僕の小規模な生活(1) (KCデラックス モーニング)

  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784063754179

感想・レビュー・書評

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  • 以前から書店で見かけて何となく気になっていたマンガ。
    タイトルから今の世相を反映したつましい生活ぶりを描いたマンガだろうと想像していました。
    半分くらいその想像は当たってたかな。
    売れないマンガ家サンの話で、働く奥さんに気を遣ったり、アルバイトをしながらマンガを描いたり・・・という生活ぶりが描かれています。
    話の中にタイトルに似たようなマンガを主人公が描いている場面があり、「あ、これって自伝的マンガ?」と思ったら、あとがきを見た所、当たってました。
    ここに描かれたことは全て真実なのだそうです。

    読んでみての感想は正直「う~ん・・・」という感じ。
    絵もそうだし、主人公の性格とかも・・・。
    主人公の顔にいつも目の下にのクマみたいなのがあるのが病的な感じで気になる。
    売れないマンガ家さんの大変な生活ぶりを等身大で描かれていますが、大変な割にはどこか切迫感がないというか・・・。
    せっかく仕事が入っても自分から断ったりしているし、やる気のない感じが見ていてイラッとくる時がありました。

    経済的に不安定な仕事だから、経済的に今裕福じゃないから、将来が不安・・・そういうのは分かる。
    分かるけど、20代だし、マンガの仕事だって少しずつ入ってきてるし、結婚してちゃんと家庭を築いてるし・・・。
    大体、マンガ家になってるだけでもすごい、羨ましい!と私なんかからすると思ってしまう。
    いくつになっても自分の夢が何かってはっきり言えない人間だっているし、希望も夢もなくただ日銭を稼ぐ仕事をしてる人もいるし、結婚だって出来ない人もいるんだから!

    奥さんがこの1冊の中で目に見えてどんどん太っていってます。
    編集者さんたちとの打ち合わせの中で、実際の有名なマンガ名、出版社名、マンガ家さんが登場するのが少し興味深かった。
    これから主人公の仕事が増えていく毎に、そういう絡みのエピソードも増えるかも?

  • 主人公である優柔不断な「僕」と、精神的な不安定さとサバサバした九州女子感が同居した性格の「妻」のやり取りが、コメディとして面白く読むにはちょっと重たいというか変な仄暗さや僕のダメっぷりで「笑うに笑えない」空気感がちょっとあるかも…どんな心持ちで読めばいいのか、絵柄含め謎の不安感の余韻を読者に残すのが売りの作風…?

    丸みのあるキャラのフォルムで、この作者の方と「とろける鉄工所」の作者の方がたまにごっちゃになる

  • 作者である主人公が非常にダメ人間。ふつうこれだけのダメ人間を見ていると不快になってくるのですが、それを微妙なラインでセーブしつつ、かといって笑いを取るという方向性でもなく…というなんとも不思議なバランスのエッセイ的なマンガ。すごい面白いというわけではないが、作者にはこれからも頑張って働いて欲しい。

  • ちょっと卑屈でこじんまりとした一冊。以前読んだ時はこの人の独特な画風が受け付けられなくて断念したのだけど、改めて読むと中々に味わい深い

    人気作家にはない、マイナー作家故の不安感や焦燥感というのはヒリヒリくるものがある。妻がかわいい

  • モーニングに最近復帰し読んで以来一気にはまってしまった!
    妻が可愛い!寝てたり食べたり話聞いてる時!実物にお会いしたいと思うくらいのファンになりつつある。
    妻に依存しすぎなダメっぷりの福満先生!だけど、憎めない!

    画が詰まってて一生懸命書いてる感が好きだし、ネタも私生活から拾ってきたものだから素朴だけど、読ませる。
    出版社に板挟みにされて正直精神的に辛いです、って送っちゃったところ、笑った!
    弱さとか全部認めてさらけ出してるから惹かれるのかなー。
    やっぱ浮世離れしてないエッセイとかノンフィクションが好きなんだなーと実感。
    後編集者がマンガ家にどれだけ接待してんのかーとか裏が見えて面白い!
    PS.カスミンが好きなの分かる気がした。

  • 最近はエッセイマンガがひとつの流行で、「うつうつひでお日記/吾妻ひでお」など傑作もあるのでひとつのジャンルとして確定している。

    とはいえここまで赤裸々というのは珍しいのではないかと思う。バイトがイヤで勝手にやめたり、編集者とのやり取りがリアルに出てくる。奥さんのケンカも相当激しく書かれている。同業者の成功をねたんだり、バイト先の従業員のことを悪く書いていたり。これでは実生活に影響があるのではと思うのだけどどうなんだろう。

