花影-千葉佐那の愛- (KCピース)

  • 講談社 (2010年7月1日発売)
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  • 本 ・本
  • / ISBN・EAN: 9784063648294

感想・レビュー・書評

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  • ずいぶん古い作品だけど、龍馬伝絡みで復刊。お龍さんとおさなさん、龍馬死後の光と影までを描く。

  • 坂本龍馬の存在を知った漫画☆ロマンティック

  • 坂本龍馬の恋人、千葉道場のお佐那さんの話。
    大河で彼女役を演じた貫地谷しほりの写真とインタビューが、巻頭に掲載されていたため、『龍馬伝』を意識しての再発刊となったものでしょう。

    史実をもとにしつつ、少女漫画風に、かなり脚色してロマンチックに作られたような気配がそこかしこに見られます。
    龍馬が彼女と剣の立ち合い中、突然キスを仕掛けてくるシーンなど。
    龍馬らしいとは思いますが、剣の道を究めるものは、神聖なる道場でそんな不埒な真似は絶対にしないもの。
    ましてや手合せ中になんてありえません。
    でも、それで佐那はぐっと彼に心がよろめいてしまうんですね。
    だって少女漫画ですから。

    その後も、恋する乙女の目線から話が綴られていきます。
    彼女に自分の着物の片袖を残していった龍馬。はっきり結婚を口にしないのに、片袖をもらったことですっかり婚約者の気分になる佐那。
    龍馬はそんな思わせぶりなことをするなんて、勝手な男だと思いつつも、女の勘違いもはなはだしく、言葉足らずの誤解が互いを傷つけていくことになります。

    そんな彼の結婚を聞き、信じられない彼女は父親の制止も聞かずにこっそり一人京都へと向かうことに。
    これもあり得ない話です。千葉道場の父親は絶対的存在だったはずですし、大勢の弟子たちにも示しがつきません。

    まっすぐに龍馬に向かう、恋に盲目な彼女の姿は、フィクションとして読むにはロマンチックですが、実際もそうであったら、相当傷ついただろうと思います。
    彼女がまっすぐだからこそ、結婚相手に選ばなかったという龍馬。
    常に命を狙われている自分の未練としないために、彼女ではなくお竜を選んだと説明します。
    愛情を受け、注ぐという手間がかかるため、離れると心配な彼女と、全く心配しないですむお竜との対比が語られ、なんとなく(その理由ならばわかる)と思いました。

    そして、龍馬を抜きにして、佐那とお竜という女性二人の息詰まる邂逅シーンも登場します。
    これも、まず実際にはなかった話でしょう。ストーリーを盛りすぎですね。
    そこで、お互いにお互いを嫉妬していたと知る二人。
    タイプが違いすぎるので、無いものねだりでもあります。

    なんだなんだで、完全に振られてしまうまでは、彼の愛を信じて龍馬を追って行く佐那は、それなりに幸せだったはず。
    一番気の毒なのは、佐那を慕う橘医師です。
    京へ向かった彼女の後をこっそり追い、護衛に努めます。
    そして、佐那同様に、自分も独身を貫くのです。
    彼女の失恋に、彼まで殉じた形になっているのが、報われなくて、なんだかモヤモヤします。

    龍馬が佐那を選ばなかった理由が、きれいにまとめられていましたが、龍馬は時代のめまぐるしい変化とともに、常に考えをどんどん切り替えて生きていくしかなかった人間。
    そういった彼なら、やはり旧態依然とした伝統的道場を背負って立つ佐那との安定した生活は選ばなかったのかもしれません。
    千葉道場を出て、社会で龍馬が活躍すればするほど、二人の住む世界は別のものになっていったのでしょう。

    それにしても、龍馬はつくづく女性を幸せにできない男だったんですね。
    その辺りは新しい日本への道を切り開くようにはいかなかったのでしょう。

    読後感は爽やかなものではありませんが、史実だと、龍馬に妻に選ばれずに泣き寝入りして一生独身を貫いた、というイメージがあっただけに、この作品で、がむしゃらに当たって砕けた行動的な彼女の姿が見られたことに、少しスッキリしました。

  • 里中先生、別作品へ寄り道するなら「天上の虹」の方を進めて欲しいと思ってたら、どうも1975年頃の作品の再販のようですね。今年の龍馬ブームに乗ってというところなのでしょうか。

    大河ドラマの「龍馬伝」の方は、途中までしか見てないんですけど、千葉佐那ってこんなずっと引きずる女々しい感じの人だったっけ?って感じでした。

    愛の形は確かにいろいろあるとは思いますが、こんながっちがちに固くて融通のきかない人だと、幕末の殺伐とした時代で、いつ死ぬとも分からない生活を送っている龍馬でなくても息が詰まりそう。
    (現代なら、携帯で逐一報告させる人のような感じかな)

    千葉佐那・・・。
    これだけだと、あんまり好きにはなれない女性でした。

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著者プロフィール

マンガ家。第1回東アジアMANGAサミット事務局長。1948年大阪府生まれ。16歳のとき「ピアの肖像」で第1回講談社新人漫画賞受賞をし、プロのマンガ家生活に入る。その後数々のヒット作を生み出し現在に至る。主な作品に「アリエスの乙女たち」「あすなろ坂」「鶴亀ワルツ」他多数。「あした輝く」「姫が行く!」で1974年講談社出版文化賞受賞。「狩人の星座」で1982年講談社漫画賞を受賞。マンガジャパン事務局長。(社)日本漫画家協会常務理事。大阪芸術大学芸術学部文芸科教授。文化庁文化審議会著作権分科会委員などを歴任。

「2005年 『アジアMANGAサミット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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