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- / ISBN・EAN: 9784063766448
感想・レビュー・書評
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残光軽んずべからず!
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ガンのため妻に先立たれた武田は、自らも同じ病で余命半年を宣告される。一人娘の佐和子は14年前に行方不明となったまま。
生きる希望を失い、自死しようとしたその時、一本の電話が武田の運命を変える。それは、佐和子の白骨死体が見つかったという衝撃の一報だった。
自殺か他殺か? 他殺であれば犯人は誰か? 余命半年という残された時間と、殺人事件であれば公訴時効成立までの残り時間の偶然の一致。娘の無念を晴らすため、武田はひとり真相を調べる決意をした…
福本伸行×かわぐちかいじコンビの第二作。前作『告白』に比べて前半はヒューマンドラマの色合いが強いです。
仕事にかまけて娘のことを何も知らなかった父親が、娘の死後、娘の遺品や友人たちから娘のことを知る姿は、切ない愛情に満ちていてやりきれなさを感じることも。
調査は何度も行き詰まりを見せるも、その都度小さなヒントが突破口となり、まさに首の皮一枚でつながります。細い糸をたぐり寄せるようなストーリー展開は静かにスリリングです。
そして真相が明らかになってきますが、最後に立ちはだかるのが「時効の壁」。これをどう打ち破るか…
物語の組み立て、伏線を回収する見事さはさすが福本伸行先生です。が、本作は先生の作品の中でもかなり異色。『告白』の紹介文(http://booklog.jp/users/tomiyadaisuke/archives/1/406370517X)では「福本先生の絵で読みたい!」と言いましたが(笑)、本作は娘に対する父の愛情が一つの大きなテーマになっているだけに、かわぐちかいじ先生の絵じゃなきゃダメだったと思います(多分、福本先生の絵で描くと、『賭博堕天録カイジ』の坂崎のおっちゃん&美心になっちゃうでしょうから(笑))