宝石の国(2) (アフタヌーンKC)

著者 :
  • 講談社
4.32
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本棚登録 : 1980
レビュー : 113
  • Amazon.co.jp ・マンガ (196ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784063879506

作品紹介・あらすじ

漫画界で最も美しい才能が描く、戦う宝石たちの物語。
今から遠い未来。地上の生物が海に沈み、海底の微小な生物に食われて無機物となり、長い時間をかけて結晶となった宝石生命体、のような存在が生まれた。その宝石のカラダを持つ28人は、彼らを装飾品にしようと襲い掛かる月人(つきじん)に備えるべく、戦闘や医療などそれぞれの持ち場についていた。月人と戦うことを望みながら、何も役割を与えられていなかったフォスは、宝石たちを束ねる金剛先生から博物誌を編むように頼まれる。

「この星には、かつて“にんげん”という動物がいたという」宝石のカラダを持つ28人と、彼らを装飾品にしようと襲い掛かる月人(つきじん)との果て無き戦いが続いていた。主人公・フォスフォフィライトは、戦いの最中出会った貝の王に誘われ海の底へ。そこでフォスが聞いたのは、王の種族に伝わるこの世界の秘密だった――。『このマンガがすごい!2014』オトコ編第10位! 最も美しい才能が描く、戦う宝石たちの物語。

感想・レビュー・書評

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  • 1巻がとても素晴らしくて、読了翌日に2巻を購入。
    1巻のときから、BGMとして Janis Crunch & haruka nakamura の 12&1SONG を流して読んでいたけれど、収録されている7話から13話のうち、
    7~11話まで毎回、無性に悲しくなって泣いてしまった。 悲しくて、寂しくて、やさしくて、はかなくて…

    宝石たちの登場人数も増え、1巻以上に前頁カラーで読んでみたいと思う。宝石の特徴を知っていると、その子の背景が読めてもっと面白くなると思うんだけど、普段宝石とは縁がないのでよくわからんw 
    アクションシーンは相変わらずなれないけれど、まんが日本昔話でのきり絵的な手法で戦を表現していたのに似ているかもと思った。



    「仏教」を手がかりに宝石の国を読む

    宝石たちは雌雄の区別がないようで、アドミラビリス族には雌雄があるとされているため、宝石に雌雄が無いのには意味がある。それは鉱物が無機物であることと、インクルージョンされている生物も種の保存に受精を必要としていなかった物であろうこと(本来の宝石のインクルージョンだけでなく、ミトコンドリアをモデルとしたものと推測)が、その主要因だと思う。が、それがもうひとつの意味を持たせることになっていると思う。
    「雌雄の性別が無い」というと、仏教の如来や観音も無い。(もっとも天部には弁財天等の性別があるものも)
    宝石たちは仏になりうる存在であるという意味が与えられているのではないだろうか。

    また、アドミラビリス族の伝説で、にんげんが魂・肉・骨の3つに分かれたとしたのも興味深い。二元論的に精神(魂)と肉体の二つに分かれるとしたくなるところをわざわざ3つにしているのは、肉体を肉と骨に分ける必要があったからではないだろうか。
    地上にはにんげんに匹敵する文化をもつ生命は宝石たちしかおらず、伝説によれば骨は宝石たちであるといえる。
    そして、骨もまた仏教では大きな意味を持つ。釈迦の遺骨である仏舎利である。骨=宝石という図式を与えることで、ここでも仏教上の聖性を宝石たちに与えていると考えられる。

    一方の肉であるアドミラビリス族であるが、その名前に与えられた意味は不明なものの、その生態が貝類であることに注目したい。
    ほとんどが海となった星であるが、我々が海の生物と言われてするに思い浮かぶのは魚類であろう。
    しかし、海中の描写においては、珊瑚や海綿、あるいはホヤ、シャミセンガイのような生物とクラゲが描かれているのみで、魚類、あるいは海獣のような高度な生命体は現在のところ確認されていない。
    貝類は珊瑚やクラゲと比較すると進化した種であり、にんげんの肉であることからも海中にこれ以上の種族はいないであろう。
    この海中で最も進化したアドミラビリス族を貝類としたことで、宝石との関連が発生する。
    鉱山技術や宝石加工技術云々以前の原始の時代から、美しい貝殻は装飾品として、あるいは貨幣としてにんげんが使用してきたものである。
    またさらに価値を高めたもの加工品として、宝石のように美しく輝く螺鈿細工がある。そして螺鈿細工は仏像を安置する厨子の装飾等にも使用されてきた。
    貝類を肉としたことで、宝石との共通項を作りだした上、一定の聖性をも付与することとなった。


