- 本 ・本
- / ISBN・EAN: 9784063813180
感想・レビュー・書評
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私の中の『奇異太郎少年の妖怪絵日記』を引きずり倒せるだけの腕力を持っている、妖怪漫画が現れた事に驚きを禁じ得ない
前作の『むこうがわのまさか』も読んだが、雨鳥先生の絵柄は妖怪漫画でしか真価を発揮しない類のものだ、とすら思ってしまうほど
人間vs妖怪、妖怪vs妖怪などの判りやすい対立があるバトル系とは違う、日常漫画だからこその緊迫感があり、尚更、優しくも甘くはないストーリーは読み手の心に踏み込み、くっきりとした跡を残していく
読んでみて心が実際に震えたからこそ、あえて包み隠さずに書くが、正直、帯にこの文句が付いていなかったら買わなかったな
妖怪漫画好きで、この帯を見てしまったら買うしかない。この帯の文句を考えた人は、妖怪漫画好きの弱いトコを熟知しているようだ。悔しいが、完敗であるw
内容は、そんな奇抜な物ではない
少年が家族になってくれた妖怪と親交を深めながら、毎日を精一杯に、自然体で全力で楽しんでいる日常系
緩くはあるが、鈍くはない
妖怪の姿にオリジナリティがある、それもまた、この『ばけものだらけ』の外せない魅力では確かにあるも、私としては主人公であるヨタの性質にあると思っている
性格は子供らしく、純情で素直。自分を飾らず、何事にも寛容で、怖い物知らず。しかし、性質は、何と言うのか、正に傾きすぎているように思えてならない。心が綺麗すぎ、澄みすぎ、真っ直ぐすぎで危なっかしい。歪んで捩じれているよりかはマシだが、汚れが微塵もなく、万象あらゆる物を躊躇なく受け入れられてしまう性根も、それはそれで不気味なものがある
もっとも、その光が内側から溢れている天真爛漫さに、袋貉を初めとした妖怪らは惹かれ、側に身を寄せる事を選び、い続けているんだろう
妖怪に好かれる才能がズバ抜けて高い、妖怪漫画の主人公らしい主人公
個人的に好きな妖怪は、犬神の吠
とりあえずの結論としては、あっけらかんとしていられる好い馬鹿は強い、ってコト詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
オビのアオリ「鳥山石燕に学び、月岡芳年、河鍋暁斎、歌川国芳に耽溺し、水木しげるを敬愛する平成の妖怪絵師」がとてもいいできだったので購入。もともと妖怪物が好きだし。
昭和3,40年代風の世界で、妖怪のことは「妖」とかいてバケモノと読ませてる。この辺、アヤカシだと夏目友人帳とかぶるし難しいところ。妖怪は主人公の家族として描かれる。夏目はもちろん、百鬼夜行抄やぬらりひょんの孫なんかとも違う雰囲気。夏目が「優しい」なら、こちらは「あたたかい」印象。ほのぼのして安心して読めます。 -
“「まぁオレらも犬神のことは言えないけどな
ヨタに聞かれてつい教えちまったんだからよ
名前は呼ばれるとどうしても逆らえなくなるオレたちの一番の弱点だってのに
でもヨタにはそんなことどうでもいいことだからな
本っ当にただ名前聞きたいだけだもんな」”[P.25]
試し読みで、妖を兄ちゃん呼ばわりしているのに一目惚れして買ったら面白かった。
1話で番犬を登場させての主人公の紹介風。それ以降が家族の紹介みたいになってて、次巻からはどう話が動くのか気になる。まだ女郎蜘蛛の話してないしね。
http://magalabo.kodansha.co.jp
“「かくれ里は先の見えないまっくらをのぞかないと行けないんだー
場所はいっつも変わっちゃうけど」
「ふーん」「大変だな」「なーヨタ かくれ里ってどんなとこなんだ?」
「分かんない 何回行っても景色 忘れちゃうんだ
ひいばあちゃんのことはおぼえてるんだけど」
「んな所行って大丈夫か?」「ちゃんと帰ってこいよ」
「うん!」”[P.84]