Q.E.D.証明終了(36) (講談社コミックス月刊マガジン)

著者 : 加藤元浩
  • 講談社 (2010年6月17日発売)
4.00
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  • レビュー :15
  • Amazon.co.jp ・マンガ (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784063712452

Q.E.D.証明終了(36) (講談社コミックス月刊マガジン)の感想・レビュー・書評

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  • 昔、QEDサイトに掲載していた感想文を折角なのでそのまま載せてみました。自分でも引くほど長い感想文なのですが、宜しければ読んでやって下さい。

    まずは、「黒金邸殺人事件」について。

    単純に考えると、この事件って、犯人が欲に目が眩んで起こしてしまったように見えるけど、そもそも、この犯人って本当に教授のポストや名誉とかが欲しかったんだろうか?

    確かに、ノーベル賞級のアイデアってのはそりゃあ素晴らしいもので(説明全然判らなかったけど)烏丸氏のそれを横取りすれば、すっごい名誉が転がり込んできた上に、教授のポストにもありつけたのかもしれない(横取りしただけで、そんなトントン拍子にいくかは疑問だけど)

    だけど、彼の人生の中でそういったチャンスが巡って来たことは本当になかったのだろうか?

    (てか、ぶっちゃけた話、教授のポストってそんなに旨みがあるんすかね?
    ←昔、ご近所さんに准教授から教授に引き抜かれた人がいて、お祝いに行ったことがあったんですけど、給料は下がるし、研究員の雑費も全部自分持ちになるから全然嬉しくないって奥さんが零してたんですよねー。まあ、公立と私立の違いもあるし、業界全く詳しくないから憶測だけど、仮に准教授から教授になった所で犯人の苦労はあんま変わらなかったんじゃね?とか)

    実際、喫茶店で主人公達に愚痴ってたことからして、やろうと思えば彼は、その長い人生の中で、いくらだって小ずるい生き方が、名誉のある生活が出来たんだろうと思う。

    それでもそれをしなかった時点で、この人は基本的に人がいいんだろうし、でなきゃ、烏丸氏みたいな癖のありすぎる人物から信用される訳がない。

    そう、主人公の指摘で判るように、烏丸氏はある意味で肉親より犯人のことを信用していた。だけど、犯人はそこまで彼に信用されているとは思ってなかった。その事実を知らなかった。

    ここが妙に気になった。

    …というのも、もしも、犯人がこのことを知っていたら、烏丸氏が一言でも彼にそれを伝えていたら、こんな事件そもそも起きてなかったんじゃないか?と思うからで。

    さっきも書いたけど、犯人は基本的には良心的な人物だ。
    だから、クサかろうがなんだろうが、烏丸氏みたいな変人タイプが「感謝してるんだ」とかなんとか、ちょーっとそれっぽいこと言うだけで(悪人がたまにやる善行にすごい効果があるように)犯人は簡単に絆されて(感涙しながら)改心してくれたような気がしないでもない。

    (っていうか、今回のって要はちょっと疲れて血迷っちゃいました系の事件なんだから、烏丸氏が温泉にでも連れて行って、美味いメシでも食いながら、美人女将と仲居さんで接待しまくったら、起きなかったんじゃね?とか…いやあ、だって相当お疲れモード入ってたもんよ、あの人)

    とはいえ、烏丸氏ばかりを責めるわけにもいかない。そもそも殺人なんていう最悪の選択をしたのは犯人なんだし。ま、疲れてたんなら、ヘルプコールすればよかったんじゃね?とか私は思ってしまう訳だけど。

    (実際のところ「助けてくれ」って言えば、烏丸氏は動いてくれたと思う。肉親より犯人のこと信頼してたくらいだし、自分の研究だってかかってたんだし。だから、普段の変人っぷりかなぐり捨てて、嫌いな相手に頭下げるくらいには恩師である犯人のためにイイトコみせようとしてくれたんじゃないかなぁ。なんか見栄っ張りっぽいし←まあ、どっちにせよ、あの状況じゃ烏丸氏の研究は上の食い物にされたと思いますけどね)

