語り屋カタリの推理講戯 (講談社タイガ)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062941099

作品紹介・あらすじ

「君に謎の解き方を教えよう」少女ノゾムが、難病の治療法を見つけるために参加したデスゲーム。条件はひとつ、謎を解いて生き残ること。奇妙な青年カタリは、彼女に“Who”“Where”“How”などにまつわる、事件を推理するためのレクチャーを始める……!
広大な半球密室、水に満たされた立方体、ひしめく監視カメラ、燃え上がる死体。生き残るには、ここで考えるしかない――。

感想・レビュー・書評

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  • 5W1Hそれぞれの謎に対し、講義を挟みながら解決していく連作短編集。舞台設定も特殊で少しマニアックな作品。大技こそないもののそれなりに楽しめた。

  • レクチャーミステリという触れ込みだったのでちょっと退屈な内容かもしれないと思っていたんだが想像より面白かった。それに「フーダニット」「ハウダニット」「ワイダニット」だけでなく「ウェアダニット」「ウェンダニット」「ワットダニット」を作中で謎と共にそれを解決させる方法を語ったところはミステリ初心者以外でもなかなか面白く読めると思う。

  • さすが京都大学推理小説研究会に所属し在学中にデビューしただけある。 ミステリ好きな著者によるミステリ講戯。   5W1Hを具体例を挙げて懇切丁寧にだが全てを教えることなく思考を促し楽しませる。     
    これであなたも名探偵!

  • ミステリー・アンダーグラウンドゲーム。
    運営が用意したラウンドで、都度マッチングされる5人のプレイヤーが謎に挑む。
    「フーダニット」「ハウダニット」「ワイダニット」「ウェアダニット」「ウェンダニット」「ワットダニット」
    1ラウンドで5w1hのいずれかの謎を解くたびに、バングルに1つずつ光が点く。6つ、集めるとゲームクリアだ。
    その様子は配信される。

    ただ、このゲームに一般社会のルールは無い。ゲーム内で事件が起こったとき、プレイヤーの解く謎は、運営の用意したストーリーではなく事件に移る。

    事情を持つ中学生の少女と斜に構えた男性の師弟コンビが謎に挑む。

    ☆背景がわからないまま突然物語が始まる。世界観の描写はほぼ無く、乾ききったミステリーゲームへの没入。背景に文章を割くのがもったいないというくらいの潔さ。
    ☆読者もミステリーの構成の勉強になる。
    ☆バーチャル空間と思いきや、現実。

  • 「君に謎の解き方を教えよう」少女ノゾムが、難病の治療法を見つけるために参加したデスゲーム。条件はひとつ、謎を解いて生き残ること。奇妙な青年カタリは、彼女に“Who”“Where”“How”などにまつわる、事件を推理するためのレクチャーを始める……!
    広大な半球密室、水に満たされた直方体、ひしめく監視カメラ、燃え上がる死体。生き残るには、ここで考えるしかない――。

  • ○ 総合評価  ★★★☆☆
    〇 サプライズ ★★★☆☆
    〇 熱中度   ★★★☆☆
    〇 インパクト ★★★☆☆
    〇 キャラクター★★★☆☆
    〇 読後感   ★★★☆☆

