毎年、記憶を失う彼女の救いかた (講談社タイガ)

著者 :
  • 講談社
3.66
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本棚登録 : 351
レビュー : 44
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062940931

作品紹介・あらすじ

すべての伏線が、愛――。

第54回メフィスト賞受賞作!

わたしは1年しか生きられない。毎年、わたしの記憶は両親の事故死直後に戻ってしまう。空白の3年を抱えたわたしの前に現われた見知らぬ小説家は、ある賭けを持ちかける。

「1ヵ月デートして、ぼくの正体がわかったら君の勝ち。わからなかったらぼくの勝ち」

事故以来、他人に心を閉ざしていたけれど、デートを重ねるうち彼の優しさに惹かれていき――。この恋の秘密に、あなたは必ず涙する。

感想・レビュー・書評

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  • 「毎年、記憶を失う彼女の救いかた 」
    これは愛の力だけでは語れない。


    毎年、記憶が両親の事故死直後に戻ってしまう尾崎千鳥は、1年しか生きられない。空白の3年を抱えた千鳥の前に見知らぬ小説家が現れ、ある賭けを持ちかける。「1ヶ月デートして正体が分かったら君の勝ち、分からなかったら僕の勝ち」。


    2017年第54回メフィスト賞受賞作品。メフィスト賞と言えば良く分からん世界観モノが多く癖ありなイメージが有ったのだけど、個人的な感想としては王道恋愛ストーリー。静岡ネタもてんこ盛り。


    成人祝いを兼ねた家族旅行での不慮の事故により、記憶喪失の病に苦しむ千鳥の前に突然現れた天津真人。彼が現れた理由と抱える秘密がなんとも切なく、ちりばめられた伏線が回収されることで、なぜ真人は千鳥にここまで尽くすのかが徐々に明らかになっていきます。そして、最後になると千鳥から真人へ感情移入する対象が変わっていく。 貴方は決して不幸じゃない、1人じゃないと伝えることがどれだけ大切かが沁みてくる。


    また、読み終わって改めて表紙を見ると、最初は男性(真人)が女性(千鳥)を振り向かせる、前を向かせようとしている様に見えましたが、逆でもあると感じました。つまり、女性(千鳥)が男性(真人)を引いて前に進んで行こうとする姿にも見えました。真人の千鳥に対する確かな愛だけでなく、強い覚悟があるからこその姿である気がします。

  • 1年で記憶が無くなったしまう、主人公と突如現れた謎の男。彼が持ちかけた内容は”1ヶ月で正体が分かれば君の勝ち”
    美しく装飾された伏線は、蔦のように絡まり、彼女たちを結びつける。大きな盛り上がりとカタルシスが心に残留する。

  • 主人公の千鳥は、交通事故で両親を亡くしたことをきっかけに記憶障害となり、毎年1年分の記憶を失うようになってしまう。物語は3回目の記憶喪失の後から始まる。千鳥は親友の栞や主治医の小林先生に支えられて生活しているが、またこの1年の記憶を失ってしまうことを思うと、将来に希望を持つことができないでいた。そんな彼女の前に、天津真人と名乗る男が現れる。彼は千鳥のことをよく知っているようだが、千鳥は彼のことを覚えていない。天津の賭けに乗り、千鳥は彼と期間限定のデートをすることになる。
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    記憶喪失ものとしては割とベタな展開なのでは、と思う。結末途中で分かったし。まあ、ガチのミステリーというわけでもないから、それは別に悪くない。千鳥が天津の正体に気づくシーンや、栞や小林先生が天津に協力していたという所にはもうひとひねり欲しい感じはしたけれど。感動はしなかったけど、結末の形は綺麗で、面白く読めた。
    だからこそひっかかるのが、謎の浜松推し。作者は本作の舞台の静岡県浜松市で育ったということだけど、それにしても、作中に浜松の地名や施設名がそれはもうたくさん出てくる。どこかの紹介文で数ページとおかずに浜松が登場、と書かれていたけど、まさにそんな感じ。でも、それらは本作のストーリーには何ら関与していなくて、ただ出てくるだけ。地名を出すだけならリアリティを出すためにアリだと思うけど、ローカルな遊園地やハンバーグチェーン店まで説明付きで出す必要はないだろうと思った。ちょっとした宣伝になっちゃってるし、お金貰って名前を出しているんじゃないの?と勘繰るレベル。本作を読んだからといって出てきた浜松の場所に聖地巡礼よろしく行ってみたくなるとも思えないし、物語としては逆効果だったと思います。

  • 面白かった。   
    メフィスト賞にしてはパンチが弱かった気がするけど、良い話だった。      
    メフィスト賞にしてはちょっと良いお話すぎた。 放送作家という肩書を持つ著者ならではないかと思う。     
    貧弱な語彙力では感動した、感涙だ、としか言葉が出てこないが、こういう話もありだなと思える。   
    たまにはこういう話を読んで、濁った心を清浄しないとね。

  • こうした記憶喪失絡みの設定の小説は涙してしまうとわかっていたので、温泉施設で一気に読んでその後お風呂へ。

    主人公千鳥の「聡明でクールな女」を演じようとするところや、「左脳や、頭で考えた決断」をしてしまうところに共通点を感じるので、入り込みやすかった。本当は甘えたかったり、本当は頼りたいけれど、ひとりになってしまうのが怖い。怖い思いはしたくなくて、ひとりでも大丈夫な、誰に頼らなくてもやっていけるような自分を目指してしまうところ。
    とても自分に似てるところがあるし、とても自分には辿り着けないような強さも感じる。とても辛い体質を持っていても、前向きに捉える視点を持っていたり、でも完璧じゃなかったり、素敵だと思うけれども愛おしいなと思える存在。

