透明なゆりかご(1) (KC KISS)

著者 :
  • 講談社
4.24
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本棚登録 : 501
レビュー : 51
  • Amazon.co.jp ・マンガ (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784063409574

作品紹介・あらすじ

看護学科の高校3年生の×華は母親のすすめで産婦人科院の見習い看護師として働くことになる。中絶の現場やその後処置を体験して一時は辞めそうになるが、出産の現場に立ち会い生まれる命の力強さに感動し、仕事を続けていく決意をする。「多くの人に教えたい、読んでほしい」回を追うごとに読者からの反響が大きくなっていった感動作、いよいよコミックスで登場!

看護学科の高校3年生の×華は母親のすすめで産婦人科院の見習い看護師として働くことになる。中絶の現場やその後処置を体験して一時は辞めそうになるが、出産の現場に立ち会い生まれる命の力強さに感動し、仕事を続けていく決意をする。「多くの人に教えたい、読んでほしい」回を追うごとに読者からの反響が大きくなっていった感動作、いよいよコミックスで登場!

感想・レビュー・書評

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  • 「子供は愛されるために生まれてくる」という言葉が嫌いだった。
    お腹の中で殺された赤ん坊や愛されなくても生きていかねばならない子の存在を否定しているから。

    「子供は望まれて生まれてくる」という言葉が嫌いだった。
    望まれず摘まれる赤ん坊や望まれず産み落とされた子の命を貶めているようで。

    理不尽はある。傲慢がある。
    善意から出た祝福の言葉に恵まれた者・持てる者の無自覚の優越を勘繰ってしまうのは、きっと私の性格が悪いからだ。
    ずっとそう思っていた。今でもそう思っている。
    でも×華がカナちゃんにかけた「生まれてきただけでカナちゃんは幸せになれる権利があるから」という言葉はスッとしみた。それは彼女が産婦人科で働く中で、幸せなだけじゃない、哀しい出来事や辛い出来事を沢山経験したから。
    中絶された胎児に一人一人声をかけながら小瓶に詰め、「光を見ずに終わるのは可哀想だから」と窓から景色を見せてあげるシーンで、涙がボロボロ流れて止まらなかった。
    絵が下手?それがどうした。下手だからいい絵じゃないと誰が言える?この作品にはこれしかない絵だ。何故って一人として同じ顔の赤ん坊がいない、同じ顔のお母さんがいない、愛くるしい赤ん坊がいない。
    読後感は重たい。ごっそり持ってかれる。後々までひきずって、お風呂に入ってる時や夜寝る前に思い返しては「はあ~……」とため息ばかりついてしまう。
    めでたしめでたしで終わる話もあれば、哀しい結末を迎える話もある。
    けれども×華は言う、虐待も疑われる授乳中の事故で死んだ赤ん坊、健太君は愛情につつまれて死んでいったと。

    信じる者は救われる。
    人には信じたいものを信じる権利がある。
    だからフィクションは支えになるし生きる芯にも成りえる。私もそうであればいいのにと願う、真相は永遠にわからなくてもそう信じていたいと思う。
    自分が信じたい事を、読者にそうあってほしいと願わせるのが良い語り部の条件なら、×華は十分にその素質がある。

    産婦人科の話だ。それも裏側の。

    めでたいだけじゃない。
    中絶が語られる。
    流産が描かれる。
    虐待が審議される。
    壮絶な体験がありふれた出来事のように淡々と語られて、自分勝手な人たちがしっちゃかめっちゃか話をひっかきまわす。

