黄色い本 (KCデラックス)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 1892
レビュー : 226
  • Amazon.co.jp ・マンガ (154ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784063344882

感想・レビュー・書評

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  • 「自分は実っ子だ...。」
    そう思う読書好きは多いと思う。
    偶然出逢った本にのめり込み、車中でも、お布団のなかでも、読んでないときでも、登場人物たちと共に生き、会話をし、そのなかのひとりに恋をし、物語の終わりには別れがくる。
    そういう本は限られていて、実っ子と『チボー家の人々』のような幸福な関係にはなかなかならない。
    本の世界が日常生活を侵食してくるような関係には。

    実っ子は学校の卒業を控えていて、冬が過ぎれば図書館の本を返し、就職しなければならない。
    そう、社会ってやつに組み込まれるのだ。
    たいして『チボー家のひとびと』は革命や恋、非業の死に彩られた世界。
    どんなに望んでも願ってもその‘世界’には行けない。

    うまいなあ、と思ったのは実っ子を夢見る少女ではなくリアリストとして描いたこと。ちゃんとそういうことは‘覚悟’しているのだ。

    でも‘現実’で気になった男の子へのほのかな思いを‘本の世界観で’書き消していたのには笑ったなあ。

    「ジャック!彼に騙されてはいけません!彼は同士ではありません!」

    そんな本に出逢えた娘に気づき、

    「好きな本を一生もってるのもいいもんだど」

    と注文してくれる父親に胸一杯になる。

    『マヨネーズ』と『二の二の六』のふたつの高野さん的恋愛漫画も好きです(^-^)/

  • 学生時代からこれまで何度読み返したことか。
    現実との境界が曖昧になるほど、本の世界に入り込んでいくあの感じ。そんな読書体験、最近はいつしたかなぁ。
    主人公の少女と周りの者とのやりとりにも、ノスタルジーや愛を感じる。私は特にトーチャンとの何気ない会話のやりとりに心打たれた。
    「いつでも来てくれたまえ メーゾン・ラフィットへ」
    この言葉と最後のページに、いつも胸が熱くなる。

  • 貸してくれた先輩に感想をなんて伝えようかとても迷う。

    読書の終わりはお別れなんだ。
    最後のページを何度も開き、この世界に入り込みたい、この人達のここからの時間を共有したい、と思った時の気持ちを鮮明に思い出す。

    「好きな本を一生持ってるのもいいもんだと俺は思うがな」
    というお父さんの言葉に頷きながらも、実ッコちゃんは買わないんじゃないかなと想像する。
    そしてなんとなくその気持ちも分かるような気がする。

  • 30年ほど前、高野文子の「絶対安全剃刀」を読んだときはびっくりした。構図といい、その平坦なストーリーといい、これって漫画という枠じゃないよな、と衝撃的だった。当時は「ニューウェーブ漫画」と呼ばれていたっけ。
    その後の作品には、あまり驚きはなく、追いかけていなかったが、先日、ある本棚で新作を見つけた。

    いいねえ、やっぱり…、いや傑作かも、表題作は。

    現実逃避としての読書体験をみごとに描きつつ、それだけに終わらない。「本を読むクワク!」とは違う感じ…というかそれだけじゃない。
    「日常」を描いた漫画(映画、小説)は多いが、日常を描くだけに終わってしまっているものが多い。日常の奥にある不穏な空気や悲しみや時代感などを感じさせないと、深みのない表面的な雰囲気だけの作品にしかならない。
    高野文子の漫画からは、日常の奥にある「何か」を感じさせる。

    ラストで「チボー家の人々」を読んだ主人公は、図書室に本を返却する。父親の「好きな本を一生持っているのはいいものだ」というアドバイスには従わず、本を買うことはないだろう。

    面白い!と勧められたけどあまりの長さに読むのを諦めた「チボー家の人々」、やっぱり読むべきかなー。

    • GMNTさん
      僕も、これ読んで『チボー家の人々』を読んでみたくなりました。
      読んだらもっと面白くなるかな?と思って。
      でも白水Uブックス全13巻てのに引い...
      僕も、これ読んで『チボー家の人々』を読んでみたくなりました。
      読んだらもっと面白くなるかな?と思って。
      でも白水Uブックス全13巻てのに引いてしまいました。
      こればっかりは図書館で借りた方がよさそうですね・・・。
      2013/09/26
    • chabu-daiさん
      13巻はめげますよね。
      ジャックの部分だけ抜粋した
      http://booklog.jp/item/1/4560047766
      もあるようなので...
      13巻はめげますよね。
      ジャックの部分だけ抜粋した
      http://booklog.jp/item/1/4560047766
      もあるようなので、これから読もうかな、と。

      「黄色い本」、全く知らなかったんですが、2003年の手塚治虫賞作品で、すでに「傑作」認定されている作品なんですね。
      2013/09/27
    • GMNTさん
      あっ、そういうの出てるんですね!
      これだったら読みやすそう!

