- 本 ・本
- / ISBN・EAN: 9784063724653
感想・レビュー・書評
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捨てる前に登録(自炊)
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前巻に引き続き、精神病の話。
精神病とは、脳という臓器の病であり、その意味では内臓の病と同じであるといえる。
しかし、デカルトが「我思うゆえに我あり」といったように、思考とはその人の根源的な要素である。それゆえ、思考に影響を及ぼす精神病は、差別と偏見に満ちている。
しかし、精神障害者の思考は「異常」なのだろうか?
「普通」と違うことを異常というなら、確かに異常なのかもしれない。
では、「普通」とは何だ?
一般的であることを「普通」というなら、一般的ではないのは「個性的」ということではないだろうか。
精神病を患った人は、その人独特の世界観を持っているかもしれない。それは普通ではない世界観かもしれないが、我々一人ひとりもその人なりの世界観を持っているはずだ。 -
小沢の退院が決まりますが、事件のために精神障がいに対する人々の警戒心が高まっていたこともあり、彼は自分の居場所がこの社会の中にないということを思い知らされることになります。そして、家を飛び出した彼は、病院の屋上から身を投げて自殺を図ります。斉藤は、彼が最後に発した言葉を早川に伝えることで、2人がお互いの存在を心の支えとして前へ進んでいく可能性に賭けようとします。
伊勢谷や門脇が直面している「社会の目」というテーマは背景に退き、そうした背景のもとで小沢と早川の困難な恋に焦点が絞られているのですが、正直なところ、安易なヒューマニズムに着地することでかえって問題の複雑さが切り捨てられているのではないかという疑問を感じます。もっとも、本作は最初から最後までヒューマニズムの精神に貫かれているのは、読者にとって先刻承知のことですから、私自身が的外れな期待を抱いていたということにすぎないのですが。 -
早川さんタイプで困る
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なかなか、衝撃的なところで幕切れです。
まあ、「ブラックジャックによろしく」なので、おそらく、小沢くんは助かるのだと思いますが。
でも、斉藤先生のしていることが、全部良い方にころんだとしても、それが、ベストの方法だったかどうかは、疑問です。
もし、小沢くんに恋人がいなかったら?
もし、小沢くんが、助けられなかったら?
もし、2人が、この先、理由のあるなしにかかわらず、誰かを傷つけてしまったら?
でも、そうやって、足踏みするよりは、動いた方がいいのか??
結局、信じることをやるしかないのでしょう。 -
サンプルにてはまる。
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優しい人が、底なし沼に足を取られ、抜け出す道を掴みきれずにどんどん追い込まれていく。息が詰まるような展開。
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当時の見解はそうだったのかも知れないが、「精神障害の遺伝性」というのはほとんどない。遺伝ではなく、その人が育った「環境」にある。
しかし変わらず家族から出やすいと考えられるのは以下の理由だ。
精神障害をもった或いは予備軍の人自身が育った環境を、子どもにもそうする確率は自然な事。育てられたように育てるのは人のつね。これは、健常者であっても変わりはない。
何かが違うと思って読んだ人もいると思う。
私も他で研修をした科の話では、何か違うと思っていた。けれど、私にはこの精神科編の話はよく分かり、色眼鏡のようなものはそこまで感じない。
理解してもらえない辛さ、ちょっとした言葉が聞こえた方には物凄くけなされたように聞こえる事。これは重度軽度に関わりなく精神的に参っている時にはおとずれる。そして、信頼している人がいる傍ら、誰も自分のことなど分かってくれないと嘆くのだ。
しかし、統合失調症ひとつをとっても、症状は残っても安定した生活が送れるようになる人もいる事を知って欲しい。私はそのような人を知っている。 -
精神科編4
歪んだ社会の目が、患者の心を潰して行く。
差別、偏見。誰かを悪者にしないと人間って生きて行けないのだろうか?
「皆違って皆いい」とかいう言葉が流行ったけれど、上っ面にすぎないかもしれない。
個性を持ち続けて生きて行くのは、今の世の中だと辛すぎる気がする。
佐藤秀峰の作品





