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- / ISBN・EAN: 9784063727296
感想・レビュー・書評
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比嘉慂(ひが・すすむ)の『美童(みやらび)物語』(講談社モーニングKC)の既刊1~2巻を読んだ。
この作品のことは、呉智英が『マンガ狂につける薬 二天一流編』でホメていたので知った。
読んでみたら、想像していた以上に素晴らしいマンガだった。
比嘉慂は沖縄に生まれ育ち、沖縄に住んで、沖縄のことを描きつづけているマンガ家。この『美童物語』は、戦時下の沖縄を舞台にした短編連作である。
したがって「反戦マンガ」とも言えるわけだが、たんなる「反戦マンガ」ではない。
いや、それでは反戦マンガを貶めるような言い方になってしまうが、少なくとも、「戦時下の沖縄を舞台にしたマンガ」と聞いたとき、私たちが脊髄反射的に思い浮かべるような、「よくある反戦マンガ」とはまったく違う。もっと深みがあるのだ。
戦争が何よりも沖縄の豊かな文化を破壊するものであったことを静かに告発し、沖縄の文化・精神性の豊穣さ・奥深さまでを表現した作品になっている。
また、戦争うんぬんを抜きにして、失われた古き佳き沖縄文化を愛惜するマンガとしても優れている。そして、人間ドラマとしてもたいへんよくできている。
スクリーントーンを多用せず、細部まで手描きした独特のあたたかい絵柄も味わい深い。
『コミックモーニング』に不定期連載されているようだが、早く第3巻が読みたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
沖縄の精神世界の構造を深く知るにはユタ、ノロの位置付けは重大であり、その意義は切っては離せないものであるということが真摯に丁寧に語られて分かり易かった。
占いや祈祷師という分類にはなされるが、その身近な存在は魂の救済と心の安寧を齎すものとして重要な役割ではあるが、ほんと「医者半分、ユタ半分」だよな(笑)
その存在は現代では弱まりつつあるが、ヤマトの文化も入り混じる今の沖縄にとって重要性が高まっているのではないかと再確認させられました。 -
タイトルの「美童(みやらび)」は少女、乙女の意。
沖縄の歴史と文化を学べるマンガ。
時代設定が戦時下なので、結構シビアな内容。
南国=楽園だの癒やしだの、そういう図式に飽きた人に勧めたい。
クセのある独特の画風だが、少女たちは活き活きして美しい。
----------〈ここまで1巻レビューと同じ〉----------
2巻には「ユタ」など4編+エッセイマンガを収録。
その後も発表は続いたらしいが、現時点では未刊行。 -
戦前の沖縄の文化や、戦中の沖縄の人の気持ちは
多分文学よりもこの漫画の方が伝わる。
比嘉さんの作品ではこの美童物語が一番好き。
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