    てか、そもそも、魑魅魍魎跋扈してそうなああいう業界で、若者のために孤軍奮闘ってのが無茶だよなあ。(もうちょっと年を考えましょうよ!先生!!もう若くないんですから!!←超失礼)疲れて当然、そりゃうっかり血迷ったりもするだろうさ。

    多分彼にしてみれば、彼の年齢でヘルプコール出すのはプライド許さないだろうし、信頼できる人間がそれだけ周りにいなかったってことなんだろう(烏丸氏は頼るっていうより、自分が面倒みなきゃってカンジだったんだろうし)

    「疲れた」と零した彼は、もしかしたら死にたかったのかもしれない。(私には、この狭い日本でこんな内部犯でしかありえない方法で殺人を犯した事自体が、彼の消極的な自殺に思えてならなかった)

    そこまで考えて、これってバレるとこまで全部犯人の計画通り?(@デスノ)とか思ったりしたんだけど(ノーベル賞物の研究に魅せられた犯人が、烏丸氏の障害になりそうな人物を殺害とか←罪を着せようとしたのは、自分が疑われると動きづらくなるから、とか?)

    でも、そうだとすると、最後のあの涙が説明つかない(そういう場合、今後の烏丸氏の感情を混乱させないために、最後まで悪役に徹しそうな気がする)

    なので、結局この事件は、お疲れモードな犯人と、犯人を疲れさせちゃった問題児な彼とのコミュニケーション不足が根本的な原因だろうと私は勝手に思っているのだけど…

    じゃあ、なんでそもそもコミュニケーション不足になったんだろう?

    「コミュニケーションにおける最大の問題は、それが達成されたという幻想である
    by G=B=ショウ」

    なぜ幻想なのかといえば、同じものを見ているのに、そのものに対する捕らえ方が、人間は各自で異なるからだ。(全く同じものを見ているという考え方自体がそもそも幻想なんだろう)その認識のズレは個性と言われるものでもあり、そして、その個性(認識のズレ)がある以上、どうやったって人間同士の関係には誤解や錯覚が生まれてしまう…これが、コミュニケーションが幻想と言われる所以なのだろう。

    (この感想が良い例だ。この感想は、いかにもそれが事実だろうといったような雰囲気で書いてはいるが、あくまでこの感想は私が勝手に思った憶測であり、それが作者の意図と合致しているという事実はどこにもない)

    そして、なぜ誤解や錯覚が発生してしまうのかといえば、それは、現在人間同士で使われているコミュニケーションツール、ボディランゲージと言語に、致命的な欠陥があるからだろう。

    ボディランゲージは伝わりやすく、判りやすいが、基本的に単純なことしか伝わらないし、言語はボディランゲージに比べると表現の幅が広いものの、頭の中の抽象的なイメージを再現できるほどじゃない。

    つまり、どちらも発達不足だ。これじゃ複雑化した思考回路を持つ人間のコミュニケーションが上手くいかない(誤解や錯覚を起こしがち)のも当然だと思う。

    人間が、個より多を重んじるような、それこそ昆虫のように、思考の集団化に全く抵抗のない生物だったのなら、(あるいは、もっと単純な思考だったのならば)このツールで全く問題はなかったのだろう。

    だが、基本的に人間は、思考が複雑で、個を重んじる自己中心的な生物だ。
    (自己中心的なのは人間に限った話じゃなく、生物としては当たり前のことだ。他との交流以前に、まずは自分が生き残らなければ、他者とのコミュニケーション自体がそもそも成り立たなくなってしまう。だからどうやったって生物は、自己中心的にならざるを得ない)

    基本自己中、しかも持ってる意思疎通のツールはポンコツ
    …これで諍い起こすなってのが無理だろう。

    つまり何が言いたいかというと、コミュニケーションの方法に根本的な問題がある以上、人間同士で関係性を保っていくのは(特に一対一の関係だとごまかしがきかない分)とても難しいということだ。

    そして、それでも、関係を続けていきたいと思うのならば、この劣悪なツールを最大限に利用して(ボディランゲージと言語を使いまくって)コミュ不足をなんとか解消していくしか、道はないということなのだ。

    話を元に戻すと、今回の事件は、犯人と烏丸氏のコミュ不足が根本的な原因だった。(と私は思っている)

