亜人ちゃんは語りたい(1) (ヤンマガKCスペシャル)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784063825787

作品紹介・あらすじ

サキュバス、バンパイア、デユラハン。僕ら人間とちょっとだけ違う、それが「亜人」。
そんな亜人の生態に興味を持つ高校生物教師・高橋鉄男と、生徒である「亜人」ちゃんたちとの少しだけ刺激的な新学期がスタートした!

僕らと少しだけ違う「亜人」、最近では「デミ」と呼ばれています。(demi-humanから来てるらしい)。キュートな悩みがあるのです。規格外新人ペトスが描く、とびきりカワイイハイスクール亜人コメディ第1巻!

感想・レビュー・書評

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  • サキュバス、バンパイア、デュラハン、雪女など、
    この世のどこかには必ずいると言われた
    特別な性質を持つ人間を「亜人」と呼ぶ。
    神話やおとぎ話のモチーフにもなっている亜人は
    かつては迫害の歴史もあったが、
    近年では差別もなくなり
    彼らが持つ特別な能力も
    一つの個性として認められるようになった。
    (日常生活を営む上で不利な点を持つ亜人に対する生活保証制度も存在する)

    そんな時代のお話…。


    舞台はとある都市にある柴崎高等学校。
    主人公はこの高校に来て4年目の生物教師、高橋鉄男。

    彼は大学時代、亜人についての研究で卒業論文を執筆しようとしたが、当時はまだ世論がどうの倫理的にどうのという理由で許可が下りることはなかったという過去を持っている。

    ある年の新学期、
    いまでも亜人に興味津々な彼の前に
    数学教師として亜人であるサキュバスの女性が赴任してきたからさぁ、大変!
    ついに念願の亜人と会えたと思った矢先、
    新しく新一年生になった生徒の中にも
    次々と亜人たちが現れて…

    というシュールでキュートな学園コメディ(笑)


    いやいや、コレはスゴい漫画発見!
    斬新な発想と瑞々しい感性。
    キャラ立ちしまくった個性豊かな登場人物たち。
    2015年5月度の「このマンガがすごい!」ランキング オトコ編で1位を獲得した実績も頷ける、
    新人が描いたとは思えない完成度の高さやと思います。

    モンスターや妖怪、人外が出てくる漫画やアニメは昔から存在していて、
    古くは「妖怪人間ベム」「デビルマン」「うる星やつら」「うしおととら」、
    最近では一世を風靡した「妖怪ウォッチ」、ネクストブレイク漫画の筆頭に挙げられる「魔法使いの嫁」、ケンタウロスの奥さんが登場する「竜の学校は山の上」、
    アニメ化も決定した 「モンスター娘のいる日常」などまだまだあるけど、
    その系統と比べても
    またひと味違う斬新な個性が光ります。

    キュートな女性キャラが沢山でてくるコメディでありながら
    キャピキャピし過ぎずドタバタに走り過ぎることもない、
    どこか抑制された質感が
    クールで新しいし、僕個人にとってもそこがツボでした。
    (扱っているテーマが異形の物である亜人なだけに、どこか哀しみを感じさせるのも一つの理由かも)


    ではでは、個性豊かな亜人ちゃんたちを紹介。

    いつも元気なムードメーカーで友達思いのバンパイアの亜人、
    1年B組の小鳥遊(たかなし)ひかり。
    (表紙の女の子です)

    甘えんぼう体質で抜群のプロポーションを誇るが
    気が弱く奥手な性格な
    頭と胴体が分離したデュラハンの亜人、
    1年B組の町 京子。

    男子にモテモテのアイドル的風貌だが熱射病でいつも倒れてしまう
    雪女の亜人、
    1年A組の日下部 雪(くさかべ・ゆき)。

    あえて女を封印し地味な身なりで男を遠ざけることことに日々神経を使う(泣)、
    そばにいる人を淫らな気持ちにさせてしまう
    サキュバス(淫魔)の亜人、
    新任の数学教師、佐藤早紀絵。

    などなど、傷つきやすく仲間思いで
    恋に恋する亜人たちのキャラが
    ホント素晴らしい出来。
    (亜人であるがゆえに恋に臆病なそれぞれの心情が切ないのです)


    小鳥遊が言う
    「亜人という呼び方は古い!
    女子高生や若いコの間ではデミって言うの!」
    というセリフに込められた彼女たち亜人の心情。

    自分たちを卑下したり特別視することなく凛として生きる
    このセンスにしびれました(笑)


