- Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062998734
作品紹介・あらすじ
いま、使いたいもの、心が動くものはどこにある?
塗師という作り手でありながら、熟練の使い手でもある赤木明登氏、ギャラリストであり、洗練された選び手でもある赤木智子氏が、いま、行く価値のあるギャラリーについて考えました。日本全国を巡って、ふたりが気に入ったところ、新しい発見があるところ、おもしろいものが見つかるところ・・・・・・ を自ら紹介します。
そこからはまた、街とモノとの関係、新しい民藝についても見えてきました。
第1章 ほしいものはどこにある?
能登の暮らしから
第2章 うつわを巡る旅
~倉敷~鳥取~松江~能登~金沢~高松~高知~郡山~会津~新潟~高崎~川越
コラム 書店を訪ねて/旅と宿
感想・レビュー・書評
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この夫妻の本は図書館で目にしたら借りる。器を買う趣味はないし、必ずしも民藝的なテイストが好きな訳ではないのだけれど、彼らの文からヒントをもらうことがある。
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輪島の人気塗師である著者が、日本全国の生活工藝にまつわる店や民藝館などをめぐり、紹介する一冊だ。
ギャラリー、古本屋、紹介される店の情報も興味深いけれど、面白いのはこの赤木さんの独り言めいた文章の部分。
柳宗悦の「民藝」「用即美」という言葉を考え続け、現代の民藝、工藝とは何かを見つけようとしている。
確かに、柳の時代には「用」であった道具が、近代化された現代では用いられないものとなり、「用即美」とは言えなくなっている。それなのにあくまでもその時代の「民藝のかたち、もの」にこだわり続けるのは何か違う。
そして、「用」だけで言えば、まったく同じ「用」を成す壺が1,000個あったとして、その中でも美しい1個を選ぶのだとしたら、単純に「用」を成すことが美の基準にはならない、「用」以外の美の基準があるはずだ、というくだりにはそうだなと頷いた。
また、美しいものをつくるだけでなく、販売することについてもいろいろと考えられていて、「ギャラリーの付加価値とは何か」「クラフトフェアで低価格化し質が下がってしまうことへの危機感」など、興味深く読んだ。
かたちばかりの民藝や工藝、「用の美」を謳うものが増え始めている現代で、美しいものを探し続けている作り手の気持ちが伝わってくる。