東京怪童(3) <完> (モーニング KC)

  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784063729238

感想・レビュー・書評

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  • 主人公ハシは事故の後遺症で破片が脳に残っている為に「嘘がつけない」症状を持っている。思った事をそのまま口にする為、他者とのいさかいが絶えないために入院している。その他、それぞれ異なる疾患を抱えた患者と玉木ドクター。未だ脳の疾患と精神異常がごちゃ混ぜにされている世の中で、何が人の心を傷つけるのか、と言う事が描いてあり、そこから脱するのは自分の心なのだ、と言う事が一切押しつけがましくなく作者のテイストで描かれている。時にシュールに、時におとぎ話の様に、時にギャグ漫画の様に。
    患者を導くべき医者の玉木が失踪する。破片を取り除く手術をすれば元に戻れる確率は50%と言われていたハシは、玉木失踪後に手術を勧められ、選択するには自分を診てくれていた玉木の助言が欲しいと願う。玉木は女装癖及び自分の性癖に悩み、失踪したのだ。自分が分からない医師が患者を診る事などできない、と。玉木の言葉以外でそのような描写は一切されていないが、玉木が「ただ女装が好きなだけなのか」「自分はゲイなのか」「かと言ってハードルの高いものを好む性癖ではなさそう」とまだ迷い続ける中、その一端を担ったのがハシの存在であり、ハシを好きになってしまうかもしれない自分から逃げたと言う告白をしている。
    人と違う事、人に理解されない事は人間である以上苦痛を伴わない訳がない。どんなに正直に告白しても信じて貰えない時もある。隠し続けても見透かされる場合もある。なぜ自分はいつまで経っても人と同じになれないんだろう、自分だけ違ってしまうんだろうと考え続ける大人が読んで欲しい漫画だ。

  • 続きが読みたい感じ

  • 漫画読んで久々に泣きました

    人間讃歌

  • 先輩から借りた漫画。
    これはすごい、すごすぎた。
    さまざまな背景のある登場人物のその時と、葛藤と、変化。
    いつしか応援する気持ちになってた。
    あの頃の自分をみてるようで、もしかして今もかな。

    最後の一コマ、、あの手は、ハシの手の気がする。とするならば、もしかしてハシは生きているのかも。

    心に残った言葉をこちらに。
    ありすぎて長くなったけれど。



    これらは全てただの疾病で
    その症状にすぎないんだということです
    彼らに人間的な問題はないのです
    それが大切です

    大丈夫な訳ないでしょ
    もうずっと‥‥前からさ

    以前は…みんなに受け入れてほしかったけど…
    でも今は 世の中の人間すべてが私を無視して欲しいっ
    要するにあたしは
    あたしのこの人生が
    避けられないものだと知って
    せめてあたしのことを放っておいてほしいだけなの
    今は誰とも関わりを持ちたくないっ

    無理をやめて素直に今の
    あるがままの自分を
    まるごと受け入れるんだ
    多分それしかないんじゃないかな

    きっと人は本当のことを
    嘘で隠したり
    恥ずかしいことを
    露わにしてなんか
    生きてけないのに

    こんな姿で蘇っちゃったけど
    ボクがボクに変わりないってことだけは

    どっちにしろ
    それがお前だ

    一見まともに思える人が一番ずれてる
    どうしようもない人かもよ
    そういうことってあるでしょ
    まともに見えている人が
    実は結構ダメな感じなの


    ダメに生きる

    大人なのに太宰治も「生まれてすみません」って書いてたって
    でもその恥じてた生はその後の多くの人の生きる力になってるかもしれないよ

    人に悲しい思いをさせたくない
    人を傷つけてしか生きていけないなんて
    あんまりだ
    ボクだって人から愛されたいんだ
    けど
    ずっと
    ずっと愛されたい愛されたいばかり思ってたけど
    人を愛することをしたい

    全然自分のことがわかってないんだ馬鹿だな


  • ハシは死んだんか…
    悲しいな
    キャラの中では玉木先生が好きかな

    何を基準に疾患や病気と位置付けるのか
    多数が正しくて少数が間違っているように
    まわってる世界
    間違いなんて本当は無いし
    答えも無いと思う

    正直に生きることが
    ダメな生き方とは思わない

    ハシの1個目の漫画
    自分が化け物かと思いきや
    本当は周りの人々全員が死んでいた
    逆の立場だった

    2個目の漫画
    みんなが嫌って除け者にした
    空を飛べるペンギンスカイウォカーは
    彼自身が特別なペンギンだったわけではなく
    環境の変化でどのペンギンも飛ぶことが
    できるようになるという設定だった
    生きてる世界が狭すぎて
    それを知らないペンギン達…
    狭い世界から孤独や不安に打ち勝ち
    飛び出したスカイウォカー
    その勇気があったということはある意味
    特別ペンギンだったということになるのか

    本のデザイン
    色の感じ
    全体の世界観
    に惹かれて
    古本屋さんで購入しました
    ドラゴンヘッドの作者の方だったことは
    あとで知りました

  • 望月ミネタロウ氏の作品『東京怪童(2009-2010)』全3巻を読了。望月氏の作品は・・・「座敷女(2003)」を今年の6月に読んだ振りです。いやー、独特な世界観ですが、大好きでした。 登場人物、全員のキャラクターが良くて・・飽きずに全編読めた。 ラストは悲しいが、かなり嬉しいこともあり。 深い台詞もあり・・・ やっぱ、望月氏の作品は大好きだなー。傑作。

  • いい漫画過ぎでしょ……! ハシ君の言葉の一つ一つが心を締め付けてくる。僕も愛されたい愛されたいばかりじゃなくて、人を愛することをしたいと思った。全部愛したい。

  • 脳の疾患・障害によって、一般人とは物の見え方が違う、
    あるいは誤解を招く言動に走りがちでトラブルが絶えない、
    そんな子供~若者たちの話。
    3巻(最終巻)はカタストロフへ向かうのか、
    それとも何も起きずにフニャッと終わるのか……
    と思って読み進めたら、いい意味で期待を裏切られた。
    「ひとりぼっち」であることを自覚した「まりちん」の心の叫びと、
    彼女を救いたいと願う英雄(ひでお=10歳♂)の奮闘が切なくも美しい。
    英雄の心象風景が物語全体を包括するかのような〆も個人的に好み。
    スタージョン『[ウィジェット]と[ワジェット]とボフ』を連想した。
    それにしても「未確認ランチ」いいなぁ!
    ご相伴に与りたい(笑)

  • 最後の終わり良かったかも…宇宙パワーみたいなやつ(笑)

  • 2011.May
    すき♡

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著者プロフィール

1964年、神奈川県生まれ。84年講談社ちばてつや賞優秀新人賞を受賞し、85年「ヤングマガジン」でデビュー。同年『バタアシ金魚』を連載開始。主な作品に『バイクメ~ン』『お茶の間』『鮫肌男と桃尻女』『ドラゴンヘッド』『万祝』『ずっと先の話』等がある。また『ドラゴンヘッド』で第21回(1997年)講談社漫画賞、第4回(2000年)手塚治虫文化賞マンガ優秀賞を受賞している。

「2018年 『犬ヶ島』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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