- Amazon.co.jp ・マンガ (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784063767179
作品紹介・あらすじ
「アンダーカレント」「珈琲時間」というロングセラーを生んだ豊田徹也はじめての短編集。単行本未収録だった表題作、ファン待望の『ゴーグル』ほか、月刊アフタヌーンにて発表された、感動あり、笑いあり、そのどちらでもない微妙なものありのバラエティー豊かな中短編が楽しめます!
感想・レビュー・書評
-
デビューから10年間の短編を集めた作品集。前作の「珈琲時間」と同じく豊田徹也らしい作品ばかりなのだけど、読みたかったのはこれじゃないという印象のも同じ。どの話もいい話ではあるけど、行動の動機や考えがいささか表層的。どこかで読んだような作品になっているので、もうひとひねりふたひねり欲しい。
あと、豊田徹也の絵はよく映画的表現と言われて確かにその通りだが、これも必ずしも良いことばかりではないと思う。映画という動画での作品と漫画という静止画での作品とでは当然、効果的な演出が違ってしかるべき。漫画でいうコマ割り、映像でいうカット割り一つとったって、両者は交換可能ではない。にも関わらず、映画的表現をそのまま導入して、漫画としてのリズムを損なう箇所がたびたびある。動く絵でこそ活きる表現が、静止画の中に入ったとたん動きを失ってリズムを狂わす。こういうところはデビューから最近まであまり変わっていない。
しかし、つくづく豊田徹也は損な作家だとは思う。これだけ批判したものの、他の作家さんであれば純粋によかったと言える。でもこの人には「アンダーカレント」がある。たぶん僕を含め多くの人が豊田徹也の処女単行本でありいまのところ唯一の長編作品であるアンダーカレントで彼を知り、その後の作品を読んでいる。アンダーカレントが基準点というハードルを上げられた状態で、しかも短編集とあっては確かに勝ち目のない戦いではある。しかし、だからこそここでもう一度長編に挑んでほしいというのが多くの読者の望みなんじゃないか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
標題のデビュー作を含む短編集。
近年、一番アフタヌーンらしい作家と思っている豊田徹也の短編集。この人の作品はニューウェーブと言われた作家の影響をガッチリと受けつつも現代の軽さ関係性の薄さを心地よく描くから好きだ。人間同士ってそれほど熱く濃く付き合っていけないよね。でもそのさらりとした空気の中にもそれぞれ思いってのは確実に存在するのだ。
『スライダー』は全くのギャグ。だが、人と言うのは自分の状況を誰かのせいにしたいと言う欲望は必ずあると思うんだよね。まぁ、デフレスパイラル。
『ミスター・ボージャングル』人の二面性、さらに違う視点。その中から人はどの評価を採用するべきなのか。
『ゴーグル』デビュー作。これから9年か。道具だて、その理由。そしてこれから。作者本人は古くさいと言うが、こういう話は普遍性が有ると思うんだ。未読の人(漫画読み)は見とけよ。
『古書月の屋買取行』二ページ漫画。こういう作品があるから電子媒体反対なんだよ。めくりの妙。
『海を見に行く』ゴーグルの前日譚。彼女が生きていると思える。積み上げたからできる一作。
『とんかつ』人ひとりの生きざまそれぞれの人生、色々有るけど今がある。ただそれだけなんだけど、漫画と言う媒体でこそ生きる書き方に好感。 -
.
-
いやダサい。ダサすぎるでしょ。みんなこれなら宮本輝読んだ方がいい。むしろ最近の村上春樹が宮本輝化してることがよくわかった。よしもとよしともとみたいな顔だけど、線は今敏っぽい。本当にどこが面白いのか全くわかんなくて怖い。海エンドロールみたいな「海を見に行く」はまだ…。でも「とんかつ」セリフ多すぎる!!!!!!!!細かいけど「大変なとき力になれなくて」って「大変なときに力になれなくて」か「大変な時、力になれなくて」では?悩んでる時に悩んでるコマいちいち入れるのタルい。これ、出た当時よんで全然わかんなくて相変わらずわかんなくて、たぶんずっとわかんない。マンガなんもわからんので偉い人これの面白さ教えてください。
-
他の作品と同じ登場人物が出てくると「彼は今ごろ何してるんだろう?」などと身近に感じられて面白いな、と思った。セリフだけじゃなく絵が語るところが好き。
-
スライダー
ミスター・ボージャングル
ゴーグル
古書月の屋買取行
海を見に行く
とんかつ
マンションのベランダと、道。
空を見上げる青年と少女を、見上げる壮年。
映画的構図。 -
絵が過剰でないけど極上な感じがする。そして話に合っている。素敵な短編集。
-
待ちに待った豊田徹也本。帯の「在庫一掃大放出」の身も蓋もない煽り文句はどうかと思ったがデビュー10年で3冊目とかなり寡黙だからしょうがない(笑)
それだけに歳月を重ねて練り上げられているからこそこの味わい深い作品性が出せるのだなとしみじみ思う。
この漫画に流れる人間ドラマの巧さはさることながら、色んな読後感を感じさせてくれるカタルシスが好きです。
「ゴーグル」「ミスター・ボージャングル」が特にお気に入りな作品。
あと、あとがきでの人物解説が似てるけど別人だったり、本人だったりと分かり有り難い。 -
大好きな豊田徹也先生の短編集。
なんだろ、あまり作り込まれてなく、肩の力を抜いてる感じがいい感じになってる。
台詞がないシーンや、絶妙な行間の空き具合はさすがです。 -
読了。
「アンダーカレント」の豊田徹也さんの短編集。
心の機微をすくい取る話を描かせたら随一。
海、雨、風・・、この人の漫画からは
しっかり音が聞こえてくる。
表題作は児童虐待についての話。