    バンパイアといっても基本的には
    国から月一パックで血が支給されていて
    あとはトマトジュースとレバーを積極的に摂取すれば
    のべつまくなしに人を襲ったりはしないらしいし(笑)
    (でもたまに牙を刺して人の血を吸ってみたいと思うこともあるらしい笑)

    遺伝ではなく突然変異で亜人となるため、
    小鳥遊のように
    同じ家族でも娘だけが亜人となる場合があって、
    「家族用の冷蔵庫には血液パックを入れないで」と普通の人間である双子の妹に怒られたり(笑)
    いろいろ苦労があるのです。
    (生まれた時から白髪の娘を気遣い、自分の髪もワザと白くしている小鳥遊のお父さんのさり気ない優しさにもグッとくる)

    世界に3人しかいないデュラハンの町 京子は
    その性質上なにより孤独が嫌いなのだけど、
    頭が本来あるべき場所から炎が吹き出し
    いつも頭を手で抱えている特異な容姿のため、
    クラスメートが引いてしまって
    なかなか友達ができなかったり、
    (そりゃ誰でも怖いわ!)

    そばにいる人をすべて催淫(さいいん)してしまうサキュバスの能力を持つ数学教師の佐藤早紀絵が一番悲惨で(笑)、
    性を想起させないよう常にダサいジャージなどの地味な身なりやふるまいをし、
    集合住宅にも住めず
    (人里離れた山奥に住んでます笑)、
    通勤電車もラッシュ時は危険なので避け、終電や始発に乗らないといけなかったり、
    (自制心の利かない睡眠時は他者にも淫靡な夢を見せてしまうので、どんなに疲れてても電車内での居眠りも厳禁!)
    亜人たちが社会でまっとうに生きるのはホント大変なのです。

    笑いの中に
    そんな亜人として生きる上での苦悩も見え隠れして少し切なくもなるし、
    読んでいるうちに
    可愛いくも健気に生きる亜人たちを応援していきたくもなるんですよね。


    これから雪女である日下部 雪の秘密が明かされるだろうし、
    彼女たち亜人の不器用な恋模様も絡んでくるだろうし、
    彼女たちが密かに思いを寄せる高橋鉄男の行動も気になるところ。

    まだ1巻しか出てないので
    キュンとして面白い漫画をお探しなら
    絶対オススメです!

  • 普通の人間とは異なる性質を持った「亜人」と呼ばれる存在が居て、それは特殊であるがゆえに倫理的問題を孕み簡単に扱うことを良しとしない。だから亜人に興味があった鉄男も簡単な研究すらすることが出来なかった
    ……のだけど、そんな亜人が普通に高校に何人も居るという不思議。特殊な存在なんだから保護しろなんて言うつもりはないけど、こんなあっさり何人もの亜人に出会えてしまうとはちょっと都合の良すぎる展開と思わなくもない。
    けれど、この作品で描こうとしているのは「特殊な存在である亜人」ではなく、「日常の中にいる亜人」なんだろうなと思う
    だから、あれだけ会いたがっていた亜人に会えた鉄男がすることは日常を脱しない程度の会話だし、時には教師として生徒に向き合うように亜人に向き合う

    亜人の方も自分が特殊な性質を抱えている自覚は有っても、同時に自分は普通の人間でありたいという感情は有るだろうね。でも、やっぱり自分と他人に違いの原因が有るとすればそれはやっぱり「亜人」であることに求めてしまいそうになる
    そういうことが現れたのが第7話で描かれた雪への陰口であり、それを受け止めての雪の涙だったのだろうね
    雪を庇い陰口への文句は言いつつも、雪には雪の行動を促したひかり。文句を言う際のひかりは「亜人」であることを理由にしない。単純に一人の人間として陰口を言っていた生徒に文句を言う。
    だからこそ、雪も「亜人」であることよりも、それによって生じてしまった態度を謝る
    ここで誰も「特殊な亜人」であることも「普通の人間」であることも理由にしないから、性質の差は壁にならず和解を求めることが出来る。
    本作の方向性をよく表しているシーンであるように思えた

    ただ、それでも亜人ならではの大変さや苦しみは有るわけで
    鉄男がひかり達三人に助け合う関係性を用意し、同時に自分は教師として三人を見守る立場である宣言する流れは良いなぁ
    ……その後のハグ大会になる流れについても思わず良いなぁ、と呟きたくなるけど

  • あまり期待していなかったけど、あぁ!なんてすばらしい漫画なんだ!

