25時のバカンス 市川春子作品集(2) (アフタヌーンKC)

著者 :
  • 講談社
4.45
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本棚登録 : 3740
レビュー : 332
  • Amazon.co.jp ・マンガ (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784063107807

作品紹介・あらすじ

深海生物圏研究室に勤務する西 乙女は、休暇を取って
久しぶりに弟の甲太郎と再会する。深夜25時の海辺にて乙女が甲太郎に見せたの は、貝に侵食された自分の姿だった。(『25時のバカンス』)
土星の衛星に立地する「パンドラ女学院」の不良学生・ナナと奇妙な新入生との交流 を描く。(『パンドラにて』)天才高校生が雪深い北の果てで、ひとりの男と共同生活を始める。(『月の葬 式』)。以上3編を収録! ロングセラー作『虫と歌 市川春子作品集』を描いた市川氏が放つ、およそ1年ぶりの最新作!!

深海生物圏研究室に勤務する西 乙女は、休暇を取って久しぶりに弟の甲太郎と再会する。深夜25時の海辺にて乙女が甲太郎に見せたの は、貝に侵食された自分の姿だった。(『25時のバカンス』)土星の衛星に立地する「パンドラ女学院」の不良学生・ナナと奇妙な新入生との交流 を描く。(『パンドラにて』)天才高校生が雪深い北の果てで、ひとりの男と共同生活を始める。(『月の葬式』)。

感想・レビュー・書評

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  • 虫と歌を読み終わってすぐ25時のバカンスも買いに走った。

    ・25時のバカンス
    天才研究者で変わり者な姉と事故で真赤な左目を持つ弟の話。

    それにしてもこの人の描く女体は美しい。
    シンプルな曲線でそれでいて動きがなめらかで見ていてうっとりする。
    弟が真珠を取り出すシーンは妙にドキドキした。
    冒頭で二人が自転車に乗っているシーンがあるのだけど、その時点で乙女さんの横顔にネジ穴(?)があるような気がするのだけど、研究者になってから貝を取り込んだはずじゃないのかな。それとももうそのころから真珠を作っていたのだろうか。


    ・パンドラにて
    地球から13億キロ離れた衛生にある女学校での話。


    ・月の葬式
    家出した天才高校生が北の村で月からやってきた王子と出会う話。

    失くしたリモコンを見つけたり千羽鶴が足りていないことに気付いたり剥がれた破片の数を当てたり、パッと見て答えが分かる「よみち」の設定が良かった。
    終盤、死ぬ直前の間さんは、なんというか、直視できない。ぞわぞわしながら見ていた。


    出会い→別れの前作と違って、今作は出会い→別れ→再会だったためか、読了後はなんだかほっとできたような気持ちになれた。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「動きがなめらかで見ていてうっとりする。」
      綺麗で透明感のある絵が素敵。それはきっと、重力を感じない世界を構築している所為なんだと思う。
      今...
      「動きがなめらかで見ていてうっとりする。」
      綺麗で透明感のある絵が素敵。それはきっと、重力を感じない世界を構築している所為なんだと思う。
      今、連載している「宝石の国」が早く一冊に纏まりますように。。。
      2013/05/23
  • 着想、せりふまわし、のびやかで動的な描画。どれをとってもすばらしい。今年ベスト1ぐらいの勢いで好き。

    前作『虫と歌』の衝撃はだてじゃなかった。
    表題作の「25時のバカンス」は一度では消化しきれず、すぐさま2度3度と読み返してしまった。「人の顔が開いて中から未確認生物が現れる」という、よく考えなくてもハイレベルなグロシーンなのに、グロに見せない絵のタッチと話の展開がすごい。
    細かなせりふに光るユーモアも見逃しがたい。「深い闇色の故郷」うんぬんかんぬんのあたりのやりとりが秀逸。「あいつら」がどんどん可愛くみえてくる…。

