昭和元禄落語心中(10)<完> (KCx)

著者 :
  • 講談社
4.30
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本棚登録 : 621
レビュー : 49
  • Amazon.co.jp ・マンガ (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784063808766

作品紹介・あらすじ

都内でただ一軒残っていた寄席が焼失。
燃え盛る炎から間一髪救い出された八雲は、
自分の落語に絶望しながらも、なんとか生き延びた。
それから幾日、春の東京に訪れたある日。
与太郎こと三代目助六は、小夏との念願を叶えた事を知る。
満開の桜の中、ようやく八雲に正直な気持ちを伝えようとする小夏。
そんな中、「助六」の落語が聞こえてきて、二人を温かく包むーー。

落語を愛し、落語とともに生きた八雲と助六の物語、
ついに完結――!!

都内でただ一軒残っていた寄席が焼失。燃え盛る炎から間一髪救い出された八雲は、自分の落語に絶望しながらも、なんとか生き延びた。それから幾日、春の東京に訪れたある日。与太郎こと三代目助六は、小夏との念願を叶えた事を知る。満開の桜の中、ようやく八雲に正直な気持ちを伝えようとする小夏。そんな中、「助六」の落語が聞こえてきて、二人を温かく包むーー。

感想・レビュー・書評

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  • 全10巻読了。八雲の表紙で始まり終わる…ブレルことなく常に彼を軸にしたドラマチックな作品だった。それにしても八雲の口癖「好きにしな」が身に染みた巻。最初は信ちゃんの出生フラグを見落としたかと思い読み直したが多分そういう事ではなく、口では全否定・全拒否するも最後には相手の望みを全て受け入れてきた受身人生を毎巻重ねてキタからこそのオチかなと思う。「人間なんてな そんなような訳のわからねぇ心持ちでできてんだ 落語みてェになぁ」と小夏に言う八雲。生涯、助六としか指切りしない八雲に女性に対して特別な想いがあるとは思えない、笑。相手に委ね揺られて辿り着いた先が、信ちゃん。与太郎と小夏を見てもそうだけど(こっちの子どものがビックリ)男女のやりとりを端折り落語を全力で魅せたと思う。24歳前後の信ちゃんが拝めて妙に満足度が高い最終巻でした。

  • 終わった。ついに終わってしまった。何代にも渡る人々の人生を通して、ここまでの完結が待っているとはさすがに思いもしなかった。与太郎の最後の死神は震えた。

    信之助の父親はまぁ、だろうなぁという感じだったが、それで良かったのかもしれない。

  • 菊さんが人生を、自分の落語を全うできて本当に良かった〜と心の底から思ってます。与太ちゃんはみんなを繋いでくれて、立派な噺家さんになって、小夏も幸せにしてくれて。信ちゃんマジでイケメンだし、初天神の描写は鳥肌モノ。松田さんの最後の涙は抱きしめたくなる。そしてラストの寿限無〜!信ちゃん見つけたときのあの笑顔〜!こんな素敵な作品をつくってくれて本当にありがとうと作者の方に伝えたい…!そして最終話載ってたITAN買った後、その前の数話も我慢しきれず電子書籍で購入して数十回読んだのにも関わらず、こんな大げさなレビューが書ける自分が恐ろしい!

  • この漫画のタイトルは「昭和元禄落語心中」。タイトル通り八雲は当初落語と心中しようとしている。いつだって心中してやると思っている八雲を引き留めるのは、みよ吉と先代助六が遺した娘・小夏であり、突如弟子として押しかけた与太郎であり、小夏の息子・信之助であり、「あなたの落語を後世に残したい」と言った樋口も含まれるのかな。
    兎に角心中しようとする八雲をみんなで止める……そんな構図が浮かびます。
    でも、実は、八雲の命を一番縛りつけていたのは彼自身の生への執着。
    高座から客席を眺め「美しい」と思ってしまったあの瞬間から、もう八雲は自分で命を絶てなくなってしまった。そのことに気が付いたのは前の巻のラストかと思います。与太郎を見て「死にたくない」と口にしたあのシーン。

    一巻の初めの方を見ると、与太郎の成長譚がこの漫画のメインなのかなと思う。確かに与太郎の落語家としての成長もメインではあります。自分の落語とは何か、思い悩むシーンもきっちり描いてありますし。
    与太郎と言うのは落語の天才なのかというと、私はそうじゃないと思う(才能はあるけど八雲や先代助六の方が上な気がする。与太郎本人もそう言ってるし)。でも、大好きなのは確か。
    与太郎は多分、人が好きなんです。大好きな人たちに大好きなものを伝えたい。大好きな人が楽しくしててほしい。与太郎の気持ちは終始一貫これだったと思う。
    作中で樋口が言ってましたが、落語というのは口伝で伝わっていくもので、それは時として、聞き手の感情によって変わって行くものでもある。
    落語は聞く人に沿う。これは樋口さんの持論であり、この話を通じて言いたいことの一つでもあるように思います。
    「人が大好き」である与太郎は、まさにその「人に沿う」ことを得意としているし、「ただ面白い話を演じる」無我無欲の彼の落語は、ただただ純粋に、落語の楽しさだけを伝える。我を押し付けないということは、聞く人を信用しているというか、聞く人の色に染めてくださいということでもある。
    「聞き手ありきの落語」というこれからの落語に求められるものを、誰にも教わらずに習得しているのが与太郎。
    この与太郎の想いが、最終巻まで来て師匠である八雲の型を破ったのだと思います。
    八雲は与太郎のこの想いに触れ、自らの生への執着をはっきりと自覚した。
    独り、高座で「死神」を演じた時、八雲が見たのは自分をとり殺そうとする助六だった。
    しかし、生への執着をはっきり認識し、天寿を迎えた後に八雲が見た助六は、八雲へねぎらいとお礼を言う。
    与太郎……いや、三代目助六の「居残り」、聞けなかったのか、八雲師匠。惜しむらくはそこかなと。

