閻魔堂沙羅の推理奇譚 (講談社タイガ)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 65
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062941075

作品紹介・あらすじ

第55回メフィスト賞、受賞作!!

「犯人がわからない? あなたは地獄行きね」

死者復活を賭けた推理ゲーム!

俺を殺した犯人は誰だ? 現世に未練を残した人間の前に現われる閻魔大王の娘――沙羅。赤いマントをまとった美少女は、生き返りたいという人間の願いに応じて、あるゲームを持ちかける。自分の命を奪った殺人犯を推理することができれば蘇り、わからなければ地獄行き。犯人特定の鍵は、死ぬ直前の僅かな記憶と己の頭脳のみ。生と死を賭けた霊界の推理ゲームが幕を開ける――。

感想・レビュー・書評

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  • 新鮮で面白い!

    生き返りを賭けた推理ゲーム。
    確かにヒントはしっかりある。

    推理小説としてもファンタジーとしても楽しめる。

  • とても良かった!
    けど、なんでこんなにも面白かったのかがわからない

    例えば『第2話 浜本尚太21歳 会社員 死因・凍死』
    このお話なんて、読んでい犯人特定方法も推理できたし、キャラクター造形からストーリー展開、こんな感じでお話が終わるんだろうなーというところまで含めて想像の内だったんですよ
    なのに、めっちゃくちゃ面白かったんです!

    もちろん全てのお話に対して「想像の内で~」とは言わないですけど、いやそれにしてもどこから来るんだろうこの面白さはと……

    これが著者紹介に書かれている「新人離れした筆運びと巧みなストーリーテリング」って事なんでしょうかね
    でもその言葉のもう一歩先の面白さの理由を解明してみたいと思わされる面白さ

    俗に言う「こういうのでいいんだよ」の最上級といったような?
    (失礼な言い回しに感じなくもないけど褒めてます、すみません)

    脳内で想像しづらかった沙羅のファッションを、表紙で描いてくれているのも良い
    第1話の分だけじゃなくて、各話ごとのイラストも見てみたかったなー

  • 登場人物が死んでしまうまでの経緯と閻魔の子孫との出会い、推理パート、エピローグと構成がわかりやすくて読みやすいです。
    お話もそれぞれ独立しているのでさっくりいけます。
    ただ、物語が変わるだけなので構成が単調とも言えなくもないですね。
    10分間に答えを出さなければ地獄行きと言われる中、それぞれ登場人物は推理していきます。みんななんだかんだで頭良い。個人的には三話目が好きでした。

    だいぶ前に観たドラマ、スカイハイを思い出しました。

  • 2021/7/29
    ドラマの予告だけ見て存在を知り読んでみた。
    面白かった。
    閻魔様の娘はとてもかわいいな。
    こんなに生き返らせて怒られない?
    記憶なくなってもみんな人生が好転してて読んでる私も幸せ。
    続編も読まないと。

  • 黒髪のショートカットに虹彩の強い瞳。
    不似合いに大きな赤いマントを羽織った沙羅が口を開く。
    「敗者復活・謎解き推理ゲーム。正解できたら生還、できなかったら地獄行き。」

    父親と喧嘩して行くあてもなく、学校の部室にいた智子。後ろから首を絞めたのは誰?
    仕事で失敗続きの浜本。焦って冷凍庫から出荷荷物を取ろうとした途端、棚が崩れ落ちてきて。誰の罠?
    天寿をまっとうした聡子の最後の願いは。
    子供のころからの乱暴者、でも曲がった事の嫌いな世志輝。兄の電話で向かった先でチンピラ達に囲まれて。誰の差金?

    それぞれが人生の岐路に立ち、沙羅の挑戦を受けて立つ。
    彼、彼女たちの、その強い意志に沙羅がちょびっとサービスしてくれてる気がする。
    何事も本人次第なのよって。
    犯人はあっさりわかってしまうけど、読後が爽やか。

  • 主人公達が死後の世界で出会ったのは閻魔大王の娘・沙羅。
    生き返りたいと望む彼らに沙羅は10分以内に真犯人を当てれば望みを叶えると約束、彼らは今までの自分を思い返す…というのが大体の流れ。
    短編集でスラスラ読めます。
    第三話のおばあさんの話が一番良かった。
    彼女の場合は老衰だから、犯人を推理するのではなく息子の生死。姑と夫には恵まれなかったけど、子供やお嫁さん等には恵まれましたね。最後は、大好きなみんなに囲まれて亡くなるんだから、大往生だよね。

  • ネタばれあり。感想が遅くなってしまった・・
    メフィスト賞受賞作。本書は、何ともなくネットを見ていて、たまたま見つけたもの。正直に言って、表紙がかわいかったので購入。