    バイトを逃げ出すあたりはとても同情できるものではないのだがそれがまた近親憎悪になったりする。
    これだけ赤裸々に書くということは、覚悟とそれなりのじっかりした信念がいるのではないかと思う。

    『マンガを描く自分をマンガに描くマンガなんておかしいんじゃないかと思って』

  • 「僕の小規模な失敗」の続きの作品
    僕は福満さんのマンガをここで初めて知りました。

    そしてこのダメッぷりさがとても気に入ってしまいました。

    巻を重ねていくごとに、精神的なダメさは変わらなくても、経済的に安定してきているようです。
    我が家にはない「液晶テレビ」やら新しいパソコンなどを購入している姿は、何だか残念ですが、まだ1巻では、そのようなそぶりはなく、安心してダメッぷりを感じる事ができます。

  • 久々に読んだけど初期は特に赤裸々さがダイレクトでなんだかんだで面白いのであった。

  • 「面白い!」と素直な感想は出ないものの何故か最後まで一気に読み進めてしまいました。未解決事件をネットで調べ続けてしまう感覚に似ています。本書の感想を明確に言語化出来る日は来ない気がします。恐ろしい魅力を放つ作品です。
    毒も癖も強く決して万人受けはしないと思いますが、万人の心の奥底にチクリと刺す部分があると思います。その痛みに飛び込んで行けるかどうかが本書を楽しめるかどうかのポイントだと思います。深淵を除くとき…ってやつですね。
    漫画家としての仕事が安定してからの方が、不安定な時より読んでいて苦しくなるのは何故なのでしょうね。昔から、プータロー作品よりバリバリの社会人が主人公の作品の方が胸が痛くなります。この現象の良い感じの答えを教えてもらいたいです。
    どの話を選び取って感想を書いても逆に自分の中の闇が表出させられそうなので、当たり障りのない感想を書いておくと「任天堂のゲーム機は頑丈だなあ」と思いました。あっ、あとがきに各話の振り返り感想が書いてあります。こういうの大好きです。

  • 日本伝統の私小説の系譜を継ぐ
    不安症漫画家的日常のおもしろさ。


    日々はやってくる。
    不安もやってくる。
    仕事がなければ、不安。
    売れだしても、不安。
    人生って、ずっとそうなのかな。
    ふっと思わせる佳作。

    漫画家志望で
    でも売れなくて。
    妻が働いていて
    僕はバイトをするけれど
    続かなくて。
    妻に「私だけ働かせて」と怒られて。
    少し売れだしたら、
    漫画連載を巡って、
    編集部と心理的葛藤があって。

    そんな主人公の不安症や
    小市民的な性格に引き込まれる。

    内気な主人公は好きだ。
    何だろう?
    少しホッとするし、
    その方が正直な気がするからか。
    この漫画は
    好きな人は好きな
    マイナーな漫画家の
    ノンフィクション的フィクション。
    そして、それが実は
    日本的な私小説の王道なのでは、とも感じる瞬間。

    後半の2誌から連載の話になって、
    モーニング編集部から怒られて
    どうしよう! どうしよう!
    と右往左往する辺りはとても好きだ。

    怒ってバタバタする妻もいい。
    このキャラクターが前半を引っ張った。

    豪胆で、可愛くて、怒ると手がつけられない、
    けど、可愛い妻と
    内気で、心配性で、ウジウジしている夫。
    この組み合わせがベースにあって、
    その上に社会との葛藤がある。

    それがバイトが続かない事件だったり、
    編集とのアレコレだったり。

    それがおもしろいのだ。

    みんな右往左往する。
    人生は右往左往する。
    そうなんだよね。

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著者プロフィール

かつては「ガロ」(青林堂)、「アックス」(青林工藝舎)などを中心に作品を発表し、じわじわとファンを増殖させているサブカル的な若手作家でしたが…。その後、いろいろありまして…。2022年9月現在は、日々、妻のギャースにオロオロしながらも、東京の端っこで妻ひとり息子ふたりと小規模に生活中です。くわしく知りたい方は『僕の小規模な失敗』(電子版/講談社、紙版/青林工藝社)、『僕の小規模な生活』(講談社モーニングKCDX)、『うちの妻ってどうでしょう?』(双葉社)、『妻に恋する66の方法』(講談社イブニングKC)、『妻観察日記』(小学館)の私漫画シリーズ他5作品も是非お読みください。ちなみに『妻と僕の小規模な育児』は私漫画シリーズの第5弾です。


「2023年 『妻と僕の小規模な育児(8)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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