    目を背けたい。逸らせない。この人達がどうなるのか、幸せになれるのか知りたくて、どうか幸せになってと狂おしく願いながらページをめくってしまう。

    子供は愛されるために生まれてくるのか、私にはわからない。
    子供は愛してほしくて生まれてくる、その言葉には共感する。

  • ネットの無料試読で気に入って購入。妊娠・出産は本当に奇跡の連続。命の大切さや、それに向き合う親の切ない想いに心打たれた。

  • 「大事なことだから覚えるように 本当の第1位は
    アウス(人工妊娠中絶)だから」と言い放つDr.瀬戸がメチャクチャかっこよかった、NHKドラマ版。

    「胎児はエタノールにはいると
    鮮やかな朱色になって光り輝く」
    「もう死んでるのに キレイだーー」

    業者がきて火葬するなんて知らんかったなぁ〜。


    大好きな安藤玉恵さん出演の回、
    「私は健太くんは愛情につつまれて
    死んでいったんだと思いたかったーー」など
    各話毎の主人公の希望的回想シーンが
    ピュアで切実で尊くて泣ける。

  • 1997年当時の産婦人科事情ではあるけど、陽の部分ばかりじゃなくて、産婦人科における陰の部分にスポットを当ててるなーと思った。
    命の生まれる場所であると同時に、命が消される場所でもある。
    さまざまな事情があるにしろ、なんだか切なくて。
    『透明な子』『保育器の子』は読んでいてきつかった。

  • レンタル

  • 2018年12月28日読了。

  •  3巻まで読み終わった。
     作者が高校生の頃に、バイトで入った産婦人科で見聞きしたものをマンガでつづったもの。
     絵は上手ではないのだけれど、却って、そのせいで、不覚にも胸に迫る事柄が多かった。
     アマゾンでも軒並み高評価なのが肯ける。

    どうしても産婦人科の医療マンガというと、医師の側か、患者の側かの描写になってしまうんだけど、看護助手というポジションからなのが絶妙である。
     作者自身もいじめられっこで(彼女自身に発達障害があり、そのせいでなじめなかったものと考えられる)、次々と中絶されていく胎児たちを処理する係でもある。
     淡々と処理していくように見えて、自然に歌を歌ってあげたりするところが、思いやりをもっている接しつつも、シビアな現実を見つめているのがよくわかる。

     個人的な信条になるが、現実を見つめることと、そのうえで自分にできる努力をすることは、一種の至上命題だと思っているので、彼女の態度はやはり「プロ」なんだなぁ、と感じ入った。

  • <図書館の所在、貸出状況はこちらから確認できます>
    https://libipu.iwate-pu.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=334357

  • 産婦人科でバイトすることになった高校三年生の仕事は、それまでイメージしていた
    うわぁ、赤ちゃん生まれました~、おめでとうございまーす(^^)

    という幸福な図を見ることではなく、毎日中絶された子をびんにいれて業者に渡すことでした……。

    全編ヘビーな、でも実によくある現実の話が続きます。
    決してうまくない絵なのですが、これ、うまい絵で描かれたら逆にいたたまれないかも……。
    それも含め、いろんな方向からのバランスが絶妙で、頭のいい人なんだな、と思います。
    だれでも読めるのに内容は深く果てしない……。

    学校に入れられるかどうかはまた別として司書は読んでおいたほうがいいよ。


    2018/10/015 更新

  • ドラマより断然いい

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著者プロフィール

沖田 ×華(おきた ばっか)
1979年、富山県生まれの漫画家、女性。富山県立新川女子高校卒業後、。ペンネームは「起きたばっかり」に由来。
小学校の時に学習障害、注意欠陥多動性障害、そして中学生の頃にアスペルガー症候群と診断される。そのためか同級生からいじめ、教師からの体罰が続く学生時代を送った(自身の障害については、成人後SNSを通じて認めることができた)。高校卒業後に看護師の資格を取り職についたが、自殺未遂を起こす。看護師を辞め、ソープランド以外の様々な風俗店で働いた。
風俗店の待機室にあった実話誌をきっかけに漫画家・桜井トシフミに心酔、ファンレターを送って交流が始まり、絵が個性的だと褒められたことをきっかけに『漫画アクション』新人賞に応募、選外奨励賞を獲得。26歳で漫画家デビュー。
2018年、『透明なゆりかご』で第42回講談社漫画賞少女部門を受賞。同年、テレビドラマ化した。その他代表作に、『毎日やらかしてます。アスペルガーで、漫画家で』『ニトロちゃん みんなと違う、発達障害の私』など。

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