あとかたの街(4) (KCデラックス)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 83
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784063772210

作品紹介・あらすじ

昭和20年3月19日、午前2時すぎ。
氷点下4・6℃という寒さの中、
ついにあいの真上にやって来た空襲。
初期は航空機産業を破壊する目的だった。
しかし今、名古屋大空襲は、
無差別に、“市民”に牙を剥く――。
全てが焼かれ、逃げ場はなく、
木村家は乳母車と共に立ち尽くすばかり…。

第44回(2015年度)日本漫画家協会賞コミック部門大賞受賞作!

同時受賞「凍りの掌 ―シベリア抑留記―」新装版で同時発売!!

昭和20年3月19日、午前2時すぎ。氷点下4・6℃という寒さの中、ついにあいの真上にやって来た空襲。初期は航空機産業を破壊する目的だった。しかし今、名古屋大空襲は、無差別に、“市民”に牙を剥く――。全てが焼かれ、逃げ場はなく、木村家は乳母車と共に立ち尽くすばかり…。第44回(2015年度)日本漫画家協会賞コミック部門大賞受賞作! 同時受賞「凍りの掌 ―シベリア抑留記―」新装版で同時発売!!

感想・レビュー・書評

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  • 今年の漫画家協会賞を獲ったということで、読み始めた。4巻まで一気に読む。今まであまり語られてこなかった東京大空襲ではなく、名古屋大空襲を被災者目線で描き切った漫画として、ものすごい力作だった。そして、現代だから描けたのかもしれない、と思う。

    空襲漫画で、1番に思い出すのは、1970年代に「りぼん」で不定期掲載された巴里夫氏の一連の東京大空襲漫画である。それは取材もしただろうが、氏自身が空襲被災者だったことが迫力を産んだ漫画作品群だった。巴里夫氏は第一世代の「空襲漫画家」である。おざわゆき氏は、第ニ世代だ。母親が当時15歳の少女だった。名古屋大空襲で九死に一生を得た。今も健在で、詳細な聞き取りと、ピースあいちなどの協力を得た、具体的な取材の成果によって、当時の社会状況を忠実に再現し、なおかつ人々の感情をも描き切ることが出来たのは、実際あと10年後だったならばむつかしかったかもしれない。

    当時の配給事情、高等科の畑作業や軍事教練、やがて学徒勤労動員、大日本国防婦人会、秘密にされた東南海地震と37日後の三河大地震、三菱工場に空襲、友だちの死、疎開、そして一夜の出来事を一巻かけて描いた名古屋大空襲。役に立たない防空壕、焼夷弾の恐怖、一瞬の判断が生死を分けた家族の避難行動、火柱の群れ、消防団の犠牲、防空壕の蒸し焼き、川の地獄絵、エトセトラ、etc。

    庶民目線から見た「戦争漫画」の名作が出来上がっている。本作は今年の12月刊行予定の第五巻、終戦後「あとかたとなった街」を描いて終わるそうだ。

    2015年8月読了

  • 3月19日未明〜名古屋大空襲(第一派)深夜に照明弾を投下し名古屋産業を壊滅させようと計画的に、爆撃目標を定め迎撃(消火活動も)しにくいのなか、「先に木造家屋が燃えやすいようにナパームを散布してから」焼夷弾を雨あられと落としてきた。財産に執着した者は家屋もろとも焼かれた(まるでボンベイの噴火)。あいたちは大八車に乗せて逃げ惑い、火炎大竜巻に巻きこまれなかったのは幸運、大勢の人が避難した場所が全員死亡の惨状。防火訓練(焼夷弾をすばやく処理)も防空壕もマイナスに/生活基盤を失った被災者を出すのが空襲の目的か?

  • 名古屋空襲、すさまじく卑劣な攻撃に恐怖と怒りで度々本を置いて一呼吸しながら読みました。
    こんな攻撃をなぜ民間を狙って出来たのだろうか。
    戦争は人間1人1人なんてどうでも良いのだな、というのを感じる。

    ミサイルの形状や仕組みもとてもわかりやすく描かれている。

  • 帯文(裏表紙):昭和20年3月19日、午前2時すぎ。氷点下4.6℃という寒さの中、ついにあいの真上にやって来た空襲。初期は航空機産業を破壊する目的だった。しかし今、名古屋大空襲は、無差別に市民に牙を剥く――。全てが焼かれ、逃げ場はなく、木村家は乳母車と共に立ち尽くすばかり・・・。

    目次:第22話「炎上」,第23話「火の道」,第24話「無辜の民」,第25話「果ての街」,第26話「思い」,第27話「残夜」,第28話「鎮魂」

  • この感が1番迫力を感じました。生徒隣合わせの中生きるために必死に逃げ続ける。家族の絶対に生きてやる!!という強い思いが伝わってきました。そして、防空壕の中で蒸し焼きになってしまった人々を見て、少しの違いでこうなってしまうのだと感じてゾッとしました

  • 名古屋大空襲で逃げ惑う主人公一家を描いた巻。火の海で焼け出された人々のリアルな描写にひたすら圧倒された。

  • ただ生き残るために。
    ただ祖国のために。
    あの時の人のほうがよっぽど生きているな。
    今の自分は周りに物がありすぎる。選択していかないといけないと思った。

  • 戦争中に名古屋に住んでいた女の子の体験談。今のところの最新刊。既刊を順に読んで追いつきました。
    実は作者のお母さんが主人公だそうで。4巻は昭和20年に名古屋で体験した大空襲の様子です。

  • 夜間の空襲の最中、家を失い、焼け出された人々が逃げ惑う。米軍が虫けらのように日本人を殲滅しようとしたことに戦慄。

    逃げても逃げても地獄絵。
    防空訓練なんて通じない。防空壕に逃げ込みたかったのに、自分の命が精いっぱい。エゴによって生死を彷徨う。そして、そのエゴによって天罰のように人が死ぬ。

    メインキャラクターの1人があっけなく犠牲になったのには驚いた。作者の母がモデルなので、あくまで作りごとの部分だとは思うが、当時、珍しくはなかっただろう。

    空襲から一夜明けたのち、主人公の旧友の悲劇に立ち会う。焼け出された一家は遠縁に身を寄せるが、そこでも厄介者扱い。

    戦争が怖いのは兵器だけじゃない。
    同じ民族、同じ国、同じ地域、家族、きょうだいが、生き別れになり、そして憎しみあってしまうこと。

    ここまで戦時下の人の荒みを描き切った戦争漫画もないだろう。たまにある、かすかな美談に泣ける。

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