宝石の国(1) (アフタヌーンKC)

著者 :
  • 講談社
4.05
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本棚登録 : 5269
感想 : 265
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (196ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784063879063

作品紹介・あらすじ

今から遠い未来。地上の生物が海に沈み、海底の微小な生物に食われて無機物となり、長い時間をかけて結晶となった宝石生命体、のような存在が生まれた。その宝石のカラダを持つ28人は、彼らを装飾品にしようと襲い掛かる月人(つきじん)に備えるべく、戦闘や医療などそれぞれの持ち場についていた。月人と戦うことを望みながら、何も役割を与えられていなかったフォスは、宝石たちを束ねる金剛先生から博物誌を編むように頼まれる。漫画界で最も美しい才能が描く、戦う宝石たちの物語。

今から遠い未来、宝石のカラダを持つ28人は、彼らを装飾品にしようと襲い掛かる月人に備えるべく、戦闘や医療などそれぞれの持ち場についていた。月人と戦うことを望みながら、何も役割を与えられていなかったフォスは、宝石たちを束ねる金剛先生から博物誌を編むように頼まれる。

感想・レビュー・書評

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  • 最初に見つけたのは書店の店頭で。店員のおすすめとして平積みされていた。その時はきらきらの装丁が気になったけど、紹介文「宝石たちの新感覚アクション・バトル・ファンタジー」が興味を引かず買わなかった。
    次に見かけたのは「このマンガがすごい!」で。上位にランクインしており、売れているんだと。
    そしてしばらく経ってから。古本屋の店頭にて三度遭遇。その時に、「このマンガがすごい!」に入っていたからと購入した。

    物静かな音楽を流しながら読んでいたら、悲しいストーリーでもないのに不思議と涙があふれてきた。このマンガの魅力は、アクションでもバトルでもなく、それぞれの宝石の特徴によって裏付けされた登場宝石(人物)達の、苦悩や葛藤、宝石関係(人間関係)といった、ストーンドラマ(ヒューマンドラマ)なのではないかと思う。

    そして、この物語の舞台がまた実に興味深い。主人公たち宝石が住まう「星」は、6度「流星が訪れ」ている。それは隕石の衝突ということに他ならないだろう。6度もそれが繰り返されれば、恐竜の絶滅に例を見るまでもなく、生態系の再構築がそれだけ繰り返されたこととなる。
    それらの結果、陸がひとつの浜辺しかなくなり、すべての生物は海へ逃げた。海には生命が存続している様であるが、地上は「貧しい」「不毛な」環境とされる。それはいわば「死の世界」といえないだろうか。
    そして、敵役として出現する「月人」は仏教世界の天上がモデルとなっているようにしか見えない。それは敵本体が菩薩であり、実際に攻撃しているのは伎芸天である。
    菩薩は悟りを開くための修行をするものであり、人々を救うものである。また悟りを開く前の姿であるため、宝飾品などの装身具を身につけている。
    加えて宝石たちが「28人」であることにも意味があるように思う。これは千手観音菩薩の眷属とされる二十八部衆に基づいているものではないだろうか。

    これらをふまえると、この物語は死の世界に住まい、苦悩や葛藤(煩悩)に苦しむ者たちを、菩薩(月人)の眷属として(あるいは装身具として)迎え入れることで救済するものであると読むことができるのではないだろうか。


    と、偉そうなことを書いたけど、実際はどうなんでしょうww

    他の方のレビューにあるように、手塚治先生の世界観に通じるものも感じますし、宝石はファティマに似ているとも思います。
    市川春子先生の作品は初めて読んだのですが、まずとにかく、アクションシーンが読みづらいw  踏み込みなどの一連の流れが見えない(というか法則性に沿っていない設定?)のでよくわからない。28の登場宝石が覚えられないwし、誰なのかがよくわからない描写も多いw
    正直言うと、カバーの人物絵の感じから、絵柄も古そうって思ってた~


    それでも、この作品には有り余る魅力が詰まっていると思います。一度読んだだけでは理解しきれない、何度も読み返したくなる魅力があふれていると!

  • 宝石の国という綺麗なタイトルに惹かれて。
    自他共に認める役立たずなフォスが明るくとぼけた感じでがんばる姿が可愛い。それでも時々卑屈になるところがまた可愛い。シンシャのつらい気持ちに心を痛めたり、金剛先生の深い愛情と強さに安堵したりと、物語世界に入り込んで楽しめる漫画。
    宝石のフォスフォフィライトの画像を見て思わず息をのんだのは私だけじゃないと思う…。

  • 宝石たちのきらめきや垣間見える脆さが美しい。
    絵というか画面構成がしっかりしていてどのページをみても美しさを満喫できる。

  • 過酷で役立つ仕事は自分の存在に疑問を抱かないためのよく効く麻薬です

    じゃあこの気持ちに名前をつけて
    名前が分かれば少し安心でしょ?


    本文より

  • キラキラして、柔らかくて、色っぽい絵柄。全編カラーならいいのにと思ってしまう。
    夢の中の出来事みたいに抽象的な流れで進んでいく。自分は一読では話がさっぱりつかめなかった。何度か読み直して「ああ、こういうことか」とようやく理解する始末。
    話を読みたいというよりは、雰囲気を楽しみたいマンガ。

  • ふあー、綺羅綺羅しい…。
    ばら撒いたみたいに敷き詰められた、綺麗な宝石の欠片たちを眺めているような気持ち。
    「違ういきもの」…というか「違うもの」の美しさを味わえるようなとこがいいなあ。

  • 独特な雰囲気の作品。
    時折、人物の見分けがつかないけど
    それはそれで好き。

  • 宝石たちが月からやってくる敵と戦う話


    とてもきれい、というのが第一印象。
    市川先生ワールドに浸れます。
    これからどうなっていくのか色々楽しみな作品です。

  • わけがわからない部分もあったけど、登場人物達がふとした時に心惹かれる表情をするので、厄介そうだけど読んでみたい。とりあえず性別がどうなってるのか気になる。でもまあ、種族の特性的に言って生殖活動はなさそうだから、イコール性別を分ける必要もないんだろうな。動物の世代交代のことを下等だとか何とか言ってたシーンもあったし。壊れることがないんなら、何かを残す必要もないんだよねぇ、きっと。
    ただそれと、誰かを想う心の存在はまた別だから。恋はするよね、宝石でも。

  • 絵、良すぎ…コマ割りとか表現は意外と普通で読みやすいのに、イラストが版画っぽくて独特な雰囲気。アニメは履修済みだったけど、改めて漫画で読むとセリフの言葉選びがめっちゃ良い。戦闘描写が若干分かりにくいなあと思ったけど、それは私が先に映像見たからかもしれないと思う。

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著者プロフィール

投稿作『虫と歌』でアフタヌーン2006年夏の四季大賞受賞後、『星の恋人』でデビュー。初の作品集『虫と歌 市川春子作品集』が第14回手塚治虫文化賞 新生賞受賞。2作目の『25時のバカンス 市川春子作品集 2』がマンガ大賞2012の5位に選ばれる。両作品ともに、市川氏本人が単行本の装丁を手がけている。

「2022年 『宝石の国(12)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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