    なので、真人の存在は素直に羨ましいと感じたし、でも、いちばん最初に会った時には拒絶しまくってたのだから、肚から愛せる相手なんて一目惚れとは限らないんだなと思ったり。
    一方で真人は一目惚れに近いし、そして千鳥も、1度結ばれていた後記憶を無くしても、また会った時に感情の記憶がのこっているからどことなく覚えてるというのもなんだか運命的。これって、小説だからなのもあるけれど、そういう認知って本当にあるとしたら、つくづく人間は不思議な生き物。
    記憶喪失についてはまだ解明されてないことがある中での記述だけども、記憶喪失について探ることは、人間の奥深くの脳の記憶と感情の関係について知ることと思うと少しばかり興味がわいた。

    千鳥の感情が溢れるところは共感しまくって涙ボロボロ鼻水ずるずる。笑
    きっと感情に蓋をしてしまって、怖いことや哀しいことから目を逸らしてしまうことって、こんな壮大でなくても、大なり小なり誰にでもあって。それを重ね合わせて吐き出せたような、そんな心持ちにもなれた。
    真人さんの日記の記述は、最初の日記からなんだか物悲しくてほろっとくるものがあったけれど、伏線として最後に回収されていく。多少の不自然さも、少し心にとまる程度で、後から点と点が繋がるような感覚を覚えるような感じ。

    いま将来について考える自分にとって深く残ったのが、千鳥が「さわやか」で真人に仕事の相談をさるところ。まるで自分へのアドバイスのように染み渡る。
    「もっと感情を使って考えたら?」
    「最初から楽しめそうな仕事を選んだほうが良い気はする」
    「誰でも最初の一歩は怖いんだ。怖くても飛び込まないと、なにも始まらない」

    だからこそ、最後に真人の日記を読んだ後に先生から「彼の影響で君に変化が起きたなら、彼も進めていることになる」と告げられて、
    即家具屋の奥さんに電話をするという行動に繋がったところに、わぁーー!っという感情の盛り上がりがあった。

    本を読んだからにはワンアクションを。
    もっと感情を使って考えて、最初から楽しめそうな仕事を選んで、怖くても飛び込んでみたい。
    使命感ではなく、してることが楽しいと思えるような、そんな仕事を。まずは、
    「なにしてる時が楽しい?」
    という問いかけをして、仕事の選択に繋げていこうと思う。

  • 感動的な物語ではあるのだが、正直話自体にはさほど目新しさを感じなかった。やはりメフィスト賞受賞作となると、何か一つ突き抜けたものを期待してしまう。

  • 癖がない感じだったかな。
    面白かったけどちょっと物足りない。

  • 3.5

  • 私は1年しか生きられない。毎年、私の記憶は両親の事故死直後に戻ってしまう。空白の3年を抱えた私の前に現れた見知らぬ小説家は、ある賭けを持ちかける。「1ヵ月デートして、僕の正体がわかったら君の勝ち。わからなかったら僕の勝ち」。事故以来、他人に心を閉ざしていたけれど、デートを重ねるうち彼の優しさに惹かれていき――。この恋の秘密に、あなたは必ず涙する。

  • 20歳の時に起きた両親の交通事故事故直後の記憶に毎年戻ってしまう女性の恋愛ミステリ

    尾崎千鳥の前に現れた天津真人に賭けを持ちかけられる
    「一ヶ月デートして僕の正体がわかったら君の勝ち。わからなかったらぼくの勝ち」
    何故か他の人には話していない秘密を知り、なくした腕時計の場所を知る男の提案に乗ってしまう千鳥
    何度かデートを重ねるうちに彼に惹かれていく千鳥
    もしかしたら、記憶をなくしている間に会った人では?と思うが、過去2回の記憶喪失の際につけていた日記は自分で処分してしまったらしく、知人や主治医に聞いても千鳥からそんな男の話を聞いたことはないという
    果たして天津真人の正体とは?



    何というか、記憶がリセットされる系の恋愛ドラマはありがちすぎない?
    まぁ、若干のミステリ要素はあるので他のとは差別化出来るのかも知れないけどさ

    どうやらメフィスト賞らしい
    まぁ、こんなミステリもありだよねとは思う
    途中の違和感というか、引っかかる描写の事情が最後のところで明らかになる部分は、天津真人の愛というか人間の記憶の不思議さに感動しないでもない

    あと、静岡を舞台にしていてデートの詳細を実際の地名や施設、店名で描写されていて、静岡の観光小説にも思える
    ステマかとも思える程の説明的な部分はどうもいただけないけど、地元民からしてみたら嬉しいのでしょうねぇ

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著者プロフィール

神奈川県横浜市生まれ。日本脚本家連盟会員。本作の舞台となる静岡県で育つ。上京後、放送作家として音楽番組を中心に携わった後、2017年『毎年、記憶を失う彼女の救いかた』で第54回メフィスト賞を受賞しデビュー。同作は、2018年第7回静岡書店大賞<映像化したい文庫部門>を受賞する。男女問わず共感を呼ぶ丁寧な心情描写を武器に、サプライズ溢れる恋愛小説を綴る。

「2019年 『透明なきみの後悔を見抜けない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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