品である。

  • 澤村さんの作品をいくつか読んだ上で読むことをお勧めします。

    最初は、澤村さんの自伝的なお話なのかな?と思いながら読んでいきましたがどんどんミステリホラー要素が強くなっていき、面白い仕掛けだなぁと思いながら読ませてもらいました。

    小説というものをある意味メタ的に書いていて、最後の後書き、出典までニヤリとさせられる仕掛け。

  • 日本ホラー小説大賞を受賞した作者による、自伝的小説……だったらとんでもなく怖いお話。ネタばらしはないけれど、「ぼぎわんが、来る」と「ずうのめ人形」を先に読んでおいたほうが楽しめそうです。そして「ぜんぜん面白くなかった」なんてネットで酷評してようものなら……うふふ。
    序盤のリアリティが半端ない。受賞の体験とか、校正の経緯とか、そのあたりは実話なんだろうなあ、でもなんか物語的な起伏はいまいちかなあ、などと思いながら読んでいると。そのうちどんどん狂ってくる物語。残虐シーンもてんこ盛り。心理的恐怖もぐいぐい来るし。そこまでいらんわリアリティ!と思うほど、気持ち悪さが増してきます(褒めてます、念のため)。
    そして、この「小説」が書かれた目的……いやいや、小説をそんなのに「使う」だなんて! 邪悪すぎますよそれ。たしかにこういうのを読むと、一番怖いのは人間なのかなあって思えてしまいました。「本物」ねえ……実話でないことを祈ります。

  • 皆さんがレビューで「レビューが書けない」って言ってたわけが、読んでみて、ようやく実感としてわかりました(苦笑。

    最初・・・1章の中盤くらいで読むの嫌になっちゃったんです、これ、私の好きなタイプのホラーじゃないのかな。と思って。(レビュー書くのが怖くて、これ以上細かく書けない。(;´▽`A
    で、一章読むのを飛ばして(実際には1章のラスト数ページだけ読んでから)、2章を読みました。
    そっからは、読みましたけれども。

    全部読んでから、一章の読んでないところも読みました。
    安心して読めました(苦笑。
    怖さがあるのに、ちゃんと夜中にトイレに行ける、実話怪談系じゃないホラーです、なんか、キリカだからじゃないけど、キリきりと胃にくるホラーです。

    個人的には、前作「ぼきわんが、くる」「ずうのめ人形」のが大好きです。また、こういった作品を書いて欲しいです。

    • みつきさん
      >LUNAさん
      うん、悪くはないんだけど・・・ね('Д')・・・
      「私が失敗した理由」は読んだことがないので、早速読んでみたいと思います...
      >LUNAさん
      うん、悪くはないんだけど・・・ね('Д')・・・
      「私が失敗した理由」は読んだことがないので、早速読んでみたいと思います。
      (しかし図書館の予約が今、冊数満杯なので、空いたらスグ予約したいです)
      2018/02/20
  • レビュー書くことが憚られる怖さですね。作者ほんとうにやばいんじゃないのかと感じさせる凄みがある。どんでん返し的に予想を裏切ってくるのはほんとうに上手い。三章構造で章ごとに語り手が変わるやり方は前作でも使われてたなあなんて感想すら作者の掌の上で。こちらが読んでどう感じるかを先回りされているという感覚が、作者に見られているという感覚に繋がってさらに怖いよ。

  • これ読んでレビュー書けます?

  • ホラー小説の新人賞を獲得し、僕は出版に向けて準備をはじめた。隣には支えてくれる最愛の妻・キリカ。順風満帆な日々が続くと思われたが、友人の一人が「作家とは人格破綻者である」「作家は不幸であるべき」と一方的な妄想を僕に押し付け、嫌がらせをはじめる。ストーカー行為、誹謗中傷の手紙、最悪の贈り物。やがて不幸は、僕とキリカのとある「秘密」を暴き出すが――。

    比嘉姉妹シリーズとは別の作品という事でししりばの後に読んだけど、予想とは全然違うタイプの恐怖だった。
    作者さん含め作家の名前そのまま出してたり、「ぼぎわん」や「ずうのめ」の出版までの流れ書いてあったり、どこまでが真実でどこからが虚構なのか…境界線が酷く曖昧でいっそう不安になる。最後まで読むとレビュー書いて大丈夫かなって心配にもなる。
    最初は副島の歪んだ執着がこっわ!ってなったのに、霧香の真実と告白で主人公に対しての見方が一転した。ホラーとはちょっと違うけど間違いなく怖いタイプ。人間が一番怖いとはこの事か。
    警察に言ったのに、梶山さん達が普通にやられるまで野放しにされてるのがどうにも納得できなかったけど。

  • 貴志祐介氏の「ついうっかり本物を世にだしてしまいました。」には二つの意味がこめられてると読み終えて分かりました!うかつなレビューは怖いので書けませんが(笑)、前2作については多少なりとも人間の怨恨からなる霊や妖怪なるもののお話で「ひゃ〜、人間(の憎悪)って怖い〜」でしたが、今回は「ほんまもんの人間が怖い」でした。しかし、これ講談社だったんですね。てっきりKADOKAWAのシリーズだと思ってて、あれ、いつ真琴とか出るんだろ?と思ってました(笑)。

  • 辛辣にレビューすると作者が殺しにくるそうなので、うーん。とりあえず作中に自分を登場させてここまで頭おかしい人物像にできるってすごいよね。次回作も読みます。

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著者プロフィール

1979年、大阪府生まれ。東京都在住。幼少時より怪談/ホラー作品に慣れ親しみ、岡本綺堂を敬愛する。2015年に「ぼぎわんが、来る」(受賞時のタイトルは「ぼぎわん」)で第22回ホラー小説大賞<大賞>を受賞しデビュー。2019年、「学校は死の匂い」(角川ホラー文庫『などらきの首』所収)で、第72回日本推理作家協会賞【短編部門】受賞。他の著作に『ずうのめ人形』『などらきの首』『ひとんち』『予言の島』などがある。巧妙な語り口と物語構成が高く評価されており、新たなホラーブームを巻き起こす旗手として期待されている。

「2023年 『七人怪談』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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