  • 登場人物たちがとても魅力的。この作品の最も優れているところはまずそこ。社会的マイノリティな存在である彼女たちはそれぞれの方法でマジョリティとのギャップを埋めようとする。ギャップを乗り越えた者、乗り越えようとする者、乗り越えるのを諦めようとする者、乗り越える事に畏れを抱く者。それぞれの立場の者がどうやって日常生活を営んでいくことができるのか。舞台はすべて学校と家のみに絞り、登場人物たちの最低限の社会で話は進んでいく。なんにせよ良作である事に間違いは無さそうです。そしてみんな自分の存在に悩んでいる。
    物語の主軸に置かれる高橋先生は皆をしっかりと受け入れてくれる存在で、大層頼りになる風ではあるけども、よくあるフォーマットの「亜人を偏見なく受け入れる」存在ではなく、「亜人は亜人。人間は人間。」ある程度の偏見を持ち、ある意味野次馬的な興味も持つ。実際それが普通であり、この物語に聖人君子は必要ない。吸血に性的要素を見出し、デュラハンのおっぱいに戸惑い、サキュバスに触れて欲情する。そんな人間臭さが素晴らしいと思う。

  • 試し読みで心を掴まれた。亜人って怖い漫画のやつかと思ってたら大きな間違い。
    高校生のバンパイア、デュラハン、サキュバス等の亜人<デミ>ちゃんたちが、教師の高橋先生たちと織りなす、メチャカワ高校生活物語。

    今の高校に来て4年間(というか人生で一度も)亜人に会ったことのない高橋先生。そのわりに、亜人がどんどん登場してくるのはご都合主義的な展開。
    まあ、そこに目をつむれば、小鳥遊は可愛いし、サキュバスの佐藤先生も可愛いし、皆可愛い。
    小鳥遊のうなじを狙う目つき、佐藤先生のけなげな振る舞いはたまりません。

    ただ、高橋先生が問題教師すぎて怖い。
    小鳥遊に「なんだかエッチっぽいな」と発言するし(確かに同感だけど)、町京子に「抱きしめてもらってもいいですか?」と言われてすぐ抱きしめるし、日下部にハグを誘うし、町京子の体を胸当たるまでハグするし・・・。

    高橋先生が怖いけど、亜人ちゃんたちが可愛すぎるので、問題なし。
    亜人ならではの悩みや葛藤もあるだろうし、もっと色々描かれるといいですね。
    次巻も当然買いです!

  • 萌え萌えな感じの亜人女の子がきゃぴきゃぴ出てくる作品かと思いきや、読んでみるとそうでもない

    ”亜人”の悩み事の様に描かれてるけど。周りとの折り合いがつかなかったり、自分自身の身体のことで悩んだり、そういうのってたぶん誰しもが経験する思春期の悩み。それを”亜人”という設定を通してわかりやすくちょっとボヤかして描いているだけなのだと思う。現実の人間だってみんな顔も性格も違うしみんな悩んでいるのだ。

    とはいえ”亜人”の設定もちゃんと活かされていてデュラハン子が頭を抱きしめられるのが好きだったり、サキュバスがあえて地味な格好していたりとちょっとニッチな萌えが散りばめられている。

    そんなわけでなかなか良作でした

  • 人と違う亜人というものでも人に交われば人と同じ生活をし人と同じ思考をする。そこに書かれているのはごく一般の少女たちであり、女性である。そんな彼女たちと主人公が人として学校という場所で生活が交差する。当たり前の物語なのになんだかほっこりする作品。

  • 亜人(あじん)は、人間と似て非なる伝説の生物で、人間と違った特徴を持ちデミ・ヒューマンとも呼ばれる。物語の舞台は亜人が日常社会で普通の人間と共存している世界で亜人の女子高生らと教師のやり取りで綴る学園日常コメディー。しかし、ドタバタ劇の中にも人間と異なる人として亜人達の孤独や不安、差別に悩む姿は、現実に深刻化する苛めや、人との距離を取ることが複雑化する現代の人々に起こる心の問題も浮き彫りにしており、単に能天気なギャグ漫画に終始していない。しっかりした画風は好みで、ワリのテンポも良い。ひかりちゃんは可愛い♪

  • 伝承上にいるような亜人たちと人間の教師の物語。
    コミカルな物語。ですが種族と個人を切り離せるものではない、けれど別レイヤーとも見ていく真摯さと、悩みの寄り添う誠実さが読んでいて嬉しい。
    そして世界の秘密にも迫る展開もSFとして最高。

  • 亜人より面白い笑

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