昭和元禄落語心中(6) (KCx)

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 67
  • Amazon.co.jp ・マンガ (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784063807080

感想・レビュー・書評

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  • なんか少し難しく深くなってきた印象。

  • (ネタバレがございます。また小夏に対してたいへんに厳しいことを書いております)

     いよいよ与太郎が真打へと昇進いたしまして、それに伴うアレやコレやが勃発してまいりました。
     たとえば、前座時代ではとくに気にもされなかった元やくざのしるしである刺青であるとか、助六がちらついて『与太郎』そのものの落語ができていなくって「あんなもん紛いもんでしかネェや」と批評されたりであるとか。
     偉大である師匠がふたりもいる。八雲と助六。
     重く苦しいプレッシャー。
     たかだかねたと、噺と、わらうひともいる。けれど、演じるものからすれば、「たかだか」なんてェもんじゃないんです。

     そうして、その裏ではしんしんと雪が降り積もるように黒い黒い思惑が見え隠れする。
     八雲はやはりまだ小夏に、おのれを殺してくれ、と乞う。助六を、そしてみよを殺してしまったから。だが小夏は殺さない。殺せなくなったわけでもない。やはりまだ殺してやりたいと言い含む。だが子を持ったせいか、それとも与太郎という存在があるからなのか、未だに殺すことは、できていないのです。

     小夏は
    「自分が母親とおンなじようになるのがいや」
    と言っていたけれど、子を産んだという点ではまるきり母と同じような路を辿っているじゃねえかと鼻白んでしまいました。
     ちなみに相手は、与太郎の属していたやくざのオオモトでごさいました。親分というやつですね。みよの勤めていた料亭の女将さんは、親分の愛人をしておりました。なにこのグダグダ。
     かたくなに父親が誰だと言わなかったのは、相手が相手であったからなのでしょう。やくざものの、しかも妻帯者と。ええそうよ、女将さんが
    「こんな修羅場も気にしないようでなきゃ愛人稼業なんかつとめらんない」
    という旨の話をされておりましたから。それに与太郎の兄貴分もその旨お話されておりましたから。
     ……おい、おい、せめて独身ならまだしも不倫かよ。
     ――気持ち悪い、と思いました。
     名も知らぬような人間と性行為して子をなすのも気にはならなかった。小夏には小夏の生き方があり、母を嫌悪するもそういった観念はどうしてもしがみついてくるものだから。まるきり無視もできないでしょう。
     でも、なんだって、妻もいる、人間と!
     包容力?
     ばかじゃねえのか。
     それこそおまえが疎んでいた『みよ吉』の生き方そのまんまじゃあねェか!!
     自分を抱き留めてくれるとのっかかる人間そのまんま!!
     嗚呼、もうなんて気持ち悪い。
     これだったらゆきずりの男と致して子をなしてくれていたほうがよっぽどよかった!
     やくざは関係ない、恋人がいるというのも恋人なら別れることもあるし婚約者じゃなけりゃ気にはならなかった。
     妻帯者と体の関係を結び子をなしたという部分が気持ち悪くて吐き気がする。

     ……その点で、この一冊はどうにもわたしの評価がばっきりと割れてしまいました。まあ多くの読者からすれば全然なんてことはないのでしょうが。

     子供のことがひととき片付いて、八雲と与太郎、なんと親子会をすることになりました。
     そこで『居残り』をやってみろィと八雲から言われまして、ご教授を承ります。ええ、八雲が『居残り』を与太郎のために語るのでございます。
     そしてそれは八雲の『居残り』ではなく、『助六』の居残り。
     聴いたとたんに与太郎の全身に、興奮と某しとでぶわあとさぶいぼがたちます。
     八雲のかけらは、ひとっつもない。
     ただただ其処に在るのは、助六のすがたのみ。
     与太郎は風がたなびく暗い夜、師匠から承った『居残り』を一心不乱に紡ぎます。
     風に乗って届くその音と声に、小夏はこってりと子供に寄り添い、
    「父ちゃんの落語が聴こえるよォ」
    と微笑むのでした。

     いつのまにやら真打にまで昇進しちまっていて、与太郎っぽさがねェなあと微笑んでしまいました。
     そしてともかくは、小夏。
     わたくし、次巻以降もグダグダんなっていたら、哀しくって仕方がありません……。

  • ずと与太が可愛い可愛いと言っていたけど、6巻は本当に与太が愛おしかった。愛おしい、ホントに。

    与太が与太としてあの場にいることで、流れていく様々なことが本当に好きです。
    それを一番ハッキリと自覚しているのは、松田さんなんじゃないかなぁ。
    気付いていて、直視しないようにしている師匠と小夏さんは、本当に似た者同士。
    やっぱり私は師匠×小夏推しなんだな。
    与太には誰よりも幸せになって欲しいとは思っているが。
    でもあの二人には敵わない。

    その私の気持ちは、いつかあの赤ん坊が変えてくれるような気がする。
    繋がっていく愛を、あの子がまた違う形で見せてくれそうな気がして。
    楽しみです。

  • 小夏の子の父親にぶつかりにいった与太郎かっこよかった。
    そのあとの与太郎のセリフがとても素敵で印象に残ってる。

  • 与太ちゃんに戻ったねー。でもやっぱり八雲師匠…あんた罪なお人だよ…そっちにしか目がいかないよ…。小夏のアレコレはなにか意味があるんだろうか。相手がわざわざその人の意味が。

  • 与太郎の話は心がスッとして良いなぁ。
    小夏とも丸く収まったし、このアレやコレやが与太郎の落語にどう影響していくのかねっていう。

    カバー裏が家族写真風なのがムネアツ。

  • 断然八雲師匠ファンだねあちきは。

  • おもろい。

  • 真打にはなったが『自分の落語』がわからず、伸び悩む与太郎。偉大な師を持つと苦労するのは世の常として、バカはバカなりの落語あるはずと。素直で真っ直ぐで落語がすごく好きな与太郎。大根多の『居残り』に挑戦することになります。
    小夏との結婚生活を幸せにすることができるのか?死にたがりの師匠を現世に引き留めることはできるのか?
    全ては与太郎の落語の出来次第…です。

  • 『新宿ラッキーホール』でも感じられたが、くもはるさんの漫画には「怖さ」がある。その後に来る人情は「付け足し」ではなく、登場人物が発する気迫が招き寄せる迫力がある。人間関係の揺さぶりを表現するのに、この人の描く多種多様な表情「絵」は心底漫画が好きな人だから成せる職人芸だと思う。

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著者プロフィール

漫画家。2008年、短編『窓辺の君』でデビュー。2010年より初の長期連載『昭和元禄落語心中』を「ITAN」(講談社)にて執筆開始。2014年第18回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、第38回講談社漫画賞・一般部門を受賞。2017年手塚治虫文化賞の新生賞を受賞。同作完結後は三浦しをん原作の『舟を編む』をコミカライズ連載中。そのほかBL作品を多数発表。

「2017年 『落語の入り口』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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