    にんげんとの関係では、金剛先生がどういう存在とされているのかが大変気になる。
    名前や効果音等から金剛石か何かの鉱物とは推測されるが、他の宝石たちが知らないにんげんについて何か知っているようであり、宝石たちより明らかに一段高い位置に存在する。
    仏教世界では金剛力士像がすぐさま思い浮かぶが、金剛先生=金剛力士ということになると、仏法の守護神という存在となってしまい、宝石たちの指導者という立場にそぐわない。
    また金剛力士であれば、二十八部衆の1神になってしまい、宝石たちと同列ともみなされる。
    すると、宝石28人に先生が含まれるのか、あるいは月にいってしまった宝石は28人のうちに含まれているのか、というところにも物語のカギが隠されていよう。



    6度欠けたこの星は、今のマンガの時代が流星で区切られた「7度目」の世界である。それも仏教に照らしてみると、その果てには、四十九日を迎え閻魔王の裁きを受けて天上世界(すなわち月)に転生するか、
    地獄に落ちるのか、はたまた輪廻転生を繰り返すのか……その辺りが物語の落とし所になるのではないだろうか。
    (1巻読後に気付いたことは1巻のレビューに載せました)

  • 先生に、
    シンシャに、
    海のひとに。

    そうか、
    硬度も得意分野も持たないフォスは、
    愛を持って生まれてきたのか。

    「君は僕よりきっとずっと若いのにえらいね」

    が特級で市川節だなと思いました、今回。

  • やっぱり、短編集の方が好きだな、と思いつつも、この作品にも首根っこを痛いほどに掴まれて引き摺り込まれて、どうにも抜け出せなくなりつつある自分もいる
    独特の絵柄か、謎の出し方が巧いストーリーか、自分の無力さに歯痒さを抱きながらも、驚嘆するほどに諦めが悪く、空回りしてるけど速度はある向上心を持つフォスフォフィライトを初めとした、個性と感情が豊かなキャラたちによるものなのか
    不可思議な魅力がある
    また、この『宝石の国』は『虫と歌』や『25時のバカンス』とは異なり、彩りが豊かでもある。『ハクメイとミコチ』の樫木祐人先生とは違った、色使いである、市川先生は
    表紙が目に焼き付いているのも理由だろうが、白と黒で構築されている本編に時々、色が付いて見えるのだ
    単なる錯覚に過ぎないかも知れないが、それでも、色が付けられていないモノに色を感じさせる漫画を描ける実力を、市川先生は確かに持っているのだろう
    ファンタジー要素は強いんだけど、どこか、現代社会を皮肉っている節があるトコも好きだ
    面白い、のではなく、しみじみと美しいな、と潤んだ溜息を読了後に吐きたくなる作品
    うん、やっぱ、私、市川先生の短編も長編も好き、とこれを書いて再確認できた
    今後、どれほどの勢いで、どんな過程を経て「にんげん」の秘密に迫るのか、愉しみ

  • ただの鉱石擬人化ものとはいい難いファンタジー力。鉱石に因って衝撃に弱い方向とか、不死なのに石と石がぶつかる音がストレスだとか、至極人間臭いのに浮世離れしている…面白い。

  • 映像を観てるみたい。髪の毛は輝いてるし、光は眩しいし、波が打ち寄せて水が撥ねてる。海もたゆんでる。
    視覚だけじゃなくて触覚も使って読んでるような感覚になる。

  • 強くて、はかなくて、キラキラ

  • やばい!ちょこちょこバックボーンが見え隠れし、主人公もパワーアップしめちゃ面白くなってきた
    加えて、作者節に慣れたというか、構図に?を抱かなくなったのも大きのかもしれない
    ともかく、間といいギャグといい雰囲気といいセンス抜群だ

  • 脚が速くなったフォス。
    いつか戦う日が来るのかな。

  • フォスがほんとにかわいすぎる。

    にんげん、て言葉に先生が異様に反応してたのはなんなんだろう。

  • 宝石の周りのことが分かってきたり。
    にんげんと、骨と肉と魂か。
    そう言われると金剛先生のことも気になってきますが。

    巻末おまけでルチルさんのことがぐっと好きになりました。とても好みですセクシーなひとだいすきです

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著者プロフィール

投稿作『虫と歌』でアフタヌーン2006年夏の四季大賞受賞後、『星の恋人』でデビュー。初の作品集『虫と歌 市川春子作品集』が第14回手塚治虫文化賞 新生賞受賞。2作目の『25時のバカンス 市川春子作品集2』がマンガ大賞2012年の5位に選ばれる。両作品ともに、市川氏本人が単行本の装丁を手がけている。アフタヌーンで『宝石の国』連載中。


「2017年 『愛の仮晶 市川春子イラストレーションブック』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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