- 本 ・マンガ (196ページ)
- / ISBN・EAN: 9784063773378
作品紹介・あらすじ
史上初、ヴェルサイユ宮殿が衣装、建築、そして王宮儀礼のすべてを監修。壮麗なロココを紙上に再現した惣領冬実の最高傑作!はじまりはヴェルサイユ宮殿の離宮プチ・トリアノン。絢爛豪華な宮殿の喧噪を離れたその場所は、王妃が求めた家族の理想郷だった。21世紀に発表された衝撃の事実をもとに描かれる、全く新しいフランス王妃マリー・アントワネットと国王ルイ16世の物語。この漫画は、歴史に革命を起こす。
感想・レビュー・書評
-
あの惣領さんによる「マリー・アントワネット」!書店で見つけて即買いしました。折しも「ベルばら」再読中だったので、同じ場面を読み比べてみたりと贅沢な読み方を。
まずはストーリーを追うことに重点を置いた一読目。正直「あ、ここで終わり?」と若干物足りなさを感じた方も多いのでは。(アントワネットというと嫁入りからフランス革命までの波瀾万丈の人生という捉え方をしてしまってるので…それはひとえに「ベルばら」や遠藤周作、藤本ひとみ作品からの刷り込みもあるのだが。)元々160ページの企画とのことで、どの場面を描くか苦労されたことと思う。大きくうねるような出来事ではなく、敢えて若かりし頃のマリーとオーギュスト(ルイ16世)に焦点をあてたことが、却ってよかったなと読み返すほどに思う。マリーの少女らしく愛らしいこと!おフランス流に異を唱える率直さも小気味よい。
ちょっとビックリしたのは、オーギュストがイケメンなこと!本来彼は、大柄で博識な人物だったらしい。このように本書では、21世紀に明らかになった事実を描いている。一応マリーはデュ・バリー夫人とも口をきいてたしね(仲はよくないけど)。新婚当初はギクシャクしていたマリーとオーギュストが少しずつ距離を縮めていく過程は、ときめきます。
そして、ヴェルサイユ宮殿監修ということが随所に伺える、豪華絢爛な絵!本当に、溜息が出るほど壮麗な美しさに満ちている。近年読んだ漫画ではトップクラスの素晴らしさ!連載中に腱鞘炎になったとブログで読みましたが、それほどまでの緻密さです。日仏出版社の共同企画なんてビッグプロジェクト、改めて…すごい!
できることなら、もっともっと惣領さん版アントワネットを読みたいと初めは思ったけど、むしろ160ページに凝縮されているからこそ、濃密な世界観に浸れるのかなと思っている。読めば読むほど、新しい発見がある…漫画の域を超えた一冊。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
イケメンっぽいルイ16世が気になって読んだが、こんなルイ、惚れてしまうべ!(最近ルイ16世が好き)
マリーも本当にこんな感じだったら可愛い。
確か、マリー展とのコラボ企画?なんかだよねこの漫画。
マリー擁護漫画だと思うけど、マリーがそんなに好きじゃない私でも楽しく読めた。この漫画のルイとマリー、本当可愛すぎよ……。
でも、フェルゼンの一件を考えると、この漫画のようにマリーがルイ好き好きだったとはあまり思えないんだよなぁ。
本当にこの漫画みたいだったら可愛くてかつ悲劇のカップルだと思うけど。
テレジア母さんが実は口うるさくて怖いっていうのはなんかわかるわ。そして、フランツ兄さんの、二番目の妃について突っ込まれた時の顔が最高(笑)
惣領さんの絵がめちゃくちゃ綺麗で、マリーの時代にすごくあってると思う。できれば革命の頃まで見たかったけど、無理だね(笑) -
「チェーザレ」があるし、こっちに移行されても困る。
とはいえ、ルイ16世とマリー・アントワネットをここまで丁寧かつ魅力的に描いた作品も少なく、ここで終わりは殺生な話だ。
続きが読みたい! -
『チェーザレ』シリーズの惣領冬実さん劇画の作品。マリー・アントワネットの結婚から新婚生活までの描く。ドイツ語名はアントニア。前半は、ウィーンからパリへの輿入れ。何日もかけて馬車でパリに向かう。途中、ストラスブールでオーストリア側からフランス側に引き渡されることで、アントニアからアントワネットへ。
新郎はのちのルイ16世となるルイ・オーギュスト。パリにて新婦14歳、新郎15歳の挙式。アントワネットは王太子妃となる。
当時はルイ15世の御代。オーギュストは15世の孫。オーギュストには未婚の叔母が3人いて、また、ルイ15世には愛人デュ・バリー夫人もいて、対立している。何事もしきたりにうるさいパリの生活。オーギュストは工芸を趣味にし、また時々狩りに出る。アントワネットは読書の時間、叔母たちとのティータイム。しかし慣習を破り、馬に乗ってオーギュストの狩りへ。しきたりに束縛されない自由なふるまい。
しかし歴史は、その自由なふるまいが災いへ転じていくことになるのは、14歳のアントワネットはまだ知らない。 -
借りたもの。
惣領冬実によるマリー・アントワネット。200年来の俗説、過去のコミック作品に描かれたマリー・アントワネット像とはまたひと味違う。
年相応の少女で、思ったことをポロッと言ってしまう。
そういう点では、為政者としての視点にどうしても欠いていたのだろうかと、史実の方にも思いを馳せてしまう。
政略結婚で、少女が文化も言語も違う国に嫁ぎ、宮廷文化のいびつさ(寵や派閥争い、嫌味だらけ、回りくどい言い方)に疑問を持ち、手探りで身の振り方を考えている……
そんな彼女が、プライベートな時間に重きを置いてしまうのは、自身やルイ16世の心の平安のためだったろうか。
晩年の太った姿ではなく背が高くがっしりとした好青年なルイ16世。
マリーとルイ16世のやり取りは微笑ましいが、愛憎渦巻く宮廷の人間関係と政治は不穏な空気を漂わせている。
それをかく乱するかのような、宮殿の豪華絢爛差を惣領冬実は緻密に描写する。
巻末には史実のフランス革命前の人物相関図、宮廷文化についてのコラムも掲載。
実際の肖像画も載っていて惣領冬実の絵と比較出来て面白いが、モノトーンなのが残念……
乃木坂太郎『第3のギデオン』( https://booklog.jp/item/1/4091872972 )も思い出した。 -
ベルサイユから依頼されて書かれた作品
マリーアントワネットの劇的な人生の中のどこを切り取るか、そして今までにない惣領さん独自の王妃の物語を作るらなければならない。
雑誌の連載ではなく、一回きりの作品なので、制約が色々あったかと思う。
今までにない王と王妃像ではあったと思うが、ふたりのこれからの人生の序章という作品だった。 -
ベルサイユ宮殿とタイアップして描かれた、悲劇が起こる前のマリー・アントワネットと後のルイ16世になる夫との出会いとその後の穏やかな関係。絵は溜息モノで美しいが、最新の研究成果を取り入れた話は物足りないかも。
著者プロフィール
惣領冬実の作品





