流転のテルマ(2) (KCデラックス 週刊少年マガジン)

  • 講談社
3.60
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784063771275

作品紹介・あらすじ

「助けてくれ」。行方不明の兄からメールが届くと、大学生の徳丸は、父に頼まれて西チベットに旅立った。未知の土地で、徳丸は日本語のできる現地ガイド・ソナムを雇う。彼によると、兄が向かったのは外国人入域禁止エリアらしい‥‥。ガイドの中でもソナムしか知らないというその場所は、国境に程近い秘境。辿り着くにはただ歩くのみ。キッチンボーイのナムギャルを加え、徳丸たち男3人の、ひたすら歩く旅が始まった。

「俺は戻りたくない」尼僧院の宿房で一夜を過ごした徳丸たちは、温泉が湧くという、次の宿泊地を目指す。途中、兄からの新たなメールに気づくと徳丸は安堵とともに焦りを募らせた。なれない山道に、疲れを感じ始めた事をソナムに隠し、徳丸はどうにかついていくが‥‥。

感想・レビュー・書評

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  • お兄ちゃんからのメールが折角届いたのに、携帯を水没させてしまう徳丸。
    それに対して責めるとか慰めるとかいうより、あっさりじゃあしょうがないね、ドジだね
    という感じであるがまま受け止めるのが、なんとなくソナムらしいというかこの人たちらしい
    空気感だなと感じた。

    温泉や星空は素敵だったけれど、無理をしていて眠ってしまう徳丸。
    狼もでてきてまずい状況とは言え、ソナムが取り乱すのがハラハラした。
    逆にナムギャルがとてもしっかりしている。
    薬師如来の真言を唱えたら、というナムギャルの発想も、
    それを受けて本当に唱えるソナムも、現代日本には無い素朴で誠実な信仰心で
    素敵だなと思う。

    ソナムが取り乱す理由として、前にも似たようなことがあって、
    2回とも見つけたけれど助けられなかったと聞くとソナムの気持ちもわかる。
    ただ、ソナムも徳丸も頑固だ。
    ナムギャルがそれに挟まれて難儀するという感じではなくて
    冷静に、ソナムを別行動させたり徳丸と話し合わせたりしてくれるのが良い。

    ラモちゃんがとても可愛い。
    みんなに外の世界を知って欲しいという気持ちに共感。
    知っていて外に出ないことを選ぶのと、知らないで出ないのでは
    本当に全く意味が違うと思う。

  • ちょっとね脱線が行きすぎかなぁ。
    必然性の薄さを感じる。

  • トクマルの兄を探す旅はつづく。体調に不安があるとガイドに判断され、引き返すことを命じられるも、自らの意志で前進、結局おれたガイドふたりとともに、旅をつづけることに。そして、ある村で、大学に通い、帰省してきていた女子大生、ラモの家に世話になることに。ここが一番と思っている人に、選択肢を示したい、ここしか知らないでここが一番というのと、外も見た上でここが一番と思うのは違うでしょ、と。トクマルとラモがすこしずつ惹かれあうのを見つつ、次巻へ。

  • 熱にうなされて見る夢で、飛天が舞い誘う浮遊感と幻惑の圧倒的世界。また屋内にて低い姿勢で寛ぐ客人に、腰を屈めてお茶を振る舞う様子など、細かい所から大きな所まで、魅力的な絵とお話。
    ただ通して読むと、徳丸が失敗して省みた次の瞬間にまた同じ失敗を繰り返すなど、連載としての構造に引っ掛かりがあって惜しい所も。
    一方でソナムに焦点を当てると、解決はせずともちゃんと進んでいるのが良く伝わってきて、素直に応援したくなる。
    後半に美人で聡明で物怖じせずに行動する、最強の様なラモさんが登場。自分の想いが強過ぎて、同じ形で躓きがちな徳丸とソナムの旅のリズムに良い影響が生まれるか?
    そしてかなり気になるラモさんのこれから。

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著者プロフィール

漫画家、絵地図作家。チベットの少年僧の漫画『月と金のシャングリラ』(イースト・プレス 2020)が第24回文化庁メディア芸術祭マンガ部門審査委員会推薦作品に選出。司馬遼太郎のデビュー作を漫画化した『ペルシャの幻術師』(文藝春秋 2022)が評判を呼ぶ。雑誌等の挿画、挿絵などでも活躍中。

「2023年 『チベット女性詩集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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