おせん(1) (イブニングKC)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 429
レビュー : 49
  • Amazon.co.jp ・マンガ (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784063287097

感想・レビュー・書評

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  • 料理漫画は、いまやひとつのジャンルを形成するほど盛んに描かれているけれど、美意識という点において『おせん』の右に出る作品はないように思う。かの『美味しんぼ』でさえ、料理漫画の嚆矢という漫画史上の業績は揺るがないにせよ、日本文化を背負って立つ気概が生まれたのは連載途中からではなかったかと記憶している。料理を通して「和の美」を描くという自負のもとで描かれた漫画は、『おせん』が最初ではないだろうか。

    語り手の江崎ヨシオは、ごく普通に大学を卒業した普通の若者だ。そんな彼が就職した「一升庵」は、江戸時代から続く老舗料亭で、その面々は一癖二癖ある人ばかり。なかでもオーナーの「おせん」こと半田仙は全く普通じゃない女性だった。和服美人にして酒豪の彼女は、和食、書画骨董など「和の美」を現代に体現する名物女将だったのだ。その薫陶を受けて、江崎の生活も少しずつ変化してゆく。

    おせんのきっぷの良さや江崎の成長ぶりが痛快な人情噺だが(タイトルからして池波正太郎へのオマージュが感じられる)、ピシッと背筋の伸びるような料理の薀蓄には台所の常識を覆されるものがある。今ではおなじみの調味料「塩糀」も、秋田に伝わる伝統食としてこの漫画で紹介されたあと、数年後に急にブームになったのだ。作者の方針として、作品で取り上げる料理は原則自分で作ってみることにしているらしく、それが説得力の源泉となっている。

    加えて『おせん』は絵も美しい。個性が強いので好みは分かれそうだが、時に浮世絵風、時に水墨画風に描かれる絵は、「和の美」というテーマをひと目で納得させるものだ。何気なく出てくる小物が実在のアンティーク雑貨だったり、インテリアが白洲正子なみのセンスだったり、紙面の細部に至るまで、こだわりが半端ではない。

    つまり、この漫画にはスタイルがある。それは北大路魯山人や柳宗悦ら、日本の美の巨人たちの思想を骨格として、そこに作者の故郷である東北の文化を盛り込んで生まれたものと思われる。その強烈なこだわりに圧迫感を感じる人もいるかもしれないが、日本文化に対する本物のリスペクトが、この作品には確かにある。「コンテンツ産業としてのクールジャパン」みたいな財界主導の日本礼賛とは、明らかに一線を画すものだ。

    諸事情により1〜16巻までは絶版となっているようだが(リニューアル版の1〜11巻=実質上の17〜27巻は売っている)、最初から最後まで読みごたえのある漫画なので、全巻復刊が待たれるところである。

    • 夜型さん
      こんにちは。今度はこちらからお邪魔いたします。
      わーお。本格派の漫画ですね。料理下手な私でも読んでみたくなりました。でも絶版。残念です。
      ...
      こんにちは。今度はこちらからお邪魔いたします。
      わーお。本格派の漫画ですね。料理下手な私でも読んでみたくなりました。でも絶版。残念です。
      実は、マスターキートンと、草子のブックガイドという漫画が読みたかったのですが、それに匹敵するしっかりした漫画があるのだなと貴殿のレビューで知ることができました。いつか、古本屋さん…神保町行けばあるかな…で見つけてみます。
      いつもいいね!ありがとうございますヾ(๑╹◡╹)ノ"
      ではでは。失礼いたしました。
      2018/06/17
    • 佐藤史緒さん
      こんにちは、夜型読書人さん!(アイコンのネコ、カワイイですね♪)
      いつもレビュー楽しく読ませてもらってます。

      この「おせん」は絶版で...
      こんにちは、夜型読書人さん!(アイコンのネコ、カワイイですね♪)
      いつもレビュー楽しく読ませてもらってます。

      この「おせん」は絶版ですが、続編の「おせん 真っ当を受け継ぐ」は大型の新書書店ならまだ売ってますので、機会があればお試しください。続編もクォリティは変わりませんのでご安心下さい。
      マスターキートンは面白いですよね、私も大好きです(愛蔵版持ってます)。草子のブックガイドは知りませんでしたが、書評を見ると面白そうですね!今度読んで見ようと思います٩( 'ω' )و 良い情報をありがとうございます。

      こちらこそいつもいいね!をありがとうございます。
      ご訪問ありがとうございました^_^
      2018/06/17
  • 手間を惜しまず日本の伝統食を最高の状態で提供する料亭の女将を下品に書く漫画一旦完結

    残していくことは必要だし、実際に美味しそうなんだけど、現実にこれをやると、やはり高いんだよね。
    文化を間違いなく守ろうと思うと、ある程度社会的な仕組みが必要かなあ、と思う。

    現実的に人は余ってるんだから、手間をかけることはやればできると思うのだけど、それにちゃんと付加価値を認めて、お客がつくようにしないとねえ。
    横断的な認証制度と、海外から含めた観光誘導の様なものが一番効果的かなあ。

  • 先日知り合った和菓子職人さんのオススメコミック!料理好きは是非!

  • 「本棚食堂」と言うドラマに出てきたので、早速入手して読んでみた。
    これは、面白い!!食に対する知識がハンパない。

    1巻読了ですが、続きを読んで行きます。

  • 飲んだくれで天然だけど、女将としてやるときゃやる!
    いろいろ勉強になります。

  • ~15巻
    ぱっと見、江戸時代の話かと思ったが、現代でした。
    キャラの絵が苦手だけれども、内容は面白い。

  • 独特美!

  • 日本の食、陶器、心得、哀愁が盛り込まれている。
    料亭の大看板・おせん が可愛いらしく時にかっこよく粋で魅力的。

  • 秋田などを舞台とした作品です。

  • 雰囲気やノリは好きな方なんだけど、ところどころ押し付けがましさもあり。誰かが言ってた「粋が無粋に粋を説く無粋な作品」って評価が一番適切なように思う。

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