百鬼一歌 月下の死美女 (講談社タイガ)

著者 :
  • 講談社
3.57
  • (7)
  • (15)
  • (21)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 203
感想 : 22
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062940856

作品紹介・あらすじ

歌人の家に生まれ、和歌のことにしか興味が持てない貴公子・希家は、武士が台頭してきた動乱の世でもお構いなし。詩作のためなら、と物騒な平安京でも怯まず吟行していた夜、花に囲まれた月下の死美女を発見する。そして連続する不可解な事件――。御所での変死、京の都を揺るがす「ぬえ」の呪。怪異譚を探し集める宮仕えの少女・陽羽と出会った希家は、凸凹コンビで幽玄な謎を解く。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • まあ、鎌倉時代が舞台だが、ラノベのミステリーって感じかな。主人公は藤原希家と中宮に仕える13歳の少女陽羽の2人だね。明らかに希家は藤原定家をモデルにしていて、歌にしか興味のない変人という設定だが、実際の偏屈定家よりよっぽど常識人だ。鵺が出るという怪異をこの2人と陽羽の叔母の讃岐(源頼政の娘)たちが何とかしようという話である。死人も出てしまう。鵺出現の裏にはなにやらきな臭い陰謀がありそうだ。希家は他人の和歌はいろいろ呟くのだが、ちっとも自分で和歌を詠まない。

  • 和歌にしか興味のない貴公子・希家と、宮仕えの少女・陽羽の、事件簿。

    シリーズ第1作。

    冒頭の話の希家は、確かに歌に夢中な変人らしさがあるけれど、そのあとは、わりと空気を読む普通の人間だったような。

    何度も人の死がかかわる話だけれど、元気いっぱいの陽羽が、雰囲気を明るくしてくれる。

    一方、最後に匂わされつつも、今作では回収されなかった問題は、苦い展開になりそうな予感。

    詳細な設定から、時代は鎌倉初期、主人公は藤原定家と思われるものの、他の登場人物もふくめ、名前が変えてあり、作中では特定されていない。

    ここまで細かく設定しながら、歴史上の人物とどこまで同定して読んで欲しいのか、距離感がつかみきれず、戸惑った。

  • 瀬川さんの宮中モノ。本書は鎌倉時代初期の京都が舞台となっております。
    歌人の家に生まれ、和歌のことにしか興味がない貴族の希家と、大和国の尼寺で暮らしていたのを、宮中に務める叔母・讃岐の口利きで中宮に仕える事になった女童の陽羽。
    “月下の死美女”をきっかけに出会った二人が、宮中で起こる怪異の謎を追う連作5話の構成です。
    和歌ヲタクの希家は、登場当初はマイペースな変人という印象でしたが、はねっ返りな陽羽と行動を共にするときは割と常識人だったりします。
    二人に共通しているのは、月姫様こと中宮の味方であるという事。
    陽羽が怪異譚を集めているのも、帝の気を中宮に惹きつける目的があったようで・・。
    その中宮と希家の従兄弟でイケメン僧侶の寂漣との関係も気になるところです。
    今回の一連の“鵺騒動”は陽羽の活躍で一応収束したものの、その首謀者が公にはならずじまいか・・・と、思いきや、ラストで“え?まさか、あの人が・・・?”という場面でこの巻が終わってしまいました。
    これは、続き気になるヤツ~。

  • 源平の争乱から10年後の時代、歌に並みならぬ情熱をそそぐ希家と、ある事情により噂話を集める少女・陽羽の話。
    美女の死体を見つけても歌、宮中で鵺らしい声を聴いても歌、何につけても歌のことを忘れない希家――ブレない。
    噂話に尾ひれをつけたす陽羽が最初のほう苦手だったんですが、途中で本人が反省して改めていたのでよかったです。
    まあ、暴走癖は治ってないんですけど。

    一連の事件については謎が残ったまま終わってるんですが、実行犯は示唆されていて、動機の解明はこれから。
    黒幕も他にいるのか……。
    陽羽は一人前の女房になれるのか。
    全3巻だとわかって、まとめて買ってるので続きが楽しみ~。

  • ちょうど先日、平家物語の解説的な番組を見たので、時代背景がドンピシャで入り込みやすかったです。

    めでたしめでたしと思ったら、最後の最後に不穏な空気が。

    お兄様ー!!!

  • 日本の平安時代にとてもよく似たパラレルワールドでのお話、という感じです。歴史の本に載っている実在の人物の間に、本作の主要登場人物が実在のモデルとなったであろう人物と良い感じのズレを伴って登場してくるのが楽しく読めました。
    怪異譚好きの宮仕え少女の造形は、森谷明子さんの紫式部のシリーズに出てくる女性の若いころを連想しました。
    分かり易い表現で貫かれていますが、それが、かえって、そこまで書かなくても読み取れますよ、という感じを持たせるところが、ところどころにあるように思わせました。人物が分かり易いのが、そんな感じにさせるのでしょう。
    最後の2ページも、やっぱりねえ、と思わせる感じで、次の1冊に進むかどうか、ちょっと迷っています。

  • 鎌倉時代の京都を舞台に、浮世離れした歌人の男と、想像力が豊かで中宮に仕える半者の少女が遭遇する都の怪異譚。結構面白かった。

  • 歌狂いの権少将と、中宮にお仕えする女の子のホラーコメディ。女の子が元気でかわいい。

  • 最高やった、最高やった!
    凸凹コンビのやり取りも最高だし、こうきたのかという圧巻の展開と、多分多分黒幕は…って思ってた通りの展開だけどあー!!!
    もう喉をかきむしりたくなる、早く続き読みたい!!!
    変わり者の二人が織り成す滑稽な光と黒幕や被害者達の闇の対比がしゅごい

  • 壇ノ浦の戦いで平家が滅び、武士が台頭してきた平安末期。和歌のことしか興味がない貴族と、お仕えする中宮のために怪異譚を集める少女が、御所の怪事件に立ち向かう。
    この時代の人にしては怪異をあまり信じず恐れないキャラが多くて全体的に軽いが、読みやすく面白かった。ラストで事件の黒幕は暗示されているが続編に続きそうな終わり方で気になる。

全22件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1964年生まれ。91年『闇に歌えば』でデビュー。
「ばけもの好む中将」、「暗夜鬼譚」シリーズ(ともに集英社文庫)、『怪奇編集部「トワイライト」』(集英社オレンジ文庫)など著作多数。

「2019年 『百鬼一歌 菊と怨霊』 で使われていた紹介文から引用しています。」

瀬川貴次の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×