    閻魔大王の娘である沙羅が、死んだ人間に謎解きのゲームをもちかける。これで負けるということは、自分を殺した犯人や真相が分からないままにさらに地獄に行くということだから、辛いものがある。しかし推理することができれば、何と、死の寸前にさかのぼってよみがえることができる。確かに、(ほかに同様の話があるのかはわからないが)ありそうでなかった設定である。おなじみの天国と地獄のイメージに沿った世界観なので、舞台設定の説明にも理解にも時間がかからないと思った。

    本書には4篇の短編が収められている。それぞれ、さまざまな年齢・性別・境遇の人物がさまざまな死因で亡くなる。「凍死」「老衰」など、いぶかしげなものもあるが、どれもストーリーは読みやすく、一読ですっと頭に入ってくる。

    閻魔の娘たる沙羅は、勧善懲悪・因果応報の理などは本来、人間の世界にはない、無関係のものであると言っているし、確かに彼女自身は推理ゲームをしたそれぞれの人間に特段の思い入れもないのだろうが、しかしその言葉とは裏腹に、各短編において、それぞれの人間たちは彼らなりにひたむきに生きてきたことが報いられるかのような結末を迎える。
    この点、個人的には、推理小説の読後に少しでもいやな気分になるのはあまり好むところではないから、とてもよかった。2話目などは、がんばってもどうしても仕事ができない会社員の話だったが、身につまされる箇所が多く、あやうく泣きそうになった。沙羅も、一見冷徹で人間ごときの運命に全く興味がないように描かれているにも関わらず、なぜか、どこか人間味もあり、温情的にも受け取れる。

    ただ、死後、もし本書のように、あらゆる人間の行動が何者かによってすべて記録されていて、評価・判断されるというのなら、そんなに楽なことはない。正しいことをしていても、努力をしていても、うまくいかないし悲惨な目にあう可能性もある。その意味で、やや、ご都合主義的なストーリーのように感じられてしまう向きもあるだろう。また、伏線がわかりやすく、展開が読みやすいと感じることもあった。

    それでも、本作のストーリーは人を惹きつけるものがあるし、このアイデア1つで、まだ色んなバリエーションの話を創出できるのではないかと思う。また、お気に入りのシリーズが1つ増えたので、嬉しかった。

  • 自分を殺したのは誰だ? 死の直前の記憶から犯人を推理せよ、蘇りか地獄行きか閻魔大王の娘沙羅から課される推理ゲーム!

    いいですね。 形式としては犯人当ての短編集ですがいい感じに伏線も張られてるし、死後の世界の経験によって主人公たちが明るい転機を迎えてくのもグッド。 設定は特殊だけどそれよりかはストーリの筆致が評価されたメフィスト賞としては珍しい作品ですね。

  • 食わず嫌いはいけないな。明日、全巻買ってくる。 

  • 〇自分の死因や心残りのことを、死後に考えるのでパズルゲームのよう。
    〇もうちっとだけ、年齢層低めの読者層も考えてくださると学校に置きやすいかも。が、創作物に見合った年齢になってから読むべきか。せばまると魅力が少なくなるかな?

    ここは死後の裁判所。
    自分の理不尽な死に納得がいかなければ、運が良ければ推理ゲームが出来る。

    「あなたは誰に殺されたのか、なぜ殺されたのか」

    時間は10分。手掛かりはあなたの記憶だけ。
    犯人がわかれば生き返られる。
    失敗すれば地獄行き。

    「緒方智子17歳 女子高生 死因絞殺」
    →何もかも中途半端な女子高生。こんなところで、終わってたまるか!

    「浜本尚太21歳 会社員 死因凍死」
    →仕事では失敗ばかり。正直さと人当たりの良さで頑張っている。
    …もっとガツンと相手に言ってやらんととは思うけど、それが相手にとって一番反省できることなんかな。

    「門井聡子82歳 無職 死因老衰」
    →時代で姑と夫に仕えてきたが、今は息子夫婦と孫に大事にされて暮らしている。心残りは生き別れの子どものこと

    「君嶋世志輝20歳 フリーター 死因撲殺」
    →押すなよ!絶対押すなよ!
    …ちょっと怖かった。暴力は文章でも怖い。

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著者プロフィール

埼玉県出身。『閻魔堂沙羅の推理奇譚』で第55回メフィスト賞を受賞し、デビュー。現在までに閻魔堂シリーズ7巻を手がける。2020年、同シリーズがNHK総合で「閻魔堂沙羅の推理奇譚」としてテレビドラマ化。

「2022年 『遺産相続を放棄します』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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