- 本 ・本
- / ISBN・EAN: 9784063872347
感想・レビュー・書評
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おそらく国鉄最後の時期は、すべての職員が自分の働く国鉄だけでなくこの国に対して不信感、閉塞感、不安を抱きながら働いていたのだと思う。
ひたすらに誇りを持ってカレチとしての仕事に勤しみ、自分も成長してきた荻野だが、最後の最後になってひとつの大きな決心をする。しかしそこでの仕事は他と対立し自分の意思さえも揺るぎかねない辛いものであった。
荻野だけでなく長年一緒に働いてきたチーフや後輩、その他の職員たち…ある者は不本意に、ある者は思っていた通りに、それぞれがそれぞれの選択をする。最終章の国鉄民営化のストーリーは、それぞれの登場人物のそれぞれの思いすべてが、ある意味では正しくある意味では間違っており、ストーリー展開もとても苦しいものになっている。
ラストも、決してすっきりと終わる感じではなかったが、きっと国鉄の終焉というものが実際にこのような感じかもしくはこれ以上にすっきりとしない感じだっただろうことは私にも想像ができる。
何を信じて生きていくか、仕事とは一体何か、そういうことを深く考えさせられる作品だった。荻野だけでなく、他の登場人物のその後に焦点を当てたスピンオフとかやってくれないかなぁ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
待ちに待った5巻は最終巻。カバーには寝台特急「富士」の牽引車EF66で、往時は西鹿児島まで走り抜ける花形だったが、民営化後に大分止まりとなった時にはショックを受けた。本巻は、そんな自分の気持ちと少なからず重なり、安斉チーフの死はそのまま国鉄の矜持が分割民営化により瓦解したように感じた。過激な組合として記憶がある国鉄労組の存在は、果たしてそこに働く職員に幸せをもたらしたのか? 考えさせられる内容だった。
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出勤途中に朝から読むんじゃなかった。
涙腺崩壊。
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