    八雲が亡くなった後、場面は一気に飛びます。
    小夏の息子・信之助も噺家の道を選んでいて、菊比古を襲名する。
    小夏も高座に上がるようになっており、小夏と与太郎の娘・小雪も、聞く方専門だけど落語好き。
    与太郎たちの活躍で、落語界は盛り上がっている様子。
    大団円という感じですか、最終巻に隠された最大の爆弾がここで炸裂。

    この漫画に長きにわたって存在した謎、「信之助の父親は誰か」という問題。
    一応はやくざの親分ということで肩が付いたと思ってましたが、八雲のまわりをずっと追いかけていた作家の樋口が一つの推理として小夏に語ったのは「信之助の父親は八代目八雲」。
    小夏は肯定はもちろんしてないし、はっきりと否定もしてない。
    はっきり言うと私も最初は「嘘やろ?」と思ったんですが、5巻終盤で、線香の煙とともに見えた助六に対し「娘をあんな風にして」と八雲が詫びていたり、6巻の初めの方で「坊主(信之助)がいるから死ねない」と言うシーンや、最終巻、八雲が亡くなる直前の小夏との会話などを見直すと「そうなのかな…」と思えてくる。
    八雲が信之助を意味深に抱きしめてたりするシーンもあるし。
    この展開は切ない……いや、違うな。凄まじい……? 八雲の落語心中を引き留めたのは与太郎だと思ってたけど、実は小夏の決断が8割だったのでは…と価値観をひっ繰り返されそうになります。
    いずれにしても、八雲と助六という大名跡の残した光は落語会にずっと残るし、それらを取り込んだ新しい光も生まれることでしょう。


    最後に声を大にして言いたいのは、信之助くんが私の好みのどストライクだということです。
    天パ眼鏡の草食系っぽい感じ、たまらなすぎて辛い……。
    ああでも、八雲さんの若い頃もやっぱいい…ああ…(錯乱)。

  • 八代目、うまいこと逝きゃあがったなぁ。
    いっそ自分もろとも落語の息の根を止めてやろう…という題意もあったようだけど、先に逝った人たちも後に続く者たちも、よってたかってそれを許さなかった。芸に身を削ったこと、誰も放っといてくれなかったことが、桜の季節の救いにつながっていったよう。佳い物語に出会えた。ご馳走さまでした。

  • 本当に素晴らしい最終巻。こんな終わりとは。途中から鳥肌がたち没入した。「憎しみも執着も嫉妬も羨望も。若い私にはかかえきれないほどたくさんね。けどそれって簡単にまとめたら恋って感情だったんじゃない?いまなら思えるわ。そんな気持ちどうにドブに捨ててやったけどね。苦して辛くて若いってめんどうね。」作者は、落語への愛と台詞力と構成力で、芸、人のどうしようもならなさ、人を慮る心を描き切った。素晴らしい漫画だと思う。

  • この漫画の主人公は結局のところ、八雲師匠(菊さん)だったんですね!笑
    というくらい、菊さんあってのお話でしたね。

    小夏さんについても賛否両論あるかと思いますが、昭和の時代なんで…そんなもんかなという気がしています。

    「苦しくて辛くて若いってめんどうね。一生戻りたくないわぁ。」の老いた小夏さんのセリフも素敵だと思いました。

  • 完結。
    最終巻も与太郎はあんまり主人公っぽくなかった。
    与太郎が八雲を好きすぎるせいで主人公を譲ってしまったのか、あるいはこの漫画の主人公は「落語」そのものなのか。
    この作品のおかげで落語の面白さを知ったので、読んでよかったと思う。

  • 八雲死後の現代における、与太郎や小夏など登場人物それぞれの年の重ね方が素敵だった最終巻。八雲襲名後の与太郎の落語の席では仕草や恰幅のよい着物姿などで、貫禄も表現されていた。
    極楽浄土の描写が、夢のようでいて祭りのあとのような儚さや寂しさもあり、美しかった。最後まで、黒の使い方が印象的な漫画でした。もう一遍通しで読んでみたい。

  • 当初は始まっていきなり、八雲の若い頃の話へと移り、主人公(よたろう)どうなったんだ?みたいな展開でしたが、巡り巡ってなかなかの大団円となりました・・。という感じで満足です。
    特に八雲師匠の道行への移行は、ものすごく上手く作られていて、作者のこの話への愛を感じました!
    作者が最後に書いていらっしゃいました「落語と漫画のある国に生まれてよかった」に大拍手です。

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著者プロフィール

漫画家。2008年、短編『窓辺の君』でデビュー。2010年より初の長期連載『昭和元禄落語心中』を「ITAN」(講談社)にて執筆開始。2014年第18回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、第38回講談社漫画賞・一般部門を受賞。2017年手塚治虫文化賞の新生賞を受賞。同作完結後は三浦しをん原作の『舟を編む』をコミカライズ連載中。そのほかBL作品を多数発表。

「2017年 『落語の入り口』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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