殺人鬼探偵の捏造美学 (講談社タイガ)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062940962

作品紹介・あらすじ

奇っ怪な連続殺人で世を騒がせる殺人鬼マスカレードの正体は、精神科医・氷飽清廉だ。
氷飽清廉は知的でコーヒーを好み、常に心配りと礼節を忘れず、その推理力から警視庁からの信頼も厚い。
そして、殺人鬼だ。
注釈しよう。この物語はあくまで、殺人鬼氷飽清廉の、美学に基づく個人的な物語だ。

感想・レビュー・書評

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  • ある日お台場の運河沿い公園で、怪死体が発見される。死体には殺人鬼・マスカレードに殺されたような痕跡があった。
    新米刑事・鶯百合は、先輩刑事に紹介されたされた協力者・氷鉋と共に捜査を開始することになる。氷鉋清廉。精神科医にして探偵。その正体は、美学に満ちた殺人鬼・マスカレード。
    果たして百合は、謎めいた被害者の死の真相を突き止める事が出来るのか?


    外部協力者である探偵(実は殺人鬼)と共に、殺人事件被害者の、謎の多い女性の正体と彼女を殺した犯人を突き止めるため捜査する新米刑事さんの話です。

    本当に、タイトル通りのお話。
    作中で、「真実には大した価値がない」と繰り返し語られている通り、何重もの嘘と捏造に塗れた事件が語られています。

    真相とされた「ストーリー」が、何度もひっくり返って作りかわってゆく多重構造のミステリーは、なかなか読み応えあって面白かったです。
    ただ、それが真実って事で本当に良いの? 警察はそれを実行可能と思うの? という所には少し疑問が残りました。いや、現実でも稀に訳の分からない事件が起きたりしますし、100%ないとは言い切れないでしょうけど。

    いかにも続きそうなラストなのですが、続きが出ていないのはちょっと残念。

  • 氷鉋清廉(ヒガノセイレン)。天才精神科医にして、美学に満ちた殺人鬼・マスカレード。海岸沿いで発見された怪死体にはマスカレードに殺されたような痕跡が。新米刑事の百合は紹介された協力者と捜査を開始するが、その人物はあろうことか氷鉋だった! 父親、婚約者、恋人の証言が食い違う謎めいた被害者・麗奈を、当の氷鉋と調べる百合。だが、死んだはずの麗奈の目撃証言まであらわれ……!?

  • 読書偏差値が平均以上の人ならおそらくみんなが戸惑うような構成が、一番印象に残りました。
    完読することでようやく、タイトルの意味が分かる…すっきり感が、あった、ような?もやもやが残っているような?最後のページを閉じた今現在、複雑な心持ち。
    ミステリーとして読むにはかなり突飛な結末だと思ったし、
    かといってファンタジーなのかというとそうでもなさそうで。
    ジャンルちゃんぽんしてる作品がお好きな方にオススメしたいです。

  • 古い名探偵がこう言ったらしい。
    「犯人は芸術家だが探偵は批評家に過ぎない」。
    殺人鬼探偵は秀れた批評家でもあり芸術家でもあった。
    猟奇的な事件を鮮やかに創りだし
    猟奇的に分析し
    あっさりと終わらせる。
    あっけらかんとした犯人像が心地よく気持ちわるい。

  • 中盤から犯人が誰なのか本当に予想を何度も裏切られ、真実は幾つもの嘘で捏造されていて分からなかった。まさに捏造美学。
    すごく読み応えがあった。
    犯人はあいつかなーという予想が何度も裏切られるのが楽しかったな。

    『妙高麗奈』、恐ろし過ぎか。
    本物の妙高麗奈は最初に本当にマスカレードに殺されていたんだな。
    てっきり田町乙葉と名乗って出て来た『妙高麗奈』が本物かと思ってた。
    最後も田町乙葉こと『妙高麗奈』が意味深な去り方をして百合と別れたから。騙されたわ〜!
    不気味で異常な『妙高麗奈』を思うと本物の妙高麗奈は余程人間らしかったな。
    養父を愛して諦め切れないとことか、中絶して絶望してもまだ養父が好きなとことか。
    歪だけれど、『妙高麗奈』と比べると人間臭くてホッとした。
    本物はやはり本物。マスカレードを最後見事に出し抜いたな。
    靴擦れをしていたことを悟らせないまま自分を殺させたから。流石本物。

    氷鉋は結構ぶっ飛んでるよな~。
    靴擦れがあって完璧な足じゃないからって、まさか自分が殺した罪を他人に擦り付けるなんて(笑)
    そこからのこじつけもまた凄い。
    よくもまああそこまで騙しきったものだなぁと感心。
    そんなぶっ飛んでる氷鉋だけれど、殺人に対する思いがわりとまともな感覚だったのは驚いた。
    快楽殺人ではないんだな。むしろ殺人をしたくはないし、それに伴う感情もまともだった。
    そんな氷鉋を最後に追い詰めるのはきっと百合なんだろうね。
    氷鉋もまたそれを望んでいる。

    これは続編有りかな?
    続き出るなら読みたいな。

  • 捏造……捏造だった。キャラ的には氷鉋先生好きだけど。

  • エピローグが秀逸な作品。消化不良だったのが最後に一気に納得までいくのがよかった。氷鉋と鶯の因縁がまだまだ読みたい

  • 08/14/2018 読了。

    図書館から。
    初著者作品。

    んー…。

  • 2018.3.30読了。

  • 殺人鬼で探偵で捏造で美学と盛りだくさんのタイトルに偽りなし。捏造を信じすぎじゃないか?目撃証言とかどうなった?と思うけどもう何が真実で本物か混乱。シリーズは続くようだし、いつ彼女が真実を知るのか楽しみ。

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著者プロフィール

『空ろの箱と零のマリア』『Fランクの暴君』(ともに電撃文庫)『恋する殺人オーディション』(MW文庫)など、多くの著作を持つ実力派作家。

「2019年 『利他的なマリー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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