    犯人は疲れて思いつめる前にヘルプを叫ぶべきだったし、烏丸氏は自分の状況を常にフォローしてくれてる犯人の存在を当然と思わず、少しでも犯人に感謝の意思を伝えるべきだった。

    それで何かが変わるのか?…といえば、実際には変わらなかったのかも知れない。やはり犯人は欲に目が眩み、殺人を犯したのかもしれない、それでも、仮にそれで事件がおきたとしても、少なくとも烏丸氏は、あの最後の驚愕のシーン。恩師の涙だけは見ずに済んだのだろうとは思っている。

    犯人判ってても酒かっ食らって不貞寝してたことからして、彼は恩師が犯人だと認めたくなかったんだろう。恩師の涙なんて死んでも見たくなかったに違いない。

    (だから思うんですよね。この事件って主人公が解決しなきゃどうなってたんだろうって。私としては、烏丸氏が苦渋の選択で、犯人を問い詰めるシーンが見たかったような気がしないでもなかったり…)

    事件は終わった、犯人は捕まった、烏丸氏の研究を横取りする人間はいなくなった。けれど、フォローする存在がいなくなって、烏丸氏はこれから苦労することだろう(主に人間関係で)でも、それでいいんだと思う。一方に負担がかかる関係というのは、結局のところ、長続きはしないのだから。

    長続きしない関係…では、一度破綻してしまった関係は、諦めるしかないのだろうか?再生することは出来ないのだろうか?

    そうではないと思っている。なぜなら、これだけ意思疎通上の悪条件が揃っていて、それでも人間は、他人とコミュニケーションを取ることを諦めてはいない。人間は個を重んじるどこまでも自己中心的な生物だが、同時に、他と関係を持ちたがる(集団に属したがる)ある意味で矛盾した性質を持っているものなのだから(身も蓋もない説明をすれば、単独より、集団で生きる方が、生存率が高かったってことなのだろうと思いますが)

    彼らの関係は、犯人の裏切りという事実で、一度破綻してしまった。けれど、それは取り返しがつかないということと同義ではない。

    彼らは生きている(まあ、架空の人物ですが)なら、人間がどこまでもコミュニケーションを取ることを諦めてない以上、前とは違う関係で彼らが新しくやり直す可能性だって、ないことはないだろう。

    犯人が改心し、烏丸氏が犯人の苦労を知った上で、また互いが関わっていきたいと望むこと。ふたりのどちらが負担になるのでもなく、新たな関係が築ける瞬間が来るのなら。

    それこそ、ヘタなドラマじゃ拝めないほどの人間ドラマだ。
    その瞬間の感動こそを味わってみたいと私は思っている。


    …というところで、次は「Q&A」についての感想。


    実を言うと、今回の話って最初に読んだ時と、何度目かに読み返した時で、大分(私の中での)印象が変わっていたりする。

    というのも、ラストシーンの主人公の微笑の意味が最後までよく判らなかったので。

    (でも、まあ、このQEDって話自体、難解なエピソードが多いので、
    いつもはニュアンスで解釈して、サラっと流しているのですが←オイ!)

    最初に考えた時は、主人公が、相手の事情から結局は断るに断りきれなかった、自分のお人よしな部分や押しの弱さを自嘲しているかなぁ?となんとなく思っていた。

    …とはいえ、この時は全く深く考えてなかったんだけど
    (てか、感想書こうとすら思…ゴフンゲフン)

    とりあえず、真面目にこの話について考えるようになって、まず思ったことは、なぜそもそもロスフェラー氏は今回の話を主人公に頼んだんだろう?ってことだ。

    主人公が言っていたように、役者でも良かったと思う(むしろ無関係の人間が加わることで、妙なハプニングが起こらない分、ずっとスムーズに試験を行うことが出来ただろう)

    というか、裁定者がどうこう言う前に、そもそもこの主人公って未成年だ。長男が怒り出したように、裁定者としての彼を兄弟達が認めない可能性もあった訳で(アジア人は特に若く見えるから、あの4人兄弟にしてみれば、主人公達はそれこそ、怪我した管理人の子供よりも幼く見えていたのかもしれない)