     いわゆるデスゲームを描いた小説。設定についての説明がなく,いきなりゲーム真っ最中というところから始まるので,何かのシリーズの1作かと思わせるところから始まる。第1話「フーダニット・クインテット」の中で,少しずつゲームの詳細が明かされる。
     プレイヤーは5W1Hの全ての謎を解けば望みがかなえられる。また,ゲーム終了後に精算されるメネアドルを集めることで財産を築くことができる。メネアドルは視聴者からの人気を得たり,ゲームを盛り上げれば獲得できる。すなわち,このデスゲームは放送されており,視聴者が存在する。
     ヒロインはノゾムというプレイヤーネームの少女。友人がガラテア症候群という重い病気を患っている友人の病気の治療法を解明するために,デスゲームに挑んでいる。ノゾムがカタリという人物に出会うところから,この物語は始まる。
     フーダニット,ハウダニット,ワイダニット,ウェアダニット,ウェンダニット,ワットダニットの6つの短編が存在する。物語が進む中で,ヒロインのノゾムもガラテア症候群であることが分かる。カタリと出会うことで成長をするノゾムの物語でもある。最後のホワットダニットでノゾムは,復活した(復活させられた?)カタリとの推理ゲームに挑むというところで物語が終わる。
     設定はそこまで練られているというわけではなく,デスゲームとしてはありがちな設定だといえる。個々の短編の謎は及第点ではある。ノゾムとカタリや,それぞれのゲームでのプレイヤーとして出会う人物も,そこまでしっかりと描かれているとは言えない。それでもそこそこの面白さと感じた。そこまで練られていない設定でも,それなりに面白く描けるところに,円居挽の物語づくりと語り方の上手さが感じられる。お約束といった展開であり,傑作とまではいえないが,デスゲーム小説として十分楽しめる作品ではある。★3で。
    〇 フーダニット・クインテット
     犯人が,物語の語り手=カメラマンだったというオチの小説。犯人であるサイトは本物のカメラマンを殺害し,カメラマンになりすましていた。そして,カメラマンに成りすましてカタリを殺害し,バングルを奪おうとしていた。神の視点で描かれていると見せ掛けて,カメラマン=サイトの視点で描かれているという叙述トリックが仕掛けられている。カタリからノゾムに対し,フーダニットについての講義も書かれている。説明不足の部分があり,いきなり物語が始まるので入り込むまで時間が掛かるのが難点。★3で。
    〇 ハウダニット・プリンシプル
     イスカと名乗っている人物がカタリだったという叙述トリックが仕掛けられている。
     カクライの推理。広大な半球の密室で起こった殺人。タンプクは多量の水を入れてファリスを殺害する。しかし,ファリスが多量の塩を水に溶かしたために,タンプクは沈むことができず,酸素ボンベの酸素が無くなり死亡したというもの。
     イスカ=カタリの推理は片栗粉を使ったウーブレック。ウーブレックに沈んでファリスは死に,ウーブレックの上を走ったタンプクは槍を踏んで死んだというモノ。
     視聴者の人気がカタリの推理を勝たせたというオチ。イスカ=カタリの叙述トリックなどは面白いが,実はカクライの推理が正しかったのかもというオチは分かりにくい。★3で。
    〇 ワイダニット・カルテット
     焼死体が見つかる。その焼死体を殺害したのはオウンを殺害したマルイだった。マルイはバングルをすり替えるためにオウンを殺害し,オウンと入れ替わった。カタリがかつてオウンだったことから,オウンとマルイの入れ替わりを暴く。
     カタリがなぜ,5つクリアしたバングルをオウンに渡したのかといった謎も出てくる。物語としては既にイスカとカタリの入れ替わりがあったのでそこまで驚けない。入れ替わりのトリックが続くのは難点。それでも及第点ではある。★3で。
    〇 ウェアダニット・マリオネット
     自分達がどこにいるのかを解くという設定。真相は天井に張り付いていたというもの。ビデオは逆回転。水中花と思えば空中。そして逆さになっていたという全てが逆さまのラウンドだった。面白くないわけではないが,ウェアダニット=どこにいる?という謎がそこまで魅力的でないのが難点。★3で。
    〇 ウェンダニット・レクイエム
     カタリが殺害され,ノゾムが容疑者になる。探偵役はカクライ。カタリがいつ死んだのかが謎を解くポイントになる。真犯人はカタリ。死んだように生きていたカタリが自分の命の使い道を考えていたというのがノゾムの推理。ノゾムが推理で,手紙がダストボックスに捨てられていたことを見抜いたので,カクライが自分の犯行を認めた。面白くないわけではないが,明らかにネタ不足なっている。そもそもウェンダニット=いつ死んだのかという謎は面白い話にするのが難しいだろう。★3で。
    〇 ワットダニット・デットエンド
     ノゾムが,このゲームが愚か者による愚か者のためのショー。それこそがこのゲームの正体であり,隠されていたワットダニットです。とこのゲームに隠されたワットダニットを暴いてゲームをクリアする。ノゾムは稼いだメネアドルを使ってガラテア症候群の治療プロジェクトを発足させ,5W1Hのクリア報酬としては,最初からゲームに参加させてほしいという。そして,ノゾムがゲーム続行を望む理由を,ノゾムから運営と視聴者に対して贈る謎とする。その謎の答えは忘れられないようにするため。誰かが謎を解こうとノゾムのことを思い浮かべる限り,ノゾムは死なないと考えた。そして,ノゾムと復活したカタリの再会と対戦を予期させるような終わり方をする(続編があるのか?)。
     面白くないとは言えないが,オチとしては想像の範疇。よくできた話ではあるが,よくできた話どまりのオチ。★3で。

  • 【収録作品】フーダニット・クインテット/ハウダニット・プリンシプル/ワイダニット・カルテット/ウェアダニット・マリオネット/ウェンダニット・レクイエム/ワットダニット・デッドエンド

  • 謎を解き、6個の鍵を満たした者は願いがかなえられる。
    そんなゲームに挑戦している少女の話。

    プレイヤーはそこに隠された謎を解いていく、という
    巨大謎解きゲーム、みたいなものでしょうか?
    お金を集めて、知人の男の子を救いたい、という
    高尚な願いを持った少女が頑張っています。
    次の話では、どうしてそこまで頑張るのか、が
    分かりますが。

    偶然知り合った人と、また再会、またまた再会、と
    その都度どういう謎なのか、どこに視点をおくか、と
    レクチャーされていきます。
    そうして少女は成長していき…そして最後の謎。
    いや、最後というか、おわかれの謎?

    最初から最後まで、驚きの推理だったり
    打ちのめすための推理だったり。
    ここまで分類してくるのもすごい、と思いますが
    言われている事には納得です。
    いやでも、全部そろっていた方が
    推理ものは楽しいやも??

  • ルヴォワールみたいな特殊設定ミステリ(魔法とか超能力でなくて)なんだけど、ルヴォワールが好きすぎて、それを超える作品が出ないのが残念。

  • 今までと違った感じの推理小説でした
    それにカタリのレクチャーには自分も引き込まれました
    こんなにも謎について深く考えることなんてなかったです。あと、カタリが死んでいなかったのは予想外でした。
    ノゾムとの対決はどうなったのでしょうか?

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著者プロフィール

ミステリ作家。1983年、奈良県生まれ。2009年に『丸太町ルヴォワール』で講談社BOXからデビュー。同作から始まる〈ルヴォワール〉シリーズ(講談社)のほか、著作に『キングレオの冒険』(文藝春秋)、『シャーロック・ノート』(新潮文庫nex)など。

「2022年 『円居挽のミステリ塾』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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