千年万年りんごの子(1) (KCx)

著者 :
  • 講談社
3.84
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  • (9)
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本棚登録 : 1309
レビュー : 113
  • Amazon.co.jp ・マンガ (168ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784063805789

作品紹介・あらすじ

その花は真白く可憐、その実は甘い蜜を深紅の身に隠す。りんごの木に囲まれた雪深い北の国。東京からムコ入りした雪之丞には両親の記憶がない。捨てられていたからだ……。

デビュー短編集「地上はポケットの中の庭」が注目を浴びる田中相の初連載!

感想・レビュー・書評

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  • こんなにも心ふるえるマンガに、久しぶりに出会いました。
    昭和40年代。捨て子として養父母の元で育ち、早く家を出たい雪之丞。青森のりんご農家のため、婿が欲しい朝日。二人の利害関係が一致し、その見合いを機に即結婚。都会っ子の雪之丞は慣れない農作業と大家族の暮らしに戸惑いながらも日々を過ごしていく。
    そんなある日、高熱を出した朝日の為に大木になっていたりんごをもいで食べさせるのだが、それは禁忌のりんごだった…。
    土地を守る神・おぼすな様の木のりんごを食べた女はおぼすな様の嫁となる。誰もが諦めて受け入れようとする中、その風習にひとり抗おうとする雪之丞。
    捨て子という境遇のため、万事そつなくこなし嫌われぬようつくり笑いで生きてきた雪之丞が、朝日との出会いにより、押さえつけていた感情をどんどん解放していく。巻が進むにつれ変わっていく雪之丞の表情に注目してもらいたい。よそ者であることの疎外感に苛まれながらも、必死で運命に歯向かっていく彼の姿が切ない。
    まさか…とは思いながらも次々に起こる不思議な現象。りんごを食べてから朝日は少しずつ体が小さくなり、若返っていく。じわじわと広がる得体のしれない恐ろしさが息苦しいが、そんな中朝日のまっすぐさ、愛くるしさが救い。明るく、芯が強く、自分の住む土地をこよなく愛する彼女。雪之丞じゃなくても、朝日をおぼすな様に渡したくない!と思ってしまう。雪之丞同様「よそ者」視点で読む読者にとっては、因習に縛られる村人が理解しにくいかもしれないけど…朝日の幼なじみ・陸郎の「おら達はこの軛を負い続けて、末代までこの土地で生ぎる」というセリフがとてつもなく重い。忘れていた様々な伝説や昔話を思い出し、日本人は神という大きな存在のもとで生きてきたのだということを意識させられる。だからだろうか、朝日に起こっている不思議な現象は「ありえない」と思いつつも妙にリアルに感じられてしまうのだ。タイトルにも入っているけど、1巻での朝日の「私だち、りんごの子よ」という言葉は、全巻読了後に心に響いてくる。
    田中さんは青森出身なのかと思うほど、隅々まで丹念に取材して描いており、これが初長編とは思えない完成度の高さ。哀しいのに美しい、壮大なファンタジー。ダ・ヴィンチプラチナ本、文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞に選ばれるのも納得の力作です。全3巻、号泣必至。

    • vilureefさん
      こんにちは。

      めっちゃ読みたくなりました。
      漫画を買うという習慣をとうにやめてしまったのですが、これはどうしても読みたい。
      メイプ...
      こんにちは。