    まあ、トラブル前提の話だから、子供の姿で油断させて、いざという時、4人の兄弟だけでどう対処するか見極めたいということだったのかもしれないが、それだったら最初から子供に見える役者を雇えばいいだけの話で、そっちの方がこの(安楽椅子タイプの)主人公にこんなめんどくさい依頼を承諾させるより遥かに簡単だったに違いない。

    (ヒロインと違って、能動的な方じゃないですからね彼。日本で学生やってるってのもありますし←まあ、主人公だしこーゆー話だからと言ってしまえばそれまでなんですが・笑)

    なのに、なぜロスフェラー氏はこんなことを…というか、それを言ったら、今回の後継者選びの内容。なんでこんな試験内容だったのか。どうして後継者の該当基準が「役立たず」だったのか(こんなこと言われたら、選ばれた本人絶対怒ると思うんだよなぁ。現に長男も怒ってたし)

    もっと言えば、長男を後継者にする為に、
    なぜロスフェラー氏はこんな茶番を仕組まなければならなかったのか?

    茶番…まあ、勝手な推測だけど、私は今回の試験、あらかじめ該当者が決まっていた茶番劇だったと思っている(だってなあ、ロスフェラー氏だって、伊達や酔狂であの年まで事業のトップ張ってた訳じゃないべ?こんな試験で適当に決まったトップが早々事業ツブしちゃったら本気で目も当てられないもんなァ←もちろん、彼が長男可愛さに目が眩んで…っていう可能性はあるんだけど、回想シーンを見る限り、彼の四兄弟への愛情はほぼ平等というか、特別長男だけを偏愛しているような感じはしなかったんですよねー)

    だから(そもそもこんな試験で適当に決められるような事柄じゃない以上)後継者=長男っていうのは、ロスフェラー氏の中で最初から決定していたことで、なおかつ彼は長男にある程度のトップの資質を見出していたんだろうと私は(勝手に)思っている(だからってわざわざ島まで買って、こんな回りくどいことするのはやりすぎだと思うけど)

    …ってことで(後継者は最初から決まっていたと仮定して)今度は「役立たず」と評された、長男の後継者としての資質を考えてみる訳なんだけど…そもそもトップで役立たずってそんなに悪いことなのか?(←オイ)

    トップは必ずしも有能である必要はない…まあ、これは私の持論だけど、でも、実際の話(有能=必要時に動けるってことだろうと私は思ってます)非常時にトップに有能に動かれた(落ち着きがない)んじゃ、ついていく下の人間は不安でしょうがない。

    必要時に動ける有能な人間なんて、探せばざらにいるだろうし、今回の試験みたいに、そんな人間がトップの周囲にちゃんといれば、事態には事足りる…だから、トップに必要なのは「有能さ」なんかじゃないと思う。

    役に立たなかろうがなんだろうが、非常事態でも偉そうにどっしり構えて座ってるふてぶてしさ(トップがそうしてるだけで、下の社員は割と安心するものだ)ロスフェラー氏が長男に求めた後継者としての資質って、こういうことなんじゃないだろうか。

    ただ、長男みたいなタイプがトップになる場合って、有能な人間が必要不可欠というか、そういう人間が、「この人のことフォローしたいなー」って思うような、人間的な魅力がトップにある程度必要とされると思うんだけど…この点の彼の資質って抜群だと個人的には思う。

    …というのも、長男イアン氏は、妙に憎めない人なのだ。(確かに彼っていつも偉そうだし、性格もあんまり良くなさそうなんだけど、その割りにちょっと抜けてるところがあるっていうか)この妙に憎めないってのは結構重要なポイントだと私は思う。

    ものすごーく偉そうにふんぞり返って歩いてる人間が、次の瞬間、間抜けにもすっころんだら(それでもその人間が、一生懸命そのシーンをなかったことにしようと頑張っちゃってる…そんな笑えるシーンを目撃してしまったとしたら)見ていた周りの人間は「しょーがねーな、フォローしてやるか!」と(噴出すのを堪えながら)考えるんじゃないだろうか?(そういう妙な可愛らしさというか、憎めなさがあの長男にはあると思う)

    いつも偉そう(ツンツンしてる)だけど、ちょっと抜けてて(ドジで)憎めない…要するに長男ってツンデレでドジっ子体質なんじゃね?と個人的には思っていたり…(な、なんだってーーー!?@MMR)

