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- / ISBN・EAN: 9784063761993
感想・レビュー・書評
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☆4.8点
社会の道を少し外れた人間がバーゲンセールのように出てきては犯罪を犯して舞台から降りて行く漫画。
「稲中卓球部の作者がギャグを封印して描いたシリアスコミック」と言う紹介を良く聞くが、上巻では家庭に問題がありつつも祐一は友達と仲良く過ごしていて、馬鹿馬鹿しいエピソードも多く入っている。
特に祐一の人間性が映画以上に深く描かれていて、軽はずみで犯罪に走りがちな友人夜野を殴ってでも止めようとする思いやりの強さは、これから始まる悲劇を考えると心痛める。
映画と原作は完全な別物として観賞した方が良いと思う。
ストーリーが長い分祐一、と言うか若者特有の停滞感(悪人を殺すと言いながらも、言い訳を作ってはズルズルと何事も成し遂げようとしない情けなさ)が祐一の心象描写と共にこれでもかと描けていてコミック版の方が個人的には好みかもしれない。
だけども映画もコミックも、最後のどんちゃん騒ぎのシーンで泣かずにはいられない、素晴らしいシーン。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
上下巻読み終わりました。
よく分かんないまま進んで、結局腑に落ちないラスト。どういうことなんだろうなぁ。何がこうモヤモヤさせてるんだろうと思いながら読み返してみて、あることに気づきました。
徹底して回想がないんです。
住田少年が両親との間に何かがあったことは、何となく察しがつきます。しかし、そこからどうして殺人にまで至るのか、よく分かりません。
茶沢さんにしても、何で住田少年が好きなのか、よく分かりません。何故そこまで気にかけるのかが分かりません。
ほとんど家庭が見えてきません。ただただ、父殺しとその罪悪感に悩む住田少年、そしてその周囲のことだけが現在進行形だけで語られるのみです。
この作品は酒鬼薔薇事件の少年Aの手記『絶歌』でも取り上げられています。彼自身がこの作品にシンパシーというか、非常に理解を示していることが『絶歌』を読むと分かります。ただ、何だろう、私が読んでみた感じとして、やはり住田少年と自分を重ね合わせて読んでいたからこそ、シンパシーを感じたのだと思いますね。私は正直「分かったような、分からないような」という感じです。 -
”稲中卓球部”古谷さん著。
稲中と180度違って、シリアス。 -
さっぱりわからない世界だった・・・。
後味も悪い。 -
購入:2012/1/28、読了:2012/1/28
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調子にのらないように定期的に読もう
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下巻。
自分に課した課題を全うするために路頭にさまよう住田。
自分の手をこすりながら「うどんが食べたい…」「 お風呂に入りたい…」「 布団で寝たい…」と呟くシーンがたまらなかった。
普通にある生活を手放して、ただひたすら強すぎる自意識と戦う住田。
行く末は(普通に生活が送れるようにする手立てがある)自分をもコントロールできなくなる。
なんだか哀しいな。