    今回もきょうだいのお話が多い。このひとは「きょうだい」というものに壮大なエロティシズムを感じているんだなぁ。

  • 前作『虫と歌』もよかったが、本作もすばらしい。
    人の人格を持った「モノ」をベースに、「孤独」に正当な居場所を与えていく作者。
    同じ作風から多彩な物語を形成していく能力には嫉妬してしまう。
    普通なら自己模倣になってしまうもの。

    「寂しいのは悪いことではありません。他の存在に感謝できます。孤独は生まれてから塵に帰るまでの苦い贅沢品..」(市川春子『25時のバカンス』)

    孤独は贅沢品。自分にとって、それは根本的に新しい価値観。

    「これ以上近づけないのなら 今度は遠のく日がひどくおそろしい 最高得点で時を止めて逃げてしまえれば」

    共感と反発を同時に感じる言葉。
    人と人との関係性は固定できない。たえず変わっていくもの。
    でもそれが好きなタイミングで凍結保存できるものだとしたら?

    主人公は迷いつつも、別の道を選ぶ。
    過去にしがみついて、低温やけどする方がきついのだと。

  • まだアフターヌーンを買っていた頃、
    四季大賞になった「虫と歌」が面白くて覚えていました。

    よもやこんなに人気になっているとは露知らず。

    表題の短編がべらぼうに面白い。
    間のとり方が絶妙です。

    コマ割りの時間分節も上手いですが、
    特にすごいと思ったのは、
    登場人物の気持ちとセリフの間。

    前編の最後のコマの
    「もっと調べなさい」というセリフは、
    繊細なタッチと相俟って、
    心情が匂い立つような表現で素晴らしいです。

    こういう言葉と心の距離感は、
    女性作家のほうが断然上手いんですよね。

    あとわたしなりの解釈ですが、
    この短編のタイトルの「25時」というのは、
    「未来の生命」を表しているのだと思います。

    宇宙や地球の歴史を24時間で表すみたいなのありますよね。
    人類の誕生は23時59分50何秒とか。
    そういう文脈で「25時」に「未来」という意味を乗っけているのかなと。

    一冊通しての印象は、
    一貫してフラジャイルな(壊れやすい)関係やモノ・人を描いている人だということ。

    特に、
    壊れていくあるいは溶けていくグロテスクな身体に、
    異常なまでのエロティシズムを感じさせる描写は、
    手塚治虫的な感性を感じます。

    たぶんそういうのにエロスを感じる人なんでしょうね。

    本棚から引っ張りだして読んだ、
    四季大賞の「虫と歌」も同じテーマでしたから。
    気持ち悪いという人が多い気のする作家ですな。
    でも、かなりおすすめ。

  • 前作からすっかり市川春子ワールドの虜になってしまいました。
    「内側から壊れていくもの」がテーマだったんでしょうか。そんな中自分の大切なものを守ろうとする人達のお話です。
    表題作が好きです。
    イソギンチャクみたいなやつ、かわいい!
    虫と歌よりSF性もグロテスクさも増してます。市川さんの感性が痛いくらい剥き出しに。だがそこがいい。
    うつくしくて濃い世界観の中で、ページをめくるごとに息が苦しくなっていくようです。
    ちょっと難解かも。一度読んだだけじゃ物語を掴みきれない。
    だからこそ何回も読んでほしい作品です。

  • 前々から読んでみたいと思っていたのですが、宝石の国を買いに行ったら隣にこれと虫と歌が置いてあって、ピーン!ときたこちらを先に購入しました。

    ビニールをはがしたら、表紙に透明な浮き出る加工がしてあってとてもきれいでした。うわあ~と声がでました(笑)
    カバーを取ると、その加工の模様が描かれていてよくわかります。シャンデリアみたいです。

    描き込んである緻密な絵ではないので、ちょっとわかりづらいところも正直あるのですが、もう気にならないくらいすべてがとても素敵で漂う空気がもうたまらないといった感じです。
    この世界の空気を吸って生きていたい。
    とても詩的で、漫画でこんな風な表現ができるのだと、普段あまり漫画を読まないからかもしれませんが、とても感動しています。
    漫画も小説もだいたい一度読むとしばらくいいかな、という感じですが、これは何度も、もう何度も読み返してページをめくって一コマ一コマを丁寧に見てしまいました。
    各話の最後のページの裏にちょっとした挿絵が入っているのがかわいい。わたしは「月の葬式」のよみちが小さな男の子に月のぬいぐるみ?を差し出してる絵が好きです。
    3話収められていますので、1話ずつ感想を。