    ま、それは冗談にしても。実際の話、トップって矢面に立つってことでもある。常に矢面に立たされても全然気にしない、あのトップのプレッシャーに耐え切れるだけのふてぶてしさ、思わず周囲がフォローしたくなるような妙に憎めない性格、そしてあの偉そうな貫禄…こう考えてみると「役立たず」な長男の資質ってトップとしては結構理想的なんじゃないだろうか。

    (というか、ぶっちゃけた話、長男以外の誰かがトップになったら、あの長男に指示を出すのはやりづらくて仕方ないと思うんですよ。トップのプレッシャーに耐えながら、長男関連でも心労溜め続けるより、とっとと長男トップに据えて、フォロー体制整えたほうが、他の兄弟も下の人間も、変にストレス溜まんなくていいんじゃね?ってロスフェラー氏は思ったんじゃないかなァ)

    後は、それをどう子供達に伝えるかなんだけど、そこでこーゆー方法を取るのが、このロスフェラー氏の人の悪い所っていうか、憎めない所っていうか(こーゆートコ、長男の父親なんだなーって本当に思う)

    人が悪いっていえば、あの主人公に依頼を承諾させた回想シーンなんかまさにそうだ。

    あのシーン「ガンがみつかった」ってそれ自体は嘘じゃなかったんだろうけど、そこまで深刻な状態でもない、キチンと手術で完治するレベルだったんだろうと今の私は思っている。

    というのも、もし彼の病気が本当に深刻な状態だったのなら、
    ああいう話の持っていきかたにはならなかったはずだと思うからだ。

    「医者からも長くないと言われている。私の最後の頼みだと思って、どうか引き受けてはくれまいか」わざわざあんな最後の切り札みたいに言わずに、こんな風に最初から主人公の情に訴えかけたことだろう。(←主人公は頑なだが、攻め方がない訳じゃない。同情という手段はなかなか有効だと彼は知っていたのだから)

    そんなことまでして、ロスフェラー氏が頼みたかったのなら。望んでいたのは、彼が主人公に本当にして欲しかったことは、きっと「代理人としての裁定者」なんかじゃない。

    自分の子供達と主人公が、会って、話をし、互いの人となりを知り、その上で、今後も関わっていきたいと思うこと――交流を持つということ。

    最初の話に戻るけど、彼が今回の依頼を主人公に頼んだ本当の理由って、要はこういうことなんじゃないだろうか。

    人には縁がある。

    そして、主人公には人が羨むほどのコネがある(あの世界のOSの創始者とのコネなんて、いくら金出してもいいから欲しい!って企業家は腐るほどいるだろう)おまけに問題を解決することに関しては主人公はかなりのエキスパートだ。

    だから、もしも子供達が困った時、自分が何もしてやれなくても、主人公が子供達の助けになるように(相談役になってくれるように)恐らくは顔合わせ的な意味も込めて、ロスフェラー氏は主人公にこんな妙な依頼をしたんじゃないだろうか。(そういう意味では、主人公に対する面接試験だったんだろうなー今回の話って)

    てか、この人本当に人が悪いな!(笑)んでもって、かなりの親バカだよなーって心の底から思う。(だって、これってある意味ロスフェラー氏の子供自慢大会でもあった訳ですよ?「ウチの子達も中々ヤルでしょ?コネ作っとくのも将来的におトクですよ?」みたいな!まーなんていうか、憎まれっ子世に憚るって訳じゃないけど、これだけ人が悪い御仁なんだから、彼は長生きしますって、きっと!)

    全てが終わった後「人騒がせな試験」と真相を聞かされた子供達の誰もが思い、けれど、最終的には「あの親父のすることだから」と「それで決まってしまったんだから、しょーがない」としこりを残さず、子供たちを納得させる結末にするだけの自信が彼にはあったんだろう。

    そして、子供たちは、そんな父親が嫌いじゃないんだろう(初顔合わせの時、どうみたって子供にしか見えない主人公を、あの長男までもが裁定者として認めたってのは要はそういうことだ)

    (試験後、もし、長男以外の3人の子供達が文句を言ってきたら、
    「じゃあ、お前達の中であのイアンに命令して動かせるものはいるのかい?」とかなんとか彼は言ったに違いない。んで、子供達は苦笑しながら、それを受け入れたんだろーなー!)