      めっちゃ読みたくなりました。
      漫画を買うという習慣をとうにやめてしまったのですが、これはどうしても読みたい。
      メイプルマフィンさん絶賛ですものね、間違いないですね(*^_^*)
      2015/03/25
    • メイプルマフィンさん
      vilureefさん:コメントありがとうです!
      私はツタヤで借りたのですが、ハマりすぎて、返却日まで毎日みっちり読み込み過ぎ、目覚めるなり...
      vilureefさん:コメントありがとうです!
      私はツタヤで借りたのですが、ハマりすぎて、返却日まで毎日みっちり読み込み過ぎ、目覚めるなり「おぼすな様」のこと思い出して寒気がしたほど(子供か!)。
      世界観としては角田光代の「かなたの子」に通じるものがあるかなと思いました。
      若干展開を急いだ部分はあるけれど、それを差し引いてもワタシ的には☆5です。
      マンガだとどうしても絵の好みとかあるけれど、このスケールの大きさはマンガだから表現できるのかなと思いました。
      よそ者が閉鎖的なコミュニティの中で生きていくのって本当に大変ということがよくわかるだけに、雪之丞の行いが一つ一つ胸に迫るのです…。
      ネタバレせぬようレビューには苦労しましたが(^_^;)機会があれば、是非読んでみて頂ければと思います♪
      2015/03/25
  • 蟲師を読んでいた時の不思議な気持ちを思い出しつつ。
    よそ者としての疎外感と子供の頃から身につけてきた処世術、1人の女性と出会ったことで強く変わり始めた婿の姿。
    *
    林檎の花ってとても綺麗よね。
    いつか庭に植えたいな。

  •  タイトルからほのぼのハートフルな話かなと想像しましたが、なかなかシリアスな物語で驚きがありました。
    捨て子だった男子がとある田舎のリンゴ農家に婿入りします。古い言い伝えを知らないまま、禁忌に触れてしまい、その禁忌がもとで静かだった生活がいっぺんします。
     人の顔色を伺いながら、当たり障りなく平穏に暮らしたい男子の思惑がはずれ、とんでもないことになってゆく中で強く自分を主張してゆくような道筋がみえる一巻でした。
     不思議なリンゴの木を描いたシーンがとても幻想的で印象に残りました。
    続きが楽しみです。

  • 何も知らずに読んだので、温かみのあるりんご産業の話なのかと…。
    所々ぞくっとするところがあった。
    かごめかごめの怖い話を聞いた時と似てるぞくっと感。
    でもいいなぁと思ったのはお見合いで即決だった結婚なのに、お互いをすごく大切に思っている所。この2人ならなんだかいい方向に行くんじゃないかな。2巻読みたい。

  • 第1〜3話+取材記「りんごのまち弘前」+おまけマンガ「花と鉄」収録。1970年頭の青森の、りんご農家の長内朝日の元に入り婿としてやってきた雪之丞。彼は実の親から捨てられたというレッテルが自身の中で消化できず、優しい育て親たちから離れたくて選んだ道であった。二月の半ばのある日、雪之丞は、黒森で大きなりんごの木を見つける。高熱を出して寝込んでいる朝日にと、その樹から数個りんごをもぎ取り、帰宅後彼女に与えた。しかし、実はその樹は「おぼすな様の木」として、村で崇められた存在であった──。
    絵といい世界観といい、田中さんほんまに新人なのか疑ってしまうほど上手い。カバー裏の「津軽林檎新聞」がすごい。おぼすな様のこと、こんなに大事なことはもっと早くに話といてよ!と雪之丞の代わりに怒りが沸いてくる。まあ60年も眠っていた忌まわしい呪いなんて忘れたいだろうけれどさ。そして選ばれてしまったのに、気丈に振る舞う朝日が切ない。雪之丞も、朝日や家族から頼ってもらえないの哀しいよね。いつも何事も笑顔で、自身が傷付かないように振舞ってきた雪之丞。しかしこのままだと朝日の身が危険と知り、動き出すことに。

  • まだ始まったばかりだなあ。短編が巧い人なので期待。ただ1巻でここまでって進行遅くないかなあ。そこが心配。

  • ゆるやかな田舎の日常とかリアルとか日々の暮らし、生活。……いつの間にか深く沈んでゆくのは知らなかった場所。
    じんわりと立場がゆらぐような読み心地がする。

  • 怪談を読んでいるような感じ

  • 1巻
    つまらない。ちょっと怖い。作者の自画像怖い笑

  • 2012-7-19

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著者プロフィール

たなかあい/三重県生まれ。 漫画家。 『千年万年りんごの子』で第16回文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞受賞。 そのほかの作品に、 短編集『地上はポケットの中の庭』、 長編『LIMBO THE KING』『その娘、 武蔵』(すべて講談社)などがある。

「2020年 『怪奇漢方桃印 ぴったりなのね 木偶人形心丹』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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