- Amazon.co.jp ・マンガ (162ページ)
- / ISBN・EAN: 9784063211047
感想・レビュー・書評
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うわぁ。登録していなかったなんて…!
(登録していなかった自分に衝撃を受ける)
全10巻。
東京から、大学進学と共に神戸へ引っ越したごく普通の女の子が大学を卒業するまでの4年間の暮らしを日記のように綴るお話。
序盤は、主人公が神戸の暮らしになじむのを一緒に辿るような神戸ガイドっぽい雰囲気。観光名所もちらほら出る。
それから、学生生活で仲良くなった友達との交流。
しかしそのうち、主人公は、神戸の「住人」になっていく。
普段は何気ない日常に隠されている阪神淡路大震災の傷跡が目に見えるようになったり、マイノリティの人たちとの交流もはじまって。
枠線も影も、すべてフリーハンド(スクリーントーン不使用)の技巧派。
絵の描きこみもさることながら、ストーリーもとても深く重い。
だけれど、とても良い漫画だと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
桂さんとは是非一度じっくり語り合ってみたい
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既刊は全部あり。
神戸の大学に通う女の子、辰木桂が主人公のエッセイ調漫画。
彼女と、彼女を取り巻く友人や知り合い、家族の様子が神戸を舞台に丁寧に描かれている。
漫画の中で使われる言葉が一つ一つ慎重に選ばれていて、時々ぞくっとするほど綺麗な文章に出会う。
独特の構成とトーンを使わない絵柄がゆったりとした空気に合っていて、一つ一つの事柄にふと懐かしさを感じる。
全体的にほのぼのとした日常的なお話が多いのだが
時々差し入れられる「震災」や「別れ」「死」のエピソードなどが
淡々と語られるだけにより強く残酷に心に響く。
インパクトは無いが、一度読むと手放せなくなる、何度も読み返したくなる。
そんな不思議な漫画である。 -
20年前の作品をとても久しぶりに読み返してみました
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「巨娘」と「からん」は持ってるけど、このシリーズは立ち読みした記憶はあるんだけどどんな内容だったかな
…と思っていましたが読んだら思い出した。そうそう、そうだった。 -
阪神大震災から20年が経つ。「20年かぁ」と思う。20年て、これくらいの距離感かぁと思う。同居人は自分が生まれる20年前のニュースを検索していた。
1月17日の晩には、神戸の地元局・サンテレビが制作した「神戸在住」のドラマ放映があった。ふだんはテレビをほとんど全く見ないが、事前に放映情報を入手していたし(劇場版の映画もあって、こちらのチラシも入手していた)、木村紺の原作マンガを同居人が読みこんでいることもあって、録画して、続けて2度見た。
http://www.sun-tv.co.jp/kobe-zaiju
原作マンガは震災後に神戸へ越してきた大学生を主人公に、周囲の関西人の震災話もところどころに出てくる話だが、ドラマは、震災後に生まれた「今の大学生」が主人公になっていた。
私も原作マンガの『神戸在住』は途中まで読んでいたが、私よりずっと読みこんでいる(今は電子書籍で全巻もっている)同居人が、ドラマの中に出てくるエピソードやそれぞれの人物像がマンガでどう描かれているかを合間に解説してくれる。
ドラマを見たら、原作マンガを読みなおしたくなって、数年前に同居人の持ちものを寄贈した図書室から1~8巻を借りてきた(電子書籍を10巻も読むのはしんどそうなので)。寄贈した時点で8巻までしか揃っていなかったが図書室の蔵書は増えるわけもなく、またこんど寄贈してもいいしと9巻と10巻を注文して買った(このたび復刊されたそうだ)。
3日かけて、1巻から順にじーっと読む。ああ、ドラマにはこのエピソードが使われていたんやなーなどと思いながら。8巻までは同居人がもっていたので読んだ記憶があったが、9巻と10巻はやはり読んでいなかった。
主人公の辰木桂[たつきかつら]は、父の仕事の都合で、家族で東京から神戸へ越してきた、おとなしい大学生。一家が住むのは、震災から半年後にできたマンション。桂は、神戸の山手にある大学の美術科に通う。親しくなった周囲の学生から震災の経験を聞く、というかたちで、マンガにはたびたび震災のことや、その爪痕が描かれる。
阪神大震災のとき、大阪ではもっとも被害が大きかった豊中(服部在住)で、震災のときに家がつぶれてがれきの中から引っ張りだされたという鈴木さんが同じ美術科の学生として登場。神戸の避難所の話も、そこでボランティアに関わった学生の語りとして描かれ、20年経つとはいえ、3.11を挟んだこともあり、読んでいて、うっとくるものがある。
桂が本好きで、話のあちこちに本ネタが出てくる。同じ大学で授業が週に一度同じという伏っちゃんと本の貸し借りをする場面もあり、高校や大学の頃に私もしょっちゅう本の貸し借りをしていたので、なつかしさをおぼえた。ある研究室が溜まり場のようになっていて、そこでみんながしょっちゅうコーヒーを飲んでいるので、マンガを読んでるとむしょうにコーヒーが飲みたくなった。私が大学のときに溜まっていた研究室も、先生がコーヒーいれるのが好きで、よくコーヒーを飲みながら本の話をした。
今回読みなおして、日和[ひなた]さんが透析をしていることや、ろう(難聴?)の早坂さんのこと、日和さんの友人のリチャードさんがALSを患っていたり、喫茶店のマスターがゲイだったり… 読みなおすまでこうしたことは忘れていた。こんなに本の話があったんやなーとも思った。
そして、神戸、姫路、大阪と絶妙に書き分けられる関西弁や、ボケツッコミの描き具合。関西のマンガやな~と思った。
描かれるのは、桂が大学に入ってから卒業するまでの4年間。高校時代や子ども時代の話が差し挟まれたりもするが、それも大学生の桂が回想するかたちだ。その4年間をぐっと感じたのは、桂一家のお隣に住む木下さんちのいつこちゃんの成長。お腹のなかにいた子が最終巻では3歳になる。
震災から20年、あのころ生まれた子たちが成人するというだけの時間を、マンガを読みながらじーっと感じた。
(1/19-22了) -
淡々と進む、丁寧で細やかな美大生の日常の風景。
今年で阪神大震災から20年。
いまもなお大人は「震災の前、後」で出来事を語っている。 -
神戸行きに備え、12/19より再読開始、12/26に9巻まで再読。いってみたく思ったのは、JR神戸〜元町〜三宮←高架下:元町〜神戸駅間が「モトコータウン」…いってみたい!/湊川、散策:平清盛福原遷都にて半年間のみ都。古き良き神戸の面影。/有馬温泉、散策/MOSAIC:神戸ハーバーランド最南端のアミューズメントスペース/トアロード:神戸モダニズムの発信地/あとは、厳選と、いまもあるのかどうか。/2巻の、「キネマ」でサウンドオブサイレンスを静かに聴き入るシーンが印象に残る。
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何気ない身近なスポットのカットに、この街で暮らしたことのあるリアリティを感じ、当たり前の中にある街の魅力を再発見する。
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わが青春の神戸。ここ東京からは500キロ以上離れているけど、ページをめくるたびに大好きなあの街が蘇ってくる。99年というかなり昔に描かれた漫画だけど、95年の阪神大震災がやっぱり一つのテーマになっていて、主人公と同じように、その記憶を共有していないが故にどんなに神戸が好きで神戸に染まっても神戸の人にはなりきれないのだというやり場のない感覚を思い出した。神戸の人にとって1995年1月17日は特別であり、皆口を揃えて言う。「震災の前、震災の後」と。