    まあ、色々とグダグダ長ったらしく書いてきたけど、今回の話っていうのは、結局のところ、

    後継者は性格が悪く、主人公は人が悪く、
    そして、策謀者であるロスフェラー氏は誰よりも人が悪かった!(笑)

    こういうオチに尽きると思う!(まあ、私の勝手な思い込みなのですが)

    だから、ラストシーンの主人公の微笑みも(私なりには)こんな風に解釈したい。

    すなわち、

    子供達に愛されている、愛すべき親ばかの彼へ、
    まんまと一杯喰わされたことに、心からの敬意を表して。
    遠い海の彼方から、心地よい敗者としての微笑を。

    ってね!

    そうそう最後に!主人公の妹がついてきた理由についてなんだけど。
    これって、主人公がロスフェラー氏と会った場所がアメリカだったからじゃないかなーって思ってます(主人公は性格的にホテルとか取って妹の自宅に泊まったりはしないんだろうけど、「せっかくアメリカまできたんだし、食事くらい一緒にどう?」ってことにはなると思う。その食事の席で今度のことを知った妹がヒロインに話して…って憶測だけどこーゆー流れじゃないかなーと)

  • 『黒金邸殺人事件』★2
    2つ目は、余程の自信がないと出来ないトリックだよね。
    『Q&A』★2
    詩の意味には、なるほどなと感心。
    ただ、もう少しスマートな方法があったように思えてならない。

  • 2013/05/09購入・06/11読了。

    【黒金邸殺人事件】最後の犯人の表情が、老いを感じさせた

    【Q&A】ラスト2コマ目の燈馬くんの表情が好き。

  • 出続ける限りは買います。損はしないので。
    今回は、人事的なお話と「人が悪い」とーまくんのお話。

    前半のお話は、なんだかすっきりしなかったですね。
    お通夜までにどれくらい日があったのかはっきりしなかったから…
    じゃないかなと思うのですが。
    いつ実験したのか、とか、もう少し自然な伏線が欲しかったです。
    パラドックスもけっこうこじつけな気もするので。

    「人が悪い」とーまくん。
    この「人の悪さ」って…いまいち分かりにくくて…
    ただ、船の上で目を細めるとーまくんは非常に色っぽく、
    だいぶ美少年でした。美少年で天才って、すごいなあ…
    たまに加藤先生は非常に美しいとーまくんを描いてくれるので
    そのたびに心臓をどきゅんされます。

  • Q&A面白かった☆
    人の事を知りたかったら、人の良い人じゃなくて悪い人に聞くべきなのね(笑)

  • 「上」と「下」。もう少し重く受け止めるべきなんだろうなぁ……としみじみ思いました。

  • 2話収録!どちらもすっきりしない話~

  • 天才高校生によるロジカル推理漫画。
    大学教授の権力あらそいに関わる【黒金邸殺人事件】と、エーゲ海孤島での後継者選び【Q&A】の2本。
    矢のトリックはなぁ、もっと失敗の痕があればよかった。
    重力子については初めて知りました。物語の鍵はゼノンの「制止する矢」のパラドックス。ああ、微分ってこういうこと。
    さすが数学の話で右に出るものはいない。ためになるなぁ。
    孤島での後継者争いも、古き良き推理小説のようで良かったです。
    「試した」のではなくて「知りたかった」のか。その後、彼が子供たちに対してどうしたのかも気になりますね。

  • そろそろ2話収録にあきてきました(T_T)
    お話は面白いんだけど……。
    1冊にもうちょっとお話いれてほしいな。

  •  飛んでいる矢は常に動いている。
     だがその一瞬を切り取れば矢は止まって見える。
     止まっているものは動かないはずだ。
     ではなぜ矢は動いているのか。

     今作もこんなゼノンのパラドックス「静止する矢」をストーリーに巧く組み込んで、ちょっとだけ学問は意外と楽しいと思わせる、ある意味希有なミステリ。36巻にもなっているのに、相変わらず失速せず淡々と巻を重ねています。

     ただ、2作目の「Q&A」で燈馬の言う「人の悪さ」は何度読んでも分からなかったなぁ。

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