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- / ISBN・EAN: 9784063760774
感想・レビュー・書評
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芥川への著者の愛を感じる。
それは当然で、著者の松田さんは、二十年間、芥川を描きたいと思ってきたのだそうだ。
芥川と同時代の文豪との交流も描かれ、のちの時代の私にはきらびやかに見える。
でも、きな臭い時代だったのだな。
女には弱く、男同士の友情には篤かった芥川。
プレイボーイの虚無を思うと背中が寒々とする。
しかし、松田奈緒子さんの描く芥川龍之介色っぽいなあ。
「僕たちは ただ 百年残る言葉を探しているのだ そのために 今 生きているのだ」
作中での萩原朔太郎のモノローグ。
胸を打たれます。
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文豪達が身近に感じられ、きちんとエンターテイメントになっている所に作者の力量が表れている。過剰にドラマチックではなく、淡々と日常を表現していることが、肝。
時代は、明らかにドラマチックだったから、いくらでもそちらに振ることは出来たはず。 -
高校時代に夢中になって以来、ずっと芥川龍之介が大好きだ。近代日本文学を読み始めるきっかけを与えてくれた文豪として、私の読書人生においてもはや初恋の人的存在。はじめて全集を読破した作家でもある。
そんなわけで、ついつい買ってしまった。我ながらミーハー?
描かれるのは田端在住時から後のおはなし。一貫した物語というよりはちょっとしたエピソードの連続といった形。一応フィクションということで、多少の改変もあるようだ。室生犀星と萩原朔太郎の田端組を筆頭に、文壇の人間模様もおもしろい。新しい女とか、社会主義とか、関東大震災とかの描かれ方を見ると、彼の生きた「大正という時代」が一つの主題となっている模様。まさに激動の時代だったんだろうな。
裏表紙にもある「僕たちは ただ 百年残る言葉を 探しているのだ そのために 今 生きているのだ」という一節が秀逸。
絵柄もすっきりしていて悪くなかった。芥川格好良すぎだけど。
ただ・・・「〜という」を「〜とゆう」と表記しているところがあって気になった。作品のテーマを考えると、文章には気を遣ってほしいところ。それとも何か作者なりの狙いでもあるんだろうか。
欲を言えば、終盤の展開はもう少し深く掘り下げてくれればよかったのにと思う。単発じゃなくてシリーズにして幼少時代から最晩年まで描ききる、くらいしてほしいー。 -
かるーい感じの文学周辺漫画。大体龍之介があんまり好きじゃないんだよなあ…。美化して描きすぎでしょ龍之介を。「ぼんやりとした不安」についても思ったより大分薄っぺらく書いてるし…、。
そもそも作家が作家を描くっていうのもあんまり理解できないなあ。「この作家を俺より理解してる奴は金輪際存在しない!!」って上での作家論的作品ならいいけどこれは違うよね。そういう捨て身のナルシズムが一切ない。「文学萌え」ってやつなのかなあ…。芥川龍之介って人物の「設定萌え」なだけだよね。この人が学問としての文学を勉強(専攻)してないってことはすごい伝わってきたけど。
最後に博物館の展示内容貶してたのがいけすかない。自分が取材したものをわざわざ貶したり嫌いだと表明する奴は漫画家として人間として一番嫌いな人種。槇村さとるとかな!よかったことを褒るだけでええやん。
僕たちは ただ 百年残る言葉を探しているのだ そのために 今 生きているのだってモノローグは良かったけどどこかに元ネタがありそうな。 -
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勉強漫画特集からのチョイスだったか。かつ、入手してから気付いたんだけど、実は『重版出来』の作者の手によるものだった。かの作品もかなり出来が良いけど、一巻完結の本作も、なかなかの読み応えだった。正直、文豪に対する興味はほぼ皆無なんだけど、”こんな人と交流があったんだ⁉”っていうなるほど感とか、意外にもかなり不真面目な芥川の生きざまとか、結構読みどころは多かった。
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この作品は、フィクションです。
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2018.02.19 朝活読書サロンで紹介を受ける。
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芥川龍之介の愛すべき素顔を描く入魂作。彼を取り巻く当時の文人達の人間模様も面白い。人生は、進むしかない薔薇色の悪夢。
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7月24日は河童忌だったので読んでみました。
芥川龍之介と当時の文豪たちの普通の日常が描き出されていて身近に感じられつつも、彼らの発するさり気ない一言に心揺さぶらました。
僕達はただ
百年残る言葉を探している
「話らしい話」などいらない
わからなくていい
美しければいい
筋は消える
美しい塊が残る──
単行本1冊分で長くはないのですが、文字に命を注いで言葉を連ね続けた芥川龍之介の生き方が深く胸に残る傑作でした。
さて、5552さ...
さて、5552さんの短歌をすぐに読ませてもらっていましたが、感想が遅くなってしまいました。
[ゆらゆらとホットミルクの湯気が立つ尻尾を揺らす君の幻影]月見だいふく
ゆらゆらがお題だったのですね。以前返歌として下さった
<ひとしずくシロップたらりカンパニュラ朝の珈琲甘くてほろり>を思い出したのは、温かい飲み物が共通しているからでしょうか(笑)
猫ちゃんが苦手な私ですが、ホットミルクの湯気の向こうに尻尾を揺らしている愛猫の姿が浮かんできます。ゆらゆらの湯気と尻尾が相まってほんわか感が絶妙!
これからも自信持って詠まれて下さい。フレーフレー
ブクログを覗いていると、本ってこんなにたくさんあるんだ!という新鮮な驚きをいつも感じます。
このマンガもたぶんブ...
ブクログを覗いていると、本ってこんなにたくさんあるんだ!という新鮮な驚きをいつも感じます。
このマンガもたぶんブクログで知ったもの。
ブクログとブク友さんのおかげで本の世界が広がりました。
私の短歌を読んでくださってたんですね。
嬉しいです。
しかも、以前しずくさんに贈った短歌も思い出していただけるなんて!
自分の作った短歌がこうやって日の目を見ると、嬉しいような、恥ずかしいような、でもやっぱり嬉しいです♪
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