- Amazon.co.jp ・マンガ (220ページ)
- / ISBN・EAN: 9784063144239
作品紹介・あらすじ
11世紀、北欧の地は、蛮族と恐れられた
ヴァイキングにより戦火にまみれていた。
その中に、父親を殺され、復讐のため戦場
を駆け抜けた少年・トルフィンがいた。
彼は仇敵・アシェラッドを殺すために生き、
生きるために戦った。だが、イングランド
王位をめぐる争いの中でアシェラッドは
不慮の死を遂げる。唯一の希望を失い、
奴隷に身をやつしたトルフィンはそれでも
なお安息と豊穣の地、ヴィンランドを思い描く。
心休まる日はいつ訪れるのか。
”本当の戦士”の物語が紡がれていく。
感想・レビュー・書評
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個人的漫画史上最も優れた歴史作品 誰もが知っている逸話や人物を題材とした歴史作品は多くあれど、なんとなく知っているテーマを元に架空の出来事を濃密に、現実と神話のエッセンスを加えて上手くノンフィクション風のフィクションに仕立てあげた素晴らしい作品だと思う。一つの主軸を一貫して貫くタイプの漫画ではなく、主人公が最底辺の殺人鬼から人々を救う国を建国するまでの話 主人公の堕落と絶望・落胆に大きく共感でき、成長を目にして感動すら覚える。物語の構成が上手いのは勿論のこと圧倒的画力で描かれる緻密な人物・戦闘描写が1ページ1コマが作品になりうるクオリティー 批判する要素が見当たらない万人に勧めたい一作
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久々に読み応えのある漫画だった。
あの「プラネテス」を書いた作者だからきっと面白いのだろう、と思いつつも表紙やタイトルを見て勝手に「ありがちなベルセルク的ファンタジー世界かな?」と思い込み、あの手のよくある世界観に辟易していたので敬遠していた。が、さにあらず。意外に真面目な史実に基づいた歴史物。
この漫画をあえて既存の漫画にたとえるならばベルセルクとヒストリエの中間くらいのイメージ。不幸で性格の歪んだ主人公、周りのモラルのない荒れた集団の蛮行、救いのない悲壮な世界観など随所に初期のベルセルクの影響をうかがわせるが、世界観は実際の史実を元にしたもので、ちょうど10世紀ごろのノルマン人・バイキング全盛期を背景にしたストーリー。バイキングが活躍する時代の歴史のダイナミックな流れと、この作者ならではのキャラクターの内面を掘り下げて描写するところのミックスが秀逸。現在は10巻まで刊行されているが、引き込まれるようにして一気に読み終えてしまった。
全体に流れるテーマは「逃げてきた先で、さらに逃げたい人はいったいどこに行けばいいのか」。その誰もが夢見る最終的な理想郷として、アイスランド人のバイキング、レイフ・エリクソンがコロンブスよりも前に発見していた「アメリカ大陸=ヴィンランド」が描かれている。(東洋でいう、ガンダーラか)
あの時代のノルマン人は、現在は強者として世界に君臨しているアングロ・サクソンやスラブ人を蹂躙しまくり。イングランドが完全に征服され、襲撃され、奴隷として売られる弱者として描かれているのが興味深い。
画もプラネテスの頃に比べ「同じ作者か?」と思えるくらい圧倒的にうまく、リアルな筆致になっている。 -
神。オルマル、シグやんなど有力者の子の成長が好き。本当の戦士とは。
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少年マガジンの連載開始から読んでいたものの、掲載誌が移って以降、読んでいなかった。
NHKのアニメ化に際して、読み返し始めている。
元ネタとなったアイスランドやグリーンランドのサガの邦訳も読んでみたい。 -
11世紀頃のヴァイキングの話。ヴァイキングのボスに父を殺され決闘を申し込んで仇を討とうとする少年が主人公。強い。1巻途中から回想編になる。
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美しい絵と、泥臭いストーリー。独特な死生観。戦士とは。
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歴史モノならこちらとヒストリエが私の中で二強。ただ史実を追ってる感覚よりも魅力的なキャラクターたちの一挙一動に感動する、どちらかというと時代考証を楽しむよりもヒューマンドラマ系だと思います。
後半だけを切り取ればきれいごとばかり口にする、その正しさに迷いのない主人公は人によっては不快を覚えるかもしれません。けれどそこに至るまでの過程を幼少時からしっかり描いてくれているので非常に現実味のある「やさしい人間」ができあがってると思う。アシェラッドと過ごした時間、そして農場編にあれだけの巻数を割いてくれたからこそ大人になったトルフィンの正論は痛いほど心に突き刺さります。
この先きっと(障害は何度もあるだろうけども)航海は成功してヴィンランドに渡ってみんな幸せになるんだろう…と割と先読みは簡単です。でも主人公に都合よく進むことがむしろ心地いい、というか進んで欲しい。正しいことを正しいとはっきり感じられる、そんなやさしさが人を導いていく王道ストーリーが私は好きです -
絵も漫画もむちゃくちゃ上手な作家さんだと思います。ヴァイキングの歴史ってなじみが薄いですけど分かりやすいと思います。