    「25時のバカンス」
    表題作です。全編と後編があり、3話の中でいちばん長いお話です。
    宝石の国のふわふわわんこがとっても好きなので、ヒメに寄生した3匹(?)のイソギンチャクちゃんたちもとってもかわいくて好きになりました。
    弟くんの目を見た時ドキッとしました。
    海で写真を撮ってもらっているシーンのカチッという音、最初読んだときは乙女が煙草の火をつけたのだと思ったのですが、もう一度読んだときにドライバーで顔を外しているのだと気づきました。
    登場人物がみんな魅力的で(それは他のお話もいっしょですが)、姉弟がいちばん気に入っていますが、次点で八木くんも高得点です。
    弟の目をつくって、最高得点を射止めたまま粉々にされるところまでが乙女の考えだったのかな、と最後の夕陽に照らされるシーンを見て思いました。
    あっ今読み返したらヒメに寄生したのはイソギンチャクではなくどうやら貝のようです。

    「パンドラにて」
    教科書ぐらいでしか読んだことないのですが、星新一みたいなお話です。
    ナナが服を脱いで罰(×)をつけられるシーンにドキッとし、切り分けられたイチジクのミルフィーユのようなもの(もしかしたらトリュフかも)の層が気に入ってしまい、見開きのダンスのシーンがとてもきれいで見とれてしまいました。
    ロロもといクアドラが飛び降りたあと、ページをめくればナナと再会するか、哀しい顔で去っていくナナを見送っているのだと思ったのに、まさかあんなことになるとは。
    「新しい星で新しいダンスパーティーをしましょう」
    いつかどこかで使いたいセリフ。

    「月の葬式」
    3話の中で唯一男性が主人公のお話です。
    ボタンがカラーンと落ちた次のページ、服を捲り上げた体を見て何が何だかわからなくなってしばらく混乱しました。この漫画の中で一番ショックでした。
    すごくグロテスクで気持ち悪い。でも美しい。見たくないけど見たい。でもそのうち見られなくなりそう。
    リモコンを見つけてもう死んでしまったと思ったから、穴だらけになっても生きていてよかった。しかも治せる!ほっとしました。

  • ヴィレバンにて、この本に「この本だけは立ち読みはさせない!今の若い人は相応の対価を払ってこそ自分の血肉となることがわかってない。僕は、自分の感性を信じて買った本にハズレなんて無かったよ。一つも。」っていうPOPがつけられていました。
    このPOPが心にズシンと来て、もうPOPごと欲しかったんですけど、漫画を買わせていただきました。買って良かった!大切にしよう。
    本はちゃんと定価で買わなきゃな、と思う一冊。

    店員さん見てたらすいません。

  • 気持ち悪い4:美しい4:可愛い2
    市川春子はすげえや…才能の塊だ
    もっかい読みたい

  • 前作、虫と歌よりほんの少し触れられる世界が広がった印象。読後、人は『ひとでなし』にはなれるのに、人でないものは『ひと』にはなれないんだよなあと何とはなしに夢想してみたり。

  • 星新一好きな方にはおすすめ。いい意味で不親切な漫画。不親切だから自分がどうにかして読み解こうとする。だから心に残る。

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著者プロフィール

投稿作『虫と歌』でアフタヌーン2006年夏の四季大賞受賞後、『星の恋人』でデビュー。初の作品集『虫と歌 市川春子作品集』が第14回手塚治虫文化賞 新生賞受賞。2作目の『25時のバカンス 市川春子作品集 2』がマンガ大賞2012の5位に選ばれる。両作品ともに、市川氏本人が単行本の装丁を手がけている。

「2019年 『宝石の国(10)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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