バビロン 3 ―終― (講談社タイガ)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 381
感想 : 40
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062940726

作品紹介・あらすじ

「死の自由」は正義なのか。最悪の女・曲世愛の向かう先は――世界。今、世界の終わりが、始まる。
“新域”にて施行された「自殺法」の火は、海を越え、世界に広がった。合衆国国務長官テイラー・グリフィンは、広がる「死の自由」と、その背後に潜む闇と対峙する。

感想・レビュー・書評

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  • えっ……まさか最終巻ではなかったとは…いやだってー終ーだし。最終巻かなと…思うじゃないですか?
    まあ「考える人」による善悪の結論でこのサブタイトルは納得できますけども!むしろ最終巻でこのサブタイトルじゃダメだなってなりますけども!いやほんと終わらなくてよかったです…
    うむ…やっぱり人は考え続けなくてはならんのだなあ…。
    しっかし愛さんは…うーむ…そんなに「悪いこと」が好きならもっと飽きっぽくなってはいかがでしょうか?妙に一途だよね…それが愛なのかな……

  • タイトルに「終」とあったので、これが最終巻だという先入観を持って読み始めてしまった。
    世界の首脳によって意外とあっさり問題解決?……と思いきいや。それで済むわけがなかった。盛り上がる展開だっただけに、落とされる感覚が凄まじい。

  • 前作の終わりで思考実験は死生観から善悪になるのだろうと思っていたが、中盤まで死生観の考察が続く
    そこから善悪に転換する部分は論理的なカタストロフを感じた
    議論の描写がメインだが非常にエキサイティング

  • 正崎さんは生かされて、次は家族の惨い姿を見せられるのかと思うと続きを読むのが恐ろしいです。終わるのが好きならはやく自分を終わらせてくれませんか。

  • いつの時代も概ね正しいのは子供の方だ。大人はわかったような気になっているが、成長とは時間をかけてくもることでもある。

    そう。我々は見えなくとも、いい。何が見えたのかを後から教えてもらえればそれでいい。

    生物が生きること。無機物が存在すること。何かがあり、それがあり続けること。なんでもいいんだ、ただ続けば、それていいんだ。僕らは「続く」に「よい」という名前をつけていたんだ。

    悪いって「終わる」ことよ。あなたは善人、続くが好きな人。私は悪人、終わるが好きな人。


    終わりかたこれかー!アニメとは違うな。しかし、原作の終わりかた邪悪すぎる・・・こんなん善さんの気が狂う・・・どうしようもないやん。続きをよみたいような読みたくないような。

  • 終わるという悪いことが好きな曲世愛、この気持ちを正崎にもわかって欲しかった。一体何に魅了されたのか…

  • この章がどうして我々にとって残念なのかと言うと、自殺を大真面目に議論したところで稀代のヴィラン曲世愛との対決と排除とはなんら関係がないことが、前章までで明らかになっていたからだ。また前章の衝撃的な幕引きを経た以上、次に必ず正崎善の家族が狙われることや、その展開が訪れるまでは単なる茶番か目眩しで実質停滞同然であることも我々は見透かせてしまえたからだ。

    だから我々は、おそらく作家がそれなりに真剣に考えて練ったであろう、この章の大部分を占める他国民の思考と議論について、まともに取り合うことなく、活字を然程拾わず、おざなりに受け流して最後まで滑っていけてしまったのだった。(漫画・映像媒体の特色については触れない)ゆえに主要人物の悲劇的な最期にも当然ろくろく没入出来ないし、これで最後の引きが初めから当然視されていた範疇を出ないとなれば、竜頭蛇尾の謗りは免れないだろう。

    前章最終場面で曲世愛は初めて例外的な行動をとっており、それは曲世愛が初めて見せた隙でもあったはずなのに、肝心の正崎善がこれを奇貨とし得ないまま、石に齧り付くような地道な捜査に執念深く入れ上げることもなく、ただの大統領の話し相手……はっきりと言えば無策で無能で無価値なままだったことも物語を腰砕けにした。あの弱腰では曲世愛ほどのヴィランでなくても嘲笑われてしまう。なんのために渡米したのか。曲世愛におそれをなして家族をおいて逃げたも同然なのにそんな自責も出来ない死に体同然の衰弱には同情するが、「正崎善が復活しない間に世の中では大変なことが起きていました」と省略できてしまう程度の話がこの章である。我々は次回に期待するしかない。

  • 日本の“新域”で発令された、自死の権利を認める「自殺法」。その静かな熱波は世界中に伝播した。新法に追随する都市が次々に出現し、自殺者が急増。揺れる米国で、各国首脳が生と死について語り合うG7が開催される! 人類の命運を握る会議に忍び寄る“最悪の女”曲世の影。彼女の前に正崎が立ちはだかるとき、世界の終わりを告げる銃声が響く。超才が描く予測不可能な未来。

  • アレックス……!からの、曲世……!!(なにも伝わらないって)
    淡白でなんならやや退屈さにも似た落ち着きでお堅く粛々と冷静に進むのに(それも、風情が全くないというような面白味のなさではないから、嫌いでない)、突然の蛮行とも言えるような終盤に、とりあえず浚われる。
    記憶の遠い一、二巻の残酷さを正崎がちゃんと思い出させてくれたのに、満を持するまで予期出来なかったうっかりさである。

    あまり大衆的な物語ではない気もするし、でも明らかな力を持ったわかりやすく派手な展開でもあって、なんかとりあえずどストレートなのに捻った「すごい」感。ふしぎ。。

  • 三冊目。不正事件の捜査中に遭遇した「毛や皮膚混じりの異様な血痕と、紙を埋め尽くした無数の文字、アルファベットの「F」」そんな衝撃から始まった物語は、超都市圏構想“新域”の選挙、ある法令を施行するかどうか、とどんどん変化を見せ、最後はFBIまで動き世界の話になります。副題の「終」はまさしく「終」であり「終」でもない。本としてはこれで完結でよいのでしょう。しかしなまじキャラが書き込まれているため、シリーズ通じて何度も思い入れのあるキャラにやられました。最後の展開は賛否あるだろうなあ。私は違う方が良かったかな。

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著者プロフィール

【野崎まど(のざき・まど)】
2009年『[映] アムリタ』で、「メディアワークス文庫賞」の最初の受賞者となりデビュー。 2013年に刊行された『know』(早川書房)は第34回日本SF大賞や、大学読書人大賞にノミネートされた。2017年テレビアニメーション『正解するカド』でシリーズ構成と脚本を、また2019年公開の劇場アニメーション『HELLO WORLD』でも脚本を務める。講談社タイガより刊行されている「バビロン」シリーズ(2020年現在、シリーズ3巻まで刊行中)は、2019年よりアニメが放送された。文芸界要注目の作家。

「2023年 『タイタン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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