      『黄色い本』は「ほめられたらいかれ よろこんだらはじろ」のセリフだけ
      他のこ...
      あっ、そういうの出てるんですね!
      これだったら読みやすそう!

      『黄色い本』は「ほめられたらいかれ よろこんだらはじろ」のセリフだけ
      他のことで知って、それで元ネタを探したらたどり着きました。
      ニューウェーブだと高野さんのことだけを全然知らなかったんです。

      ブクログ始めてから、高野さんがめちゃくちゃ知名度が高かったのでびっくりしましたよ。
      (特に若い人にも。)
      『黄色い本』は特に、「読書についての漫画」だからなんですかね・・・。
      『おおかみこどもの雨と雪』の劇中の本棚にも入ってるそうです。
      2013/09/27
  • 表題作は★★★★★
    もちろん他も素晴らしい。
    高野文子は一生読める漫画。
    読み捨てではなく家に永久保存したい本。

  • 絵柄が受け付けないけれど、すごい技巧だと思う。

    すごく好きで、その本の世界に入り込んでしまって登場人物と会話しちゃう感覚、昔はあったなー。

    マヨネーズという話もなんだか味わい深かった。

  • 久しぶりの再読。表題作が何だかすごく胸にしみて、涙が出そうだった。以前読んだときは、とてもいいなあとは思ったが、こんな気持ちにはならなかったのだけど。これもトシのせいだろうか。

    先日読んだ萩尾望都先生の本に、漫画のコマ割について詳しく述べられていたのが頭に残っていたためか、高野文子さんのコマ割がいかにユニークか、あらためて痛感した。なにしろ、滑らかに読めない。一コマ一コマで立ち止まらざるを得ないように描かれているように思える。何と言うか、話の流れのためにコマがあるのではなくて、それぞれに奥行きがある感じ。読み進めていくうちに、主人公の実っこちゃんをはじめとして、出てくる人たちのリアルな生活感が伝わってくる。

    実っこちゃんが、高校に通いながら、家で家族と生活しながら、学校の図書館で借りた「チボー家の人々」を読んでいく。実っこちゃんは、現実と、本の中と、二つの世界を生きている。自分もかつてはそうだったような気がして、懐かしいような切ないような、なんとも言えない気持ちになった。お母さんに怒られながら布団のなかで読んでいる彼女は私みたいだ。

    本の中でジャックは死んでしまい、実っこちゃんはメリヤス工場に就職する。お父さんがすすめてくれたとおり、実っこちゃんは「チボー家の人々」を買っただろうか。またメーゾン・ラフィットを訪れただろうか。

  • 様々な人間関係の中で生じる空気感や会話の中での間が上手に表現されていて独特の世界観がある。
    少し難しい表現もあったが、面白かったのでまた読み返したい。

  • 方言の心地よさ。
    時間を気にせず、夜中まで読みふける幸せ。
    本の中の親友たち。

  • もう一度。何度でも何度でも読み返す。「好きな本を一生持ってるのもいいもんだと俺は思うがな」実ッコが戦ってるものは何なんだろうな、そんなことを何度も考える。ワタシもこんな風に本を読もう、と思う。

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著者プロフィール

高野文子 1957年生まれ。漫画家。 看護師学校在学中に、同人誌へ漫画の発表を始める。 1982年に漫画家協会優秀賞、 2003年に手塚治虫文化賞を受賞。おもな作品に、作品集『絶対安全剃刀』(白泉社)、『るきさん』(筑摩書房) 、『棒がいっぽん』(マガジンハウス) 、『黄色い本 ジャック・チボーという名の友人』(講談社) 、『ドミトリーともきんす』(中央公論新社)、絵本『しきぶとんさん かけぶとんさん まくらさん』(福音館書店)などがある。

「2019年 